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患者会がなぜ治療効果を持つのか?【オンライン自助会2周年特別記念④】

本日は、なぜ患者会が大事なのか、なぜそれが心を変えていくのか、治療的なのかについて解説しようと思います。


■心は脳

僕らはおそらく動物なんですよね。
動物の一種なんですよ。人間というのはね。
心というのは「脳」なんですよ。脳という臓器が心を生んでいるんですよね。

でも単純に脳の中でおさまるものではなくて、群の動物でもあるので、社会の影響も受けるし、集団の影響も受けるし、そして言語という独特のルールの影響も受ける。

だから、デバイスだけの問題じゃなくて、ソフトウェアの影響も受けるし、外部環境の影響も受けたりいろいろしますよということです。

だから、僕らの心というのはこういうものなんですけど。
「私」とか「心」は脳の現象だと思っていないですよね。僕らって。
なかなか思いにくいんですけど、でも脳の中で起きている現象なんですけれども。

僕らは、不安や困難を感じた時に脳が活性化して、「私」というものが悩んだりするんですけど、この困難とは何かと言うといろいろな困難があるんですよね。

不安を感じる困難というのがあって、自然災害みたいなものから犯罪やいじめなど人間関係のトラブル。個人の中の生きづらさ、発達障害、そういう知的な問題が生む困難さとかいろいろなものがあります。

PTSDの問題とかいろいろなものがあるんですけれど、そういうさまざまな困難がありますよということです。

それらに対してどのように医師は医学的介入をするのか、すなわち治癒を引き起こそうとしているのか、ということになります。

■治癒を引き起こすもの

治癒を引き起こすためには何があるのかと言うと、1つ目は診断、薬物療法です。
今頭の中で何が起きているのかを診断していく。そして、それに合わせて適切な、今のところ最も良いと思われる薬を投入する。

そして脳を変化させることで不安や困難を乗り越える、不安を感じにくくさせるということですよね。

2つ目はカウンセリングです。
カウンセリングとは何かというと、言語的介入をすることで、コミュニケーションを取る中で脳を変化させていく。

そして人格を成長させる。人格を成長させることで、不安や困難を自分の力で乗り越えられる、そういう力を高めていく治療です。

3つ目が環境調整や福祉導入です。
つまり、弱い人たちがいるわけですよ。群の中には弱い人たちがいるので、そういう弱い人たちを助けてあげる。

誰かの力を借りることで生きやすくする。不安や困難を乗り越えるというのが福祉導入だったり、環境調整だったりする。

この3つのどれかをやる、もしくは組み合わせて介入をすることで、不安や困難を乗り越えるということになっていく。

■患者を支えるもの

患者会とは何かと言うと、薬物療法ではないですよね。すなわち、カウンセリング的なものと福祉導入的なものの2つの要素があるよということです。

医師とコミュニケーションするわけではなく、治療者や支援者と交流するわけではなく、カウンセラーと交流するわけではなく、当事者同士でコミュニケーションを取っていく。

自分の苦しかったことをシェアしたりとか、助かった人、良くなった人が自分の体験を話すことで良くなっていく、そういう会なんですよ。

一つは前もお話しした通り、僕はSATORIプロジェクトと呼んでいるんですけど、いわゆる上座部仏教みたいなもので、心を探求することで心を知る、心の探求を通じて救われるというものですよね。

あとは、BOSATSUと呼んでいるんですけど、大乗仏教的、信じる者は救われる、みんなが救われるためのものです。この2つの要素があって、ここがうまくハイブリッドして患者会が起きているということです。

重要なことは、仏教もそうなんですけれども、自分で対処していく力を高める。救われることを意識しながら、だけど救われることばかりを強調すると、ケアになり過ぎる。

ケアの要素が強くて受け身的です。防衛しないことになる。
かといって、心の探求ばかりやるとやっぱり苦しいんだよね。
この2つの要素が絶妙にミックスしなければいけないんだけれども、そういうことなんですよ。

例えば犯罪とか自然災害もそうですけども、警察や国に守ってもらわなきゃいけないですよね。だけど、一方で自衛というか、自助努力というか、自衛することも大事なわけですよ。犯罪に遭わないようにね。

危険な場所に行かないとか、自分の身は自分で守る努力も必要で、このバランスが大事ですよね。難しいんですけど。

かといって、自分の力だけでは災害とか犯罪から身を守れないし、でも全く自分の努力をしないのも変な話だし、ここのバランスがやっぱり患者会にも求められる。

宗教と結構似ているんですけど、学びの場だよと。自分でやっていくんだよということをまず出さないと、やっぱりうまく回らない局面というのがあります。

もちろん救われるんだよ。色々あるんですよ。

アメリカの場合だと、自分でやらなきゃというカルチャーなんですよ。だから、助けてあげるよ、弱音を吐いていいんだよということになるし、強調する。

だけど、一方で日本は儒教の国だから上の人が助けてくれるよというカルチャーなのね。

そういうところでは、自分の身は自分で守らなきゃいけないんだよ。自立が大事なんだよということを強調しないといけない。これわかりますかね。こういうバランスなんですよ。

