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No1:様々な形態と模様を持つ野菜・果物の実践的線描方法とコツ


はじめに

 あらたに「線スケッチ・上達のコツ(解説と実践法)」と題するシリーズを始めます。すでにスケッチを始めたい人のために、手帳スケッチの入門シリーズ<はじめての手帳スケッチ>(下記)を2年前に投稿しました。

目的と方針

 上記入門シリーズの記事は「線スケッチ」による手帳スケッチを学ぶための入り口を紹介したもので、実際に作品を制作するための内容はほとんど含まれていません。
 そこで、今回のシリーズでは、「線スケッチの基礎技術」だけでなく、実際に作品を制作するための実践レベルの技術すぐに使えるコツを紹介していきたいと思います。

内容構成

 内容の構成は、いきなり実践技術に入らず、理解を助けるために、前半技術の背景基礎技術の紹介をします(構成案を参照ください)。

記事の構成(案)
1)記事内容の背景
2)基礎技術、基本技術
3)実践技術内容の概要
4)実践技術(有料記事)
※可能な限り多くの図版を用います。
※適宜、初心者の方が抱く疑問や絵画的トピックをコラム形式で入れます。

記事の構成(案)

内容に関する方針

 スケッチ教室の現場では、生徒さんから思いもかけない質問がでてきます。それは、初心者の方が素直に疑問を持った事柄ばかりです。ですから、それらの質問を念頭に初心者の立場に立った解説を心がけます。特に「何故?」という疑問に対してその理由を示しながら理論的に答えていきます。

こんな方に読んでいただきたいと思います(有料記事のパートを設けた理由について)

 「線スケッチ」に関心を持つ人が多く増えてもらいたいと願ってこれまでの記事は無料で公開してきました。
 その意味でも今回から始めるシリーズも無料で公開してもよいのですが、実践技術記事部分は、内容的に対象が絞られて若干専門的な内容になります。
 そこで単なる読み物としてではなく、線スケッチを実際に描き始めた方で長く継続する意思のある方に読んでもらいたいと思い、最低料金での有料記事にすることにいたしました。
 なお、実践技術記事の前の、1)記事内容の背景、2)基礎技術、基本技術、3)実践技術内容(有料)の概要 は無料記事パートにいたしますので、読むだけの方はその部分だけでも十分お楽しみいただけると思います。

「線スケッチ」とは

 ここまでは、「線スケッチ」を説明せず記述してきましたが、以下簡単に説明します。

 水性顔料で耐水性のサインペンを用い、実物(景)を見て下書きせずに水彩紙に描いたのち、線描を活かすように透明水彩で彩色する方法です。 
 一般的には「ペン画」のジャンルに属しますが、弾力のあるフェルトのペン先を使うので、力の強弱や動かし方で線に肥痩やスピードを表すことが可能で、鑑賞者に作者の心の動きが伝わります。その特徴を示すために「線スケッチ」と称します。

線スケッチとは

 それでは「野菜・果物の散らし図」の作品制作の第1回として「複雑な構造の野菜の描き方」「散らし図制作」についての解説を始めます。


(1)野菜、果物の線描:基礎技術のまとめ

 まずサインペンで線描するためには、文字を描くのとは少し異なるコツが要ります。ペンの種類ペンの持ち方直線、曲線、真円の引き方を下記に詳しく解説しましたので、初めての方はお読みください。

 次に、丸い果物の代表としてミカングレープフルーツなど他の柑橘類も同じです)、長細い野菜の代表としてキュウリを取り上げ、その線描方法について下記の記事で詳述しました。

