境界性パーソナリティ症〜症状、予後、治療
本日は境界性パーソナリティ症について解説します。
どういう病気で、どんな症状があって、どんな治療をするのかをお話しします。
境界性パーソナリティ症、いわゆるボーダーライン・パーソナリティ・ディスオーダーと呼ばれる病気です。
昔は人格障害と言っていたんです。
境界性人格障害と言っていたんですけど、人格の障害というのは少し差別的な感じがあるよね、イメージ悪いよねということで、パーソナリティ症という言い方に変わりました。
感情の起伏が激しかったり、怒って医療従事者や周りの人に対して暴言を吐いたりしてしまう人たちが多いんです。
そういう病気だから仕方ないんですけど。
であるがゆえに、ボーダー、ボーダーと揶揄されることも少なくはないというのが現実的にある病気です。
ボーダー、ボーダーみたいな形でひどい言い方をしてしまう、精神科医じゃなくて他科の先生も結構いるなという感じです。
ネットスラングでボーダー、ボーダーという形で差別的に使ったり。
発達障害の人に対してアスペ、アスペと言うのと一緒ですよね。
ちょっと否定的なニュアンスを持たせるみたいなのと似てるなと。
あとネットで、メンヘラ女とかメンヘラと呼ばれる人たちの多くも境界性パーソナリティ症のような感じはします。
メンヘラというのは医学用語でないですから。
そうかなと思います。
◾️疫学
疫学ですが、人口の1.6%いるという感じです。
だから結構いますよね。
1%強いるという感じです。
生涯では境界性パーソナリティ症の診断基準を満たす人たちが5.9%ぐらいいるということです。この疫学データは『UpToDate』というアメリカの教科書から取ってきてるので、日本のデータとは少し違うんですけど、でもアメリカはメンタルヘルスの先進国なので、日本もなんだかんだ言って追いついてくる、これぐらいの数に近づくのかなという気はします。
ちょっと面白いのが、普通の外来、精神科に限らず、内科、外科、総合臨床で診られる外来の患者さんの6.4%に境界性パーソナリティ症の傾向が見られた、と。
精神科の外来の9.3%は境界性パーソナリティ障害みたいな風に書いていました。
9.3%は多過ぎるだろうという感じがしましたけど、1割弱ということです。
そんなにいるのか?という感じですよね。
でもボーダーラインの診断はなくても、ボーダーライン心性というか、「らしさ」みたいなものはやはり1割弱いるというか、それは医療従事者であればそう思うべきなんだろうなというのが、今の僕の臨床観です。
日本の患者さんの1割弱に発達障害ないし発達障害傾向があるみたいな形で、ボーダーライン・パーソナリティ症の傾向も含めると9.3%というのは決しておかしな数値ではないのかなという風に思います。
今の自分はそういう感じに思います。
この流れで話しますと、こんなにいるとは思いたくないんですよね、医者は。
境界性パーソナリティ症の人は理想化とこき下ろしというのをするんです。
人間のイメージがすごく揺れ動くんです。
一方では益田はすごい人だと思う時もあれば、益田はカスだみたいな。
Googleの口コミも、★5、★5、★5のときもあれば、★1、★1、★1、★1 みたいな時もあるわけです。
外来の患者さんで過度に益田を褒めてくれる、理想化してる人たちはいるので、怒っている人たちだけじゃないので、そういう人も含めると9.3%なのかなという感じです。
この人は本当に見る目があるから僕のことを褒めてくれているんだな、ということはないということです。
そう思ってるかもしれないけど、そんなことはなくて全然。
やはりそういう傾向がある人たちだから、僕しか救ってあげられないんだと思っているんだったら大間違いということです。
9.3%いると考えながら臨床するのはすごく重要なポイントかなと思います。
意地悪を言っているからボーダーだという診断がつくのではなくて、そうじゃない時期から診断をちゃんとしましょうということです。
️◾️症状
どんな症状、どういう病態かというと、境界性パーソナリティ症というのは関係性を作れない、人間関係がすごく苦手な人たちであり、感情コントロールが苦手であり、行動のコントロールが苦手な人たちなんです。
これが中核症状なんです。
人間関係がすごくうまい人がいるじゃないですか。
すごくうまい人がいるということは、すごく下手な人がいるということなんです。
背が高い人もいれば、背が低い人もいる。
太っている人もいれば、痩せてる人もいる。
数学が得意な人がいれば数学苦手な人もいる。
絵が上手い人がいれば絵が下手な人もいる。
人間はまばらなので、得意がいれば下手もいるということなんです。
関係性が得意な人もいれば、相対的に下手な人もいる。
感情コントロールが得意な人もいれば、下手な人もいる。
行動のコントロールが得意な人もいれば、下手な人もいる。
ここの部分をコントロールするのが弱い人たちの生まれつきの病というか、そういう症状ということです。
対人関係が苦手な人は対人のイメージ、人間とはこういうものである、あの人はこういうものであるというイメージ像がすごく揺れ動くんです。
違う人に見えるくらいなんですよ。
あれ?あの人思ってたのと違う、みたいなことをよく言う人たちということなんです。
いつも一緒じゃん、と周りは思うんだけど、昔は違ったのにとかそういうことを言いがちだから、その人にそう見えちゃうんです。
これは脳の問題で、その人らしいという人間のイメージ像がすごく揺れ動きやすいかなということなんです。
例えば映画や小説、漫画でも、キャラクターがブレやすい作家もいれば、ぶれにくい人もいますよね?
