SLE(全身性エリテマトーデス)とうつ症状/その治療
本日は「SLE」、全身性エリテマトーデス」という病名なんですけど、SLEと言って難病です。珍しい中では結構メジャーな病気です。
SLEとうつ症状、というテーマでお話ししようかなと思います。
コメント欄で病気を解説してくださいということで来ていたのですが、やっていなかったなと思って動画を撮ってみようかなと思ったのですが、これ結構難しいんですよ、説明するのが。
病気自体を説明しようと思うと、ちょっとマニアックになっちゃうし、かといってあんまりざっくり話すと視聴者さんのニーズに応えられないんじゃないかなと思ったんですよね。
病気の人たちが知っていること、自分たちが知っていること、そこからさらに踏み込んで応用編として、SLEという病気の応用編としてのうつ症状について説明しようとすると、ちょっとマニアックすぎる。
かといって、一般の視聴者に合わせすぎると単純すぎて物足りないし、どうしたらいいんだろうと思って悩んだんですけども、ざっくり今回はお話ししたいと思います。
◾️自己免疫疾患
基本的には、SLEという病気は内分泌・膠原病内科というところで診てもらう病気です。大きい病院の内分泌内科で治療する病気だったりします。
内科の中でもメジャーなのは消化器内科とか呼吸器内科、心臓内科じゃないですか。ここはややマニアックというか腎臓内科とかいうんだけども、そうじゃなくて、ちょっとマニアックな内科なんですよね。
うつなどの精神症状になることがあるので、精神科がリエゾンで入ったり、精神科治療も併用することが多いんですけれども、総合病院の精神科で診てもらうことが多いかなという気がします。
でも、総合病院には精神科が併設しないところもあるので、うちの町医者みたいなところで診てもらう人もいなくはないという感じです。でも基本はリエゾンというか連携できるところが望ましいという感じですね。
もうちょっと簡単に言うと、SLEというのは自己免疫疾患と呼ばれるんですよ。
人間には、免疫系とか免疫細胞というのがあるんですね。
人間の体があって、体の中にばい菌が入ってくるんですよね。
ばい菌やウィルス入ってきた時に、それを内側でやっつけるものがあるんですよ。それを免疫系と言ったりするんですけども、この内側からやっつけるものたちがいるよということですね。
この免疫系の細胞が、機能異常を侵してしまって、自分の正常細胞までやっつけてしまう、正常な細胞までやっつけてしまうのを自己免疫疾患と言う。
ばい菌とかウイルスだけじゃなくて、正しい細胞まで攻撃してしまうのを自己免疫疾患と言います。内分泌・膠原病内科というのは、こういう自己免疫疾患を診てくれる内科なんですよ。
最近はよく言いますよね。免疫細胞ががん細胞をやっつけてくれるよと言ったりもするし、最近だとコロナですね、免疫細胞がコロナをやっつけてくれる。
コロナの影響で免疫細胞がバグってうまく機能しないので、ワクチンを入れることでコロナをやっつけやすくなるよとか、ワクチンを打つことで抗体ができる、免疫細胞に学習させてコロナをやっつけるとか、あとは遺伝子治療とかもありますよね。
例えば最近だと、ワクチン技術を応用してがん細胞を異物だと認識させる。免疫細胞に認識させることによって、がんをやっつける治療が研究されているところです。
熱い分野ではあるんですけども、こういうゴリゴリの理系分野で精神科とは真逆なんだよね。もうゴリゴリの生化学の世界観で、我々の文系的な精神科医とは相容れないと言うと変ですけど、まあちょっと医学部の中でも結構真逆というか、そんな感じです。
この自己免疫細胞や抗体が暴走している病気ですよと。
これが全身を巡って攻撃してしまうということです。
全身性エリテマトーデス、SLEと呼ばれる病気になります。
限定的だと甲状腺だけやっつける甲状腺機能低下症、橋本病。あと関節リウマチもここら辺の仲間です。
関節を自分で攻撃してしまう。自分の免疫細胞が関節を攻撃して足が痛いとか、そういうのが関節リウマチだし、甲状腺を壊しちゃうからそうなるというのもありますね。
