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【読書記録】グレイラットの殺人(M・W・クレイヴン)
【あらすじ】
売春宿で殺されたサミット関係者の男。テロを警戒する政府はポーに捜査を命じる。ポーは3年前の強盗殺人事件との関連を疑い……。
【感想(ネタバレあり)】
ワシントン・ポー シリーズの第4弾。
今回は、初っ端からMI5っていう公安みたいな組織の人が出てきてポーとバチバチやりあう。
まずはMI5のオフィスに連れられてきたときの高圧的な職員と一悶着。それからティリーにいたずらをしかけようとした職員とも一悶着。どちらも、どんな組織や圧力にも屈しないポーの姿勢やティリーを守ろうという姿勢が見えて、そうそう、ポーはやっぱこうでなきゃね!という気持ちにさせてくれる。
ポーが連れられてきたのは、ある殺人事件が起こったため。それも、各国の首脳が集まる会議の関係者だったので、万全の警備体制のため、アメリカのFBIから、政治に忖度せずに操作できる人として推薦されたからだった。このポーを推薦してくれたのが、前作のキュレーターの殺人で知り合ったFBIのメロディ・リー特別捜査官だった。久しぶり〜〜
かくしてポーとティリー、FBI特別捜査官のメロディ・リー、MI5のハンナ・フィンチという謎のグループで捜査をすることに。ただハンナは協力者というよりは監視役という感じで他の3人との折り合いは激悪。しかも現場の遺留品を持ち帰ってしまったことがわかり逮捕されてしまう。これによりポーとMI5の仲も最悪に…
捜査の方は進み、被害者が元軍の英雄的パイロットであったこと、犯人も従軍したことがある人間だということ、過去にラットの置物が置かれた事件と関連があることが判明する。グレイラットの意味も。
そこから少しずつピースがハマって、過去の事故の真相が全く別物だといことがわかる。ゴルフ場で犯人に動機を聞く場面、ポーたちが埋められなかった事実の告白を聞く場面は緊迫感があって、手に汗握る展開だった…!本当にノーマークだった人物が犯人でびっくり。さらに実行犯を裏で操っていた人物も…
ポーはいくつかの条件と引き換えに、黒幕は見逃す。ここらへんはストーンサークルやキュレーターでも思ったけど、法律や正義が絶対的だ!という相棒の杉下右京的な融通の効かなさはないというか、黒い秘密を抱え続ける覚悟のようなものを感じる。それが後のポーを苦しめることにならなきゃいいけど…
最後の最後に、MI5のボスであるアラスター・ロックとポーの会話もはらはらした。アラスター・ロックは何を考えてるかわからない、唯一ポーとやり合える人物という感じ。アラスターはアメリカとイギリスの関係をリセットするため、あえて今回の殺人事件の真相を世間に公表するべく、ポーをけしかけていた。まさかポーがアラスターの掌の上で転がされていたとは〜〜全然想像していなかった!
これから、ポーの実の父親の件も話がすすみそうだし、フリンも職場復帰するみたいだし、続編も楽しみ!去年の8月に出たばかりだから新刊はまだ先かなぁ。待ち遠しい!