一貫性のあるキャラだなと思える人は、対人イメージがすごく安定感があるし、何かぶれるな、力のない作家だなというのは不安定ということです。
そのもっとひどい版ということです。
もちろん自己像、自分とはこういうものであるという自己像もすごく曖昧なんです。
自分が何かというのが、よくわからないんです。
得意なことは何?あなたはどういう人なの?と言ったときに、よくわからないです、もしかしたら得意かもというわけです。
僕だと、益田裕介で、自分はもしかしてお喋りじゃないかもしれません、もしかして人付き合い得意かもしれません、やっぱり精神科医だしと言ってたら、自己像が不安定ということです。
自分のことがわかってないというか。
自分のことがわかっているというのは、僕はこういう人間で、こういう長所とこういう欠点があるということがパッパッパッとわかる。
他の人に比べてこれぐらいで、他の人に比べてここが優れている、ここが優れてない、ここが求められてるけどここは求められてないということがわかってるというのがあります。
子どものときはわからないですよ。
10代とか20代なら。
僕も40ですから、何となくわかってきてるという感じですかね。
若いとわかりにくいですけど、それでも不安定ということです。あと空虚感というのがあるんです。
生きていてもつまらない、楽しくない、熱中できない、日常のささやかな幸せ、生まれてきてよかったという質問してもよくわからない。
えっえっ?みたいな。
おぼろげで寂しい、いつも死にたいと思ってる、そんなことみんな思わないんですか、お酒を飲んでいるとき、何かに熱中してるとき、ゲームをしてるとき、YouTubeを見てるとき、恋愛をしてるときはその空虚さを忘れられるけど、夜道を一人でボーッと歩くのは苦しくなりませんか、と言うんです。
これがかわいそうですね、この空虚感。
いやー、そう?と思うわけです。
だって、温泉に浸かってボーッとしてるとき、夜道を歩いてるときは気持ちよくて、一人ですごく良いじゃんみたいな、歩いてるときにふと思い出に浸ったり、何でもいいんだけど、デフォルト・モード・ネットワークに身を任せてブラブラともの思いにふけって気持ちいいじゃんと言うんだけど、それができない、むしろ怖い。
本来人が幸せに感じるところが逆に不幸不安になってしまうという人です。
かわいそうということ。
あとは感情コントロールが苦手で不安になりやすかったり、悲しくなったり、怒りを感じやすかったり、怒ってしまう。
あと、見捨てられ不安というのがあったりして、その人がいないと私は生きていけないんじゃないか、みたいな気持ちになってしまうんです。
だから嫌われるんじゃないかという風に思う。
自分はすぐ嫌ったり、怒ったり、不安になったりする。
相手も同じようなことをするんじゃないかと思うので、必然的にそういう風に考えてしまうというのがあります。
あと、行動のコントロールが苦手。
衝動的にワッと動いたりしてしまう。
ワッと怒ってしまって、ワッと動いてしまったり、自傷してしまうんです。
自傷したり、自殺をするみたいなことをしてしまうんですけど、自傷行為をなぜするかというと、痛みによって何かエンドルフィンみたいなのが出るんですよ、脳内麻薬が。
だからちょっと冷静になれるんですよ。
それが病みつきになって繰り返してしまう。
最初は見せるつもりはなくて恥ずかしいと思うんだけど、今度はこれを見せたり、こういうことをすると構ってくれるんですよね。
構ってくれるうちに、なんだか見捨てられ不安と他のものも相まって、他の問題も相まって、変な学習をしてしまって、苦しくなったらリストカットをする、自殺すると言って、周りの人に注目してもらって、関心を持ってもらって助けてもらう、と。
逆にそういうことをしなかったら、私のことに関心を持ってもらえないし助けてくれないんだ、という思い込みになってしまうというのが、そういう風に発展していくのがこの病気なんです。
️◾️合併症
合併症としては、うつ病、双極性障害Ⅱ型、軽度のものが多かったりします。
この病気の原因かもしれないですけど、PTSDの問題、複雑性PTSD、つまり親からの虐待、そういうトラウマの問題、いじめの問題があったりします。
発達障害を持っている人も多かったりします、ASD、ADHD。
摂食障害、アルコールやギャンブルの依存症など色々あったりします。
昔の動画では発達障害の人を境界性パーソナリティ症と誤診しているんじゃないかみたいな言い方をしてることが多かったんです。
誤診しているケースもあります。
例えば感情コントロール、行動のコントロール、人間関係もASD的な特徴だし、という言い方を昔はしていました。