◾️SLEの症状
実際どんな症状があるのかと言うと、全身を攻撃してしまうので、ウイルスとか細菌が全身を攻撃するように、自分の免疫細胞が全身を攻撃しちゃうので疲れるんだよね。
原因不明の疲労だったり、あとは熱ですね。発熱。
病気も波があるので、熱がある時とない時がありますが、発熱があったり。
あとは筋肉痛や風邪。こういうのを見ていると風邪とかって本当に言ってますよね。
あと、体重減少。
ずっと体が燃えているので痩せちゃうんですよ。
後で言うんですけども、腎臓がやられちゃうんですね。腎臓がやられた結果むくんじゃう。腎臓機能が落ちるので、むくんじゃう。
むくみの結果、体重が増えることもあったりします。
後は関節リウマチと同じように、関節の痛みやこわばり、膝が痛いとかね。
あと結構特徴的なのが、皮膚症状っていうのがあって、皮膚もやられちゃうんですよ。
日光過敏とか起きるんですけども、教科書的というかよく国家試験に出るのは、蝶形紅斑と言って、蝶のように赤くなるんですね。
そういう皮膚症状が出たりします。あとは指先が冷たくなるのをレイノー現象と言うんですけども、そういうのもあります。
つまり全身を攻撃するんですけども、全身を攻撃するということは、より細い血管とか細い神経へのダメージが強くなるんですね。
それで、炎症が起きると詰まるんですよ。詰まりやすくなるんですね。細いところが。炎症が起きると、そこにダメージ回復のところが来て、線維化するかさぶたみたいになってますよ。
だからこれもそうですよね。
僕の耳もレスリングをやっている時に潰れていって、炎症が起きてそこに水が溜まって、うみが溜まって固まるんですけれども、だから硬くなるんですね。
昔は耳が柔らかかったんですよ。こうやって全部耳に入るというか。でもレスリングをやって硬くなって今こうなっているんですけれども、それと同じように細い血管が詰まるというか、内側が狭くなるんですね。
その結果、血が送りにくくなって冷たくなる。
それをレイノー現象と言いますね。
あとは、日光に対する過敏性。
あとは、腎炎とか起きますね。腎機能低下。
腎臓というのは細い血管の集合体なんですよ。すごく細い血管があって、それがぐちゃぐちゃとあって、そこに血液が流れることで悪いものを濾してくれるんですね。
尿素と言うか毒素というか、そういうのを濾してくれてきれいになっていくんですけども、細いところが詰まるんですね。炎症によって。だから腎臓機能が落ちる。指先だったらレイノー現象、腎臓だったら細いところが詰まると腎機能低下になります。
糖尿病で腎臓が悪くなるのも一緒ですよね。細いから細いところに何かダメージが詰まっていくと、太い血管よりも詰まりやすい、駄目になりやすい。
その結果、機能が落ちてしまう。
あとは消化器系の異常、肺の炎症で肺に水がたまるとかですね。
あとは心膜炎。
神経所見で脳炎みたいなものもありますから。脳炎というとちょっと語弊がありますけど。でもまあそういうのと似ていて調子悪いとかあります。
あとは目ですね。目も細い血管の集まりですから、目が見えにくい。あとドライアイになっちゃうとかね。涙を出す機能のところとか、そういうところは細いんですよ。涙腺も細いので詰まりやすい。だから乾きやすいとかね。そういうことになります。
疲れるからうつになるというのもありますからね。
攻撃するから脳の疲れがあるから、脳に影響する。
これがうつとか不安になるとか、全身の炎症でということになります。
■SLEの診断と治療
どうやって診断するのかというと、基本的には免疫細胞の問題なので、免疫細胞が問題を起こしているということを、採血で測らなきゃいけないんですよ。あとは炎症反応が上がっているとか。
その時に使う補体価とかいうんですけども、免疫システムを補うための免疫細胞以外の補ってくるやつもいるんですよね。
だからその補体価が採血で上がっているとか、そういうものも見たりして総合的に判断します。臨床症状と採血や検査ですね。
抗核抗体の検査は専門的な施設じゃないとできないとかあったり、精神科で疲れていてるなと思って何でもかんでも採血をしたりすると保険で切られるんですよ。
