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「憂鬱と官能を教えた学校」を読んで

 こんにちわたがし、こんばんわたがし。綿菓子かんろです!よろしくお願いします。

 突然ですが、noteを始めてみました。ブログやホームページで何かを書く、ということが今までなかったため、拙いところも多々あるとは思います。大目に見てね。
 わたしの日日是好日を共有させてください、好きなものをみんなと分かち合いたいのです。

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 タイトルにもある通り「憂鬱と官能を教えた学校」という本を上下巻読みました。これを紹介します。

「憂鬱と官能を教えた学校~【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史~/ 菊池成孔+大谷能生 上巻」河出文庫より

 この本は、ジャズ・ミュージシャンであり文筆家である菊地成孔、そして評論家であり音楽家である大谷能生の二人が共著しています。菊池氏の講演を文字起こししたものであり、そもそも理論書や教科書ではありません!私もこのnoteであまりバークリメソッド自体には触れません。たぶん。

 取り扱っている題材が題材なので、ある程度の前提知識が必要ではあります。が、「お堅い理論書を読んでいるぜ!!!」というよりも大学の講義を聞いている気分で、無事のめり込んじゃいました。

 筆者は、「バークリーメソッド」を通して、より深く音楽を、音楽史を理解できるという主張を持っています。

いや、バークリーメソッドとは何なのか?

 ▶︎バークリーメソッドとは、アメリカのバークリー音楽院で教えられている音楽理論です。タイトルにもある通り、20世紀商業音楽の作曲、編曲に多大な影響を与えたと言われています。

 正直なところ、そういったポピュラー理論や楽典はそこそこ学んだし、知っている内容を改めて読み解くのも面白くないのでは、と侮っていました。しかし、「履修済みでつまらない」ではなく、「知っているから面白い」というのが読後の感想!

 バークリーメソッドを通して音楽史を俯瞰する、というコンセプトを軸として多様なトピックを説明しています。その為、内容がかなり複雑になっていますが、それもまた好奇心と知識欲が刺激されて関心が尽きません。

 現代音楽に至る流れが分かりやすく説明されており、各々のジャンルが現代音楽史の中でどう位置付けることができるかを、音楽理論の側から解説しています。本当に、20世紀の音楽を理論と共に概観することができる好著です。

 レジュメの中に、「われわれの感情は、調性を二大別しなければ同定できないほどに不安定なのだろうか?」と問いかけて終わっている箇所があるのですが、この言葉、はっとさせられませんか? とにかく、固定概念や前提が覆されるのです。
 そしてこのように、訝しげで硬派な文体のレジュメを読んだ後で、菊池氏の気さくな講義内容を読む。普通に頭が混乱します! でも、むしろそのコントラストが味を出していると言ってもいいんだ…。

 さて、このnote冒頭でもバークリーメソッドについては触れないと言ったので、わたしが個人的におもしろいな、と思った箇所についてだけ触れて終わろうかなと思います。

 この本の、ワンチャンス試し読みできるアタマの方に、「音韻情報」と「音響情報」について解説している箇所があります。これが、かなり興味深い。音響はある程度聞くけれど、音韻は聞き馴染みのない言葉ですね。

 本の内容を軽く引用させていただき、簡単にまとめると、

音韻は『音楽の「内容」で、その音楽をぱっと聴いたときに覚えていて、のちに再現できるような音の情報のこと

 ここのギターソロ、耳に残るフレーズだなぁ。とか、9thから始まるメロディーだ、珍しい。とか。そういう情報、というか楽曲そのもののことを指していますね。

そして音響情報というのが、『その場所でしか聴くことのできない音の要素』
だそう。

 これがどういうことか、例に挙げてみると

・スマホのスピーカーでポップスを聴いたら、中域が薄くて印象が変わった

・教会の中で賛美歌を聴くと、声に特殊な倍音が乗っていて美しい

 など、環境によって音楽の聞こえ方が変わるということですね。音響学を勉強していた頃が懐かしい!

 で、20世紀の音楽は、この「音韻」と「音響」で、派閥が分かれていたらしいです。いや、どういうことだよって感じなのですが、「音韻派」は、音楽は理論の構築によって成り立っている、という主張を持っていて、「音響派」は、異なる環境で聴く音楽の中に「音韻」という要素も含まれていて、環境+楽曲ではじめて「音楽」になる、と言った主張を持っています。回りくどい書き方になってしまい分かりづらかったな…。

 バークリーは、理論的に音楽を分析することが得意だったので、もちろん「音韻派」。何となくわかりますよね。
 しかし、ファンクやポストロックなど、カッチカチの理論から離れて、音響に焦点を当てた音楽が徐々に浸透してきたそう。
 この本において菊地氏は、音韻と音響でどちらを上げる、下げる、といった行動はしていませんが、考え方の違いが非常に面白いと思いました!普通に音楽を聴いててあまり音韻、音響を比べたりしませんからね。

 わかりやすくイラストで置き換えてみると、フィルターによってイラストの印象が変わる、ということですもんね。つまり最終的にどのような加工を施すかっていうことです。
 んー…。確かに全然印象が違いますね。この考え方、言い方は違えどすべての創作において存在するのでは。

【歌ってみた】WHITE ALBUM/綿菓子かんろ より(絵:巣籠雛子)

 よし! 大学のレポート並みに長くなってしまったので、そろそろ切り上げます。ほぼ読書感想文でしたが、わたしがこの本を読んで言いたいことは、

「音楽を勉強中のみんな! ジャズ・ポピュラー理論をすっ飛ばしてバークリーメソッドを学ぶのは不可能だ! まずは基礎から固めないとこの本、何を言っているのかわからないぞ!!! でもわかるようになったらメッチャおもろい!」

です。

またいつか〜^_^
これからも、何卒よろしくお願いします。

2024.10.03 綿菓子かんろ🤍

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憂鬱と官能を教えた学校~【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史~/ 菊池成孔+大谷能生 上巻」河出文庫より

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