なぜ昔はそういう言い方が多かったかという話はまた後半話しますけど、でも合併してることは結構あるということです、ASD、ADHDとボーダーの人が。
これも昔の精神医学の教科書はちょっと違うんですけど、人格障害は治らないと思われてたんです。
だけど最近、2016年かな、2010年代の論文だと思いますけど、予後が結構良いよね、ということがわかってきているんです。
2年で35%、5年で91%、16年で99%の人が寛解してるというデータが出てきたということです。
もちろん、この99%の人が全部すっかり症状がなくなって毎日ハッピーに暮らしてるかというとそういうわけではなくて、この99%というのは何かというと、診断基準を満たさなくなったということなんです。
ちょっとした空虚感や虚しさ、人間関係の不器用さは残ったりするしてると思うんです。
だけど診断基準を満たすほどではない、病的ではない、人格障害水準ではない、少なくとも自殺衝動などそういうものは減っているというのがこのデータです。
色々あるんですよ。
例えばこのボーダーライン・パーソナリティー症と診断されるのが10代、20代だったりすることが多いんですけど、年齢を重ねるにつれて脳が成熟していって、前頭葉が成長して、感情を抑えやすくなるんです。
30歳ぐらいまで前頭葉の成長は進んでいくので、30歳に近付くと落ち着くよねというのと、あとは知恵が身に着く。️
◾️予後
あとこの予後というのはちゃんと通院しているということです。
通院していれば何だかんだ言って色々な病院を渡っても通院していれば、治療のネットワークに引っかかっていれば結構いいよねというのがわかってきているという感じです。
もちろん、元々幼少期の虐待や複雑性PTSDを合併していないと予後はいいし、素の能力、元々の社会適応能力が高い、例えばきちんと学校へ行っていた、成績が良かった、いい会社に勤めてる等々だと社会復帰の予後もいいということです。
逆に発達障害や知的な問題があって、小学校の時から不登校になってしまった、学力がついていけずドロップアウトしてしまった、そういうケースだと、やはり予後も悪かったりするということになります。
この99%は、ボーダーの症状は良くなってるけど、うつは残ってるなど、そういうことになるという話です。
これも『UpToDate』のアメリカの教科書に載っていた論文です。
論文を孫引き的に読んで、ああなるほどなと思ったんですけど、そんな感じです。
孫引き論文で偉そうに言うなという専門家の人がいると思いますけど、益田裕介は能力的にはこれぐらいしかできません。
PubMedでちゃんと調べるでもいいんだけど、教科書に載ってる論文の方が信憑性があるというか、良いので許してくださいという感じです。
アメジャーに寄ってました、アメリカン・ジャーナル。
ということでした。️
◾️治療
じゃあ治療法はどうするかというと、基本的に薬物療法もするんです。
衝動性が強いときには抗精神病薬を使ったり、うつがひどいときは抗うつ薬を使ったり、発達傾向があるんだったら発達障害の薬を使ったりするんですが、基本的に薬物療法は補助的なもので、カウンセリング、つまり精神療法が治療の基本です。
どんなカウンセリングをやればいいのかというと、弁証法的行動療法と呼ばれるもの、メンタライゼーション、転移に焦点を当てたちょっと力動的な精神療法、認知行動療法のちょっとアレンジしたものをやるということです。
教科書というかテストに出るのは弁証法的行動療法かな。
たまにひっかけでメンタライゼーションも出るかな、と。
オーソドックスなのは弁証法的行動療法というものです。
弁証法的行動療法とはどんなものかというと、正確に言うと、個人のカウンセリングを週1、グループスキルトレーニングなども組み合わせて1年間ガッツリやる、集中的に治療するということです。
やるということです。
どんなことをやるかというと、個人的な内省を深めるような精神療法をやる、と。
弁証法的なので、つまり境界性パーソナリティ障害の人は白黒思考が多いんです、こうすべきか/こうすべきじゃないか、みたいなものではなくて、これを戦わせてちょうどいい中間択を取りましょう、グレーをやろうということです。
これが弁証法なんですよ。
こっちでもない、あっちでもない。
これらをやってアウフヘーベンする。
高い水準でもう一回考える。
こうこうこういうね。
これを方法的弁証法というんですけど、どっちもあるよねみたいな形で、ちょうど中間をとるような、曖昧さを許容するような方向に持っていく治療法ということになります。