そんなわけないだろ。何で疑ったんだよということになるから保険で切られやすいんですけど、だから漠然と採ってはダメで、割と疑って採らなきゃいけないということになります。
そういうものを経て診断をして治療していく。
治療はどういうことするかと言うとこれもちょっとややこしいんですけど、例えば、痛み止めや抗炎症薬を対症療法的に使うとか、免疫抑制薬、自己免疫疾患で免疫を抑制するような薬を使うとか、調整薬を使うとか、免疫系に影響を与える薬を使うとかですね。
あとはステロイドですよね。
同じ仲間ですけれども、とかを色々使うかなという感じです。
あとはヒドロキシクロロキンかな。これがマラリアとかで使っていた薬なんです。
こういうものも使ったりしますよということです。
基本的にはこのうつ症状は身体の病気が原因のうつなので、体の病気を治すことで、結果的にうつが良くなっていくので、基本的にはうつ病を直接的に狙うというよりは、体の治療をしたりします。
ただまだ原因がわかってないところとか、なかなか薬だけでコントロールがいかなかったりするので、うつ症状に対しても直接抗うつ薬や通常のうつ病での治療のようなこともやったりします。
あとはステロイドの影響で、「ステロイド精神病」とか言ったりするんですけれども、妄想が出る時もあるので、その時は妄想の治療をしたり、そこまで悪化する場合は入院して治療したりするかなということかな。色々ありますね。
あとはストレスを避ける、喫煙を避ける、運動不足を避ける、食事に気をつかうとか色々ありますけれども、そういう感じです。
難しいんですよね。
うつの症状とか疲れやすいとか、これだけだとぶっちゃけSLEを疑うということはあまりないんですよね。
うつの症状と疲労感だけだと疑わないんですけれども、ドライアイがあるとか、定期的に採血とか他の健康診断をしている人は、腎機能低下。
あとは皮膚症状と関節炎、体重減少、レイノー現象とか特徴的な皮膚の炎症を見て疑っていくということになるかなと思います。精神科でどれぐらい採血をしたらいいのかは、結構悩ましいというか難しいですね。
もちろん毎回採ればいいというのは語弊がありますが、3ヶ月に一度とった方がいいとかね、1年に一回とった方がいいとかいろいろありますけど。
3ヶ月に一回と推奨されることもあれば、そうじゃないパターンもあったりする。
ここら辺は何なんて言えばいいかわからないですけどね。
内科だと検査をすればするほど儲かるのでガンガン採血するが、精神科だと毎回とると保険で切られるかなという感じですね。
でもできれば採った方がいいんでしょうね。ただ、ウチみたいにクリニックで個人でやっていて、僕一人で採血しなきゃいけないとなると、何でもかんでもとりあえずやっておくかというわけにはいかないので、病気の症状を疑った時は採血をするかなという感じですね。
採血をしてもわからないことも多いので、その場合はちゃんと内科でとってくださいとか、体の病気を疑うのであれば、きちんと内科の先生に診てもらうことをお勧めしています。
結構ややこしいというか難しいというか。こういうマニアックなところは特にそうですね。単純な消化器とか呼吸器とか、そういうメジャーなものとはまたちょっと違います。
採血をした時には検体業者に来てもらって採血を出しているところと、自前でやれるところとはまたちょっと違いますし、色々ありますけど。
まあ餅は餅屋というか、こういう病気を疑ったら、きちんと内分泌・膠原病内科を受診してもらうというのがいいのかなと思います。
あとはうつでなかなかよくならない場合は、通常のうつ病と同じような治療をやっていたりしますよということです。
■本日の宿題
こういう医学の知識にもし興味があったら、がんの説明とか一般的な告知で出てくるような内容は説明しろと言われたら説明できますけど、もし興味があったら色々コメントください。
僕も自分の臨床と関係している範囲では説明できますから。
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