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【読書記録】遠巷説百物語(京極夏彦)

【あらすじ】

江戸末期。難題が山積みし、謀略が渦巻く盛岡藩。御譚調掛・宇夫方祥五郎は筆頭家老より、市井の動向を探るべく、巷の噂を聞き、真偽を見定める報せよと密命を受けていた。交易の要所・遠野補さには、人が集い、「咄」が生まれ、「噺」が集まる。そしてーー化け物も。菓子屋から去った座敷童衆。眼鼻のない花嫁。娘を焼き殺す化鳥。奇怪な騒動の真相と結末は?(あらすじより)

【感想(ネタバレあり)】

譚(はなし)、咄(はなし)、噺(はなし)、話(はなし)の4つのパートに分かれていて、どれも「はなし」だけど譚は昔々の民話のエピソード、咄は御譚調掛の宇夫方が乙蔵から集めた市井の不思議な噂、噺は乙蔵か聞いた不思議な噂の当事者目線、話は不思議な噂の真相となっている。構成が美しい〜!

毎度のこと小悪党たちが真相を知っても誰も幸せにならない不思議な事件を妖のせいにして不思議は不思議のままに…という流れなんだけど、今作のメインは山の者とつきあいが深い大男の仲蔵と、前作でも出てきた亡者踊りの柳次。仲蔵どこかで見た気がするな〜と思って調べたら前巷説百物語に長耳の仲蔵として出てたみたい。エピソードが思い出せないけど家に前巷説百物語がない!読み直したい!

最初のエピソードの歯黒べったりは、いかにも巷説百物語!という感じの人の欲と民話とがうまく混ざり合ったエピソード。

その後は盛岡藩の政情が不安定であることを伺わせる話が続く。傍観者ポジションの宇夫方が、段々と「噺」に関わって、気づかないうちに仕掛けの手助けをして「噺」を変化させてしまっていくようになるところも見どころ。

最後の出世螺は幕府の要人も絡む大きなエピソードで一番読み応えがあるし、これからの時代の変化を感じるダイナミックな話。これも既刊の内容が関係あるのかな。続、後、前が家になくてしばらく読んでないので、次の了を読む前に復習しなきゃ、全く思い出せない笑

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