具体的にはカウンセリングだったり、グループのスキルトレーニングだったり、マインドフルネスをしながら自分を見つめたり、呼吸法を整えたり、感情的になるのを抑える訓練をしたり。
あとスキルトレーニングですね、対人関係におけるスキルトレーニング。
この関係はどうやったら安定した関係性をとれるんだろうか、コミュニケーションはどうした方がいいんだろうか、こういうときに相手はどう思ったんだろうかということを解説していくようなトレーニングをしたり。感情のコントロールですね。
何かよくわからないけどイライラする、何かよくわからないけど悲しい、じゃあ何があったんだろうねということで振り返ってみて、あの時あなたはこういう風に言われたのがショックだったんだね、と自分の感情に気付くとか。
じゃあ、こういうときはどういう風に感情をコントロールした方がいいのかな。
怒る前にちょっと待ってみようか、呼吸をしてみようかな。
怒るにしても、感情的にぶつけるのではなくて、もうちょっと言い方があるよね。
そういう感情のトレーニング。
行動コントロールですね。
衝動性や自傷しないような行動のトレーニング、衝動的にお酒を買わないようにするにはどうするか、自傷しないようにどうするのか、そういうスキルトレーニングをしたりするということです。
結構ガッツリやりますよということです。
アメリカや欧米は日本みたいに5分診療じゃないので、またカウンセリングなどとも組み合わせたりすることが一般的なので、やりましょう、と。
なるほどね。
教科書にもこう書いてますね、となるわけです。
じゃあ日本の精神科医がそれをやってるの?と言われたら、ブブーやってません、ということになるんです。
ブッブーという話になってしまうんですけど。
3年前ぐらいは結構そこをお茶を濁して、YouTubeを始めた当初はお茶を濁すような形で喋ってたんですけれども、最近は精神科のことも皆さんが知ってくれるようになってきたので、もうちょっと包み隠さず話せるようなったので話しますけど、基本的には日本は再診の時間は5分+αなので、その5分+αの中でやれるように、何となくアレンジしてやってるという感じです。
ぶっちゃけ、この5分+αの中で信頼関係を作ったりしつつ、この弁証法的な行動療法をやろうとすると、ほぼほぼ無理ですね。
まあ無理無理ですね。
もしやれるとしたら、患者側がすごくモチベーションが高いのか、医者側がもう神様的なスキルがあるのかということになりますけど、それは幻想であって人間業じゃないです。
だから何かしらの工夫を色々やってるということですけど、なかなかうまくできないですね。
信頼関係を築いて傾聴していく、そして敬意を払いながらやるということなんだけど、5分でこれをやれるかというとキツいよね。
やれるんだと教わってきましたけど、僕も。
実際自分がやってみて、なんだかんだ言ってやはり無理だなと最近は思っています。
だから「益田が…」とかよく言われますし。
あと2~3年ごとに患者さんが変わってしまうというのも起きてる現実かなと思います。
医者によってはそういう患者さんだから特別に30分の時間の枠を作る、1時間話を聞いてくれる先生もいるんです。
他の患者さんとは別に、ボーダーラインの人達にはそういうことしてるという医者もいますね、保健診療の採算度外視にして。
そういう人もいます。
そういう人がいい医者なのかどうかというのもよくわからない、まあ仕方ないからやってると言うのもあるし、治療構造を無視してるという意味で良くないかもしれない。
差別的、他の患者さんと差を作ってしまってるからというのもあるかもしれないし。
YouTubeのコメントでよくあるのは恋愛関係になってしまう医者ですね。
転移関係の中、患者さんというのはすごく無意識の影響が強くて、医者のことを理想化して陽性転移を起こすんですけれども、それを悪用して恋愛関係に陥ったり、不倫したり、そういう医者もいるということです。
だから治療構造を守り続けるのが大事なんですけど、そうしないと怒ったときに対応しにくいから、あるんですけど、それが今の日本の問題だなという気がします。
うまくカウンセリングを組み合わせたり色々やるんですけど、そもそも足りない時間の中でなんとかやってるので苦しいなというのが現状かなと思います。
僕は、それに対してYouTubeをやったり、オンラインコミュニティという形をとったり、自分でカウンセリングの会社を作ってるので、でも1回1万円弱かかりますから、勧められる人は勧めたり。
あと、あまり近すぎると関係が崩れやすいので、こういう人たちは。
