精力善用・自他共栄
どうも。藁科侑希(わらしなゆうき)です。
普段は大学教員やスポーツ現場でコーチやトレーナーをしております。
今日が378日目のnote投稿です。
本日は嘉納治五郎先生の言葉から。
柔道をやっている方、スポーツに携わる方は、一度は目にしたことがある言葉かと思います。
私も、筑波大学の前身、東京高等師範学校の校長先生としての嘉納治五郎先生として、大学時代にことあるごとに触れてきました。
「柔道の父」「日本の体育の父」として名を知られ、近代スポーツの骨子を築いてきたといっても過言ではない、嘉納治五郎先生のご尽力に想いを馳せ。
現代のスポーツのあり方や、人と人との交流について改めて考えてみたいと思います。
●嘉納治五郎先生の功績と想い
筑波大学関係の方であれば、「大学会館前の銅像の人」というと一番伝わるかもしれませんね。
卒業式・修了式では、卒業生・修了生は必ずと言っていいほど嘉納先生の象の前で写真を撮っているように思います。
柔道界への貢献、日本の学校教育の基盤作り、そしてIOC委員としてのオリンピック・ムーブメントの推進と、多岐にわたる活動で牽引されてきた偉大な方です。
標語として、この「自他共栄」「精力善用」という言葉は、在学中も教員として筑波大学で勤務している時も、ことあるごとに目にしてきましたが。
その意や想いに考えを巡らせることは、あまりなかったかもしれません。
いま、オリンピックを巡って人の刺々しい想いがぶつかっているように思っていて。
そんな中、ふと浮かんできた言葉がこちらだったんです。
なので、改めて嘉納先生が関わり始めたオリンピックを振り返りたいなと思います。
JOC(日本オリンピック委員会)のサイトに、このようにまとまっています。
ご存知ない方は、ぜひご一読いただければ。
どれだけ精力的に活動をすれば、嘉納先生のような功績につながるのか。その熱意の傾け方は、知れば知るほど脱帽する他ありません。
逆に言えば、自分たちにその嘉納先生が残してくださったことを何か一つでも引き継いで、後世に残すために何ができるのか、ということをふと考えます。
こうやってみてみると、嘉納先生の功績ややってきたこと、についてはまとまったものがあるのですが。
実際に先生が思い描いていたものや想いについては触れられたものがあまりないんですよね。
ただ一つ言えるのは、この標語の意から考えて、現代のオリンピズムやオリンピック関連のしがらみが、原点から逸れていっているのでないかということでしょうか。
精力善用|「精力」とは心と体のこと。「善用」は良い目的のために使うこと。つまり「精力善用」とは柔道で鍛えた心と体を良いことに使いましょうということです。
自他共栄|自分だけでなく他の人と助け合いながら良い社会をつくっていこうという意味です。
嘉納治五郎師範は柔道を通して世の中を良い方向に導こうという理想を持っていました。
それぞれの意味は、下記サイトから引用させていただきました。
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●精力善用とノブレス・オブリージュ
それでは、それぞれの言葉から、現代の体育・スポーツと教育の形について考えていきます。
まずは、「精力善用」から。
こちらは、持つ者・持たざる者の中で、『権威ある地位の人間』や『教育者』がどう振る舞うべきなのか、を示しているのだと思います。
道の上で先にいる存在として、どうするのか。
人をまとめ上げる立場として、どう立居振る舞い、言葉を選び、人々の熱意を起こすのか。
自ら精進する中で、人を動かし、人を巻き込み、どうムーブメントを作っていくのか。
その軸となる言葉だと思っています。
私もこの考え方は、自身の教育観の軸にしていて。
こうした芯から外れるようなことをしていないか、自分が思い描く理想とかけ離れていないか、はことあるごとに振り返るようにしています。
また、この反対をいくとどうなるかというと。
責任転嫁や言い訳だらけ。
自分のことは棚に上げて、批判だけして何も動かない。
こうした、自分勝手・独りよがりな先導者となってしまうのだと思います。
力を持つからこそ、周りを見ること。
権威を重ねるからこそ、広く考えを吟味すること。
豊かな見識と、熱意ある行動力が必要だ、というメッセージとも受け取っています。
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●自他共栄とインクルーシブ教育
そして、ノブレス・オブリージュの概念とも少し重なる部分はあるのですが。
自他共栄として、「他者とどう助け合うか」「より良い社会を目指すための協力体制をつくる」ということが求められるのだと思います。
障がい者教育やパラスポーツの世界の中では、このような言葉は当たり前のようにかわされているのですが。
一歩外に出てみると、それは一般でいう「非常識」の範囲内で。
他者を尊重しましょう。
差別をしないようにしましょう。
相手の個性を受け入れましょう。
こうした言葉に対して、表面的には同意を示すものの。
本当の意味で、それを受け入れられている人は少ないのだと思っています。
実際に、車いすユーザーの方がいたら、どう声かけをするのか。
白杖を持った方が困っていたら、どう手助けをするのか。
こうしたノウハウを伝えることも大事ですが。
そもそも、「自分ではない誰か」と一緒に生きていこう、助け合っていこうということが前提にないと、互助の精神は育まれないんですよね。
最近では、「インクルーシブ教育」という言葉もみられるようになってきました。
文科省からも、『共生社会の形成に向けて』とこのように指針が示されていたりもします。
大方針としては、とても賛成で。
しかしながら、現場的にそれを推進するには、一人一人の考え方に対してアプローチする必要もあるんですよね。
そんな中で大切になってくるのが、「特別視しない」ということでしょうか。
中でも、自他共栄の意図を反映するのは、ノーマライゼーションとも言われますが。
「誰しもがノーマルで、障がい者と等しく共生する社会」を目指す、というものです。
隔離したり、特別視したり、優劣をつけるものではない。
誰もがノーマルな存在で、尊ぶべき命を持つ存在、ということですね。
互いが互いを尊重し、受け入れ、助け合うこと。
その意識が言葉の棘を抜くことにもつながると思いますし、思いやりや気配りが自然にできる原点ともなるのだと考えています。
精力善用・自他共栄の精神を、これからも持ち続けていこうと思っています。
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今日はここまで。378日目おわり。
最後までお読みいただきありがとうございました!
それではまた明日。
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【保有資格】
博士(スポーツ医学 筑波大学)
日本スポーツ協会公認バドミントンコーチ3
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツコーチ
日本障がい者スポーツ協会公認中級障がい者スポーツ指導員
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツトレーナー
NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
NSCA認定パーソナルトレーナー
高等学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
中学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
赤十字救急法救急員
【現在の大学担当授業】於:東京経済大学・千葉大学・東洋大学
<体育実技>
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<ワークショップ科目>
●テーピング・マッサージ実習 ●スポーツ医学理論実践
<講義科目>
●健康の科学a ●健康の科学b ●スポーツとの出逢い