 ここでは、エッセンスのみを示します。詳しくは上記記事をお読みください。

1)どんな事物でも描く前によく観察します。

 どのように観察するのかを下記にまとめます。

どのように観察するか:原則
 原則1物の形の特徴を観察すること。物には固有の名前があり、どのよ
うな形の特徴からその名前が付いたのかを考えて観察する。

    (特徴となる形をパーツにわけ、それぞれの輪郭線の曲り具合、大
     きさや長さの相互の比率を観察し把握する)
 原則2物の立体を、表面の突起物や模様の形と関連付けて観察する。
    (表面の曲がり具合と模様の曲がり具合、正面と端の部分での模様
     の相互距離、分布の違いを観察し把握する)

https://note.com/wataei172/n/n096265d7178f?magazine_key=m12515213bd10

2)以上の観察をもとに線描します。

 以下に線描の原則を示します。

どのように線描するか:原則
 原則1:実物を目の前にして、特徴となるパーツごとに輪郭を描く。
 原則2:よく輪郭を眺めて、空で覚えた後、実物を見ずに線を引き
     ます。
     (少し線を引き、実物を見て、また線を引くことを繰り返す描
      き方はしない)
 原則3:線を引いた結果、実物の輪郭が正確に描かれてなくてもよい。観
     察した特徴を正確に描くことが重要である。
 原則4:表面にある模様や小さなくぼみ、突起物を利用して物が立体的に
     見えるように線を引く。

https://note.com/wataei172/n/n096265d7178f?magazine_key=m12515213bd10

 ここで、強調したいのは、くれぐれも実物そっくりの輪郭線を引こうとしないことです。初心者の方は輪郭線の曲がりや凹みを正確に描こうとしがちですが、そうするあまり、線にのびやかさが失われ、また時間もかかってしまいます。特徴さえ描けていれば、実物の形から少々ずれてもかまわないのです。大事なのは魅力的な線を引くことです。

それでは、丸い形ミカンと長細い形のキュウリをそれぞれ代表例として選び説明します

3)下記にミカンとキュウリを観察するときの留意点をまとめたものを示します。

図3 ミカンの観察方法
図4 キュウリの観察方法

4)以上の観察をもとに、ミカンとキュウリをどのように描くか下図に示します。

 なお単独の野菜・果物の線描の練習は、A4大の紙に大きく(多くは実物よりも大きく)描くことを前提に解説します。

図5 ミカンの線描方法
図6 キュウリの線描方法

 ここで強調したいのは、表面の模様を描く際に人間の錯覚を利用すると立体を表現できることです。その原理は元の記事をご覧ください。

 以上をまとめると以下のようになります。

 1.写真のように正確に描かなくても、輪郭の特徴を描くことで、名前が
   示すその物の形を描くことが出来る。

 2.物の表面の模様をある規則に従って描くことで、線描だけで立体に見
   せることが出来る。

 以上で、野菜・果物の基礎技術の説明を終わります。

 以下、さらに上達するために、様々な形態と模様を持つ各種野菜・果物の線描方法について、それぞれ固有の留意点、実践的なコツを解説します。

 参考のため有料部分の概要を示します。

文字数:7659文字
図版:単独図版 21枚 
概要:各種野菜・果物(トマト、リンゴ、タマネギ、ナス、ニンジン、バナ
   ナ、トウガラシ、ピーマン、パプリカ、エリンギ、シイタケ)それぞ
   れに対し写真線描の図を示し、
1)観察のための留意点(固有の特徴の観察)
2)線描のための留意点とコツ(固有の輪郭線の引き方、固有の模様の描き方、固有の形態の表現の仕方)
を解説したのち、向きや形が異なる線描例も併せて図示する

有料部分の概要

 これらをマスターすると、基礎技術では不十分な複雑な形態の野菜・果物が描くことが可能になるだけでなく、スケッチ学習初期段階においても絵画作品、「野菜・果物散らし図」創作することが可能となります。
 それは、日本伝統の「散らし」模様を利用する方法です。本記事を読んだ方は、次回の記事も併せてお読みください。

 次回の記事タイトル(予定):「No2:様々な形を持つ野菜・果物の「散らし図」作品の制作方法」

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