だから、うちのクリニックとは別の心理オフィスに行った方がいい時もあるんですよ。
益田のことを嫌いになっても、心理の人達と繋がりたい場合は、別の医者のところに行きながら心理士さんとやらなければいけないので、何か妙に繋がってると、嫌いな益田はここのクリニックにいるのに心理士さんに会いたいがために嫌いな益田のところへ通うのは気まずいと思うけれども、気まずいな益田と気まずい思いをしながら通うのもアレなんで、うちのカウンセラーの人たちを積極的にはお勧めしてないです。
あと混んでたりするので。
よそにもいますよと言いながら、こういう治療法がありますよと説明したりしてます。
YouTubeを使ったり、オンラインコミュニティを使ったりして情報を伝えたりとかしてるという感じでしょうか。
過去動画と見比べてみると、僕もやはりボーダーラインの理解は深まったなという気がします。
過去、僕はボーダーラインの人達をほとんど発達障害なんじゃないかみたいな言い方しているんです。
そこまでは言いきってないかな。
でも、発達障害の人たちをボーダーラインという風に診断をされてる、誤診されてるケースは結構多いんじゃないかということを言ったことがあります。それだったら彼らが持っている感情コントロール、衝動性のコントロール、関係性の危うさをその文脈で理解してあげないと、変にトラブルを起こしてるので、トラブルが起きてもそれはボーダーのせいなんだというと、何だかわけがわからなくなってしまうという話をしていたんです。
やはり発達障害という概念や知的な能力の問題というのが一般的でない時には、人格障害というものから知的な問題なんだということを引っ張ってくるのは良かったのだけど、やはりそれだけじゃない、この人格障害と呼ばれるものの淡さいうか、淡い感じというのは、今考えることが増えました。
それはでも発達障害などの知的な問題、境界知能なども含めたそういうディスカッションができるようになった上で、もう一回人格障害が見直されてるというか、そういう話でもあるのかもしれないですけど。
それがわかってきたが故に、そういうものを踏まえてもう一回見直した時に僕の臨床観が変わってきたというか、やはり5分診療の限界性、長くカウンセリングをやることの意味、その価値、でもそこをやれる医師、心理士の力、実力を持った人たちが少ない現実などがあるなと思います。
オンラインコミュニティの中でもトラブルを起こすこともあります。
でも基本的にはそんなに予後は悪くないというか、長く治療のネットワークに繋がっていれば良くなっていく病気でもあるので、やれる範囲でしっかり伝えていくということなんだろうなと思います。
もちろん、集中的に関与していくのも大事だと思うんですけど、本当に集中的に関与すれば全部いいかというと、そういうわけではなくて、ある程度時間だったり、知識や経験の積み重ねが必要だったり、環境が変わることが必要だったりするんですよね、治療とは。
だからやった方がいいけれども、それがベストとは常には限らなかったりするので、臨床というのはそういう中でやってるということです。
難しいですけど。
ここら辺はちょっとお察しいただけるといいかなと思います。
ということで今回は、境界性パーソナリティ症とはどういう病気なのか、どういう治療法があるのかということをお話しをしました。
️◾️本日の宿題
今日の宿題は、そういう風に診断されたことがある人、そういう人が周りにいる人、かつて自分はそうだったなと思う人、共感できるところがある人、自分のこういう思いを書いてもらったなと思います。
全くこういうボーダー性というものがない人というのはいないと思うんです。
少なくともこの動画を見ているこのチャンネルの視聴者の中にこういう要素が1個もない人たちはいないと思うんです。
絶対ありますから。
それは益田裕介の心の中にもこういうボーダーっぽいところがあるので、あります。
なかったらしてないですからこんな仕事、こういう仕事してないと思うので。
そういう意味で、自分のここや過去を振り返ってみて、書いてもらえたらなと思います。
感想を宿題としてこのコメント欄に書いていただけたらなと思います。
あとですね、YouTubeのオンラインコミュニティもやってますし、メンバーシップでオンライン患者会もやってますし、メンバーシップのメンバー限定の非公開動画をやってるチャンネルもあります。
また書籍、本も売ってますので、概要から買っていただけると活動費の足しになりますので、ご協力のほどよろしくお願いします。
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