国やカルチャーによってメッセージを伝える上で強調すべきポイントは変わるんですけども、僕らが2年間やっていく中ではどちらを強調したらいいのかと言うと、こっちの方、学びなんだよと。カウンセリングとか学びなんだよということを強調した方がいいんだということが、やっている中でわかりました。

もちろん、これから日本もカルチャーが変わってきて、やっぱり自分の身は自分で守らなきゃいけない、自分の意志で自分の生死を決めなきゃいけない、自立のカルチャーが強くなっていくいった場合、アメリカに近づいてきた場合は、弱音を吐いてもいいんだよということが強調されようになるかもしれないですけども。

今はどちらかというとこっちかなと。
変わるかもしれないですけどね。

アメリカ化が進んでいけば、こっちよりこっちが強調されるになるんですけども、今のところこっちなのかなという印象ですね。

■どういう成長が必要なのか

基本的にはそういう中でどういう成長が必要なのか、というところで、哲学カフェの応用なんじゃないかと僕は思っているというか、そういう話にした方がスッキリ伝わりやすいのかなと思っています。

哲学カフェというのは、論理的かつ感情に支配されない人間、偏見も少ない人間たちが一つのテーマについて語り合う場所ですけれども、これの応用編としてですね。例えば、子供哲学カフェとかあるんですよね。

子供哲学カフェは、論理的という学びがない人間たちに対して、論理性や感情的にならないことを指導することによって、哲学カフェを目指すという応用編です。

オンライン患者会は哲学的なことをテーマで扱うのではなく、病気のこと、自分の苦しい話を論理的に考えられない、感情に支配されやすい人たちがやるという難しい応用編なんですよね。

病気があるから病気をテーマに扱うから感情的になってしまうし、論理的じゃいられない。障害があるから論理的ではないし、感情に支配されてしまうんですね。

だから相乗効果でより難易度が上がってしまうということなんですけども。

哲学カフェから離れてしまうんですけども、哲学カフェと違うのはダイレクトに扱わなければいけない話を、ピンポイントでやれるということなんですよね。

だから成功した時の報酬は大きいですよね。
だけど、難しいことを僕らはやろうとしています。

哲学カフェだと厳しいから、ディスカッションが難しいから、まずは聞きっぱなし言いっぱなしの会かな。誰も反論しない、ただ聞いているだけ、傾聴しているだけで自分の意見を挟まない。

哲学カフェは意見を挟んだり質問したりとか、議論を深めていくわけじゃないですか。そういうことをせずに、ただ聞くだけの会にしましょうよと。

これができるようになったら、疾患別の会で病気について語ってみようよ。だけど、あまり深い話、トラウマとか虐待の話をすると、より感情的に苦しくなっちゃう。

そして苦しいから論理性を失ってしまう。感情に支配されちゃう、相手を批判したくなっちゃうとかはあるので、軽いものからやっていこうよという話になっているし、ファシリテーターの力も上がってくるので。

疾患別座談会も部分的に。これが応用編だと、今度はグループセラピーという形になって、継続的に会うということですね。

継続的に会うと関係性ができ上がりますから。関係性の中では嫉妬したり、恨んでしまったり、羨ましくなったり見下してしまったりとか、いろいろな無意識の影響を受けるんですよね。

無意識の影響を受けて、冷静でいられなくなってしまう。
だけど連続的に会うからこそ深められる議論はあるわけですよ。
成長できる要素はあるのでこれもいいんですけども、やっぱり実力がいるなと。
だから応用編ではありますよね。

結局治療の中で何を学ぶべきなのかというと、一つは論理力。論理的でいること、冷静でいられること、客観的でいられること、そういう力ですね。
哲学力とも言えますけど。

もう1個は、感情に支配されない力。感情に支配されない、冷静でいられる、無意識に支配されない、そういう力ですよね。あとは疾患を知る、社会を知る、人間を知る。そういう知識を得ていく。

他の人がどういう風に不安や困難を乗り越えたのかとか、そういうことを学ぶ力ですよね。あとは感情に支配されない上で、相手を思いやれる力とかね、そういうことを学んでいく。

そういうことを学んでいく中で、自分が治療者になっていく。治療者サイドになっていくことで、生きがいを感じたり、救われます。

実際、益田裕介はそうですから、本当に思いますね。僕は医師になって、主治医になって、YouTubeをやって、患者会をやる中で、本当に自分は救われたという思いがあります。

同じような要素を皆さんにも提供したいと思っているんですよね。
それは僕は知識を得て体験を得て、そういう中で承認欲求とかお金とかいろいろなものから自由になれているんですよね。恐らくね。昔よりは少なくともね。

そういうことを皆さんに伝えていきたいですし、そのための場所を用意している。
そのためにどうしたらいいのかをこの2年間考え続けたということです。
そのエッセンスを今回動画でお伝えしたということになります。

■本日の宿題

助けてもらうということと、自分の身は自分で守るということのバランスについて考えてみてご意見ください。

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