『教育格差の経済学 何が子供の将来を決めるのか』橘木俊詔
なんか、思ってたんですよ。緊急事態宣言が出て、学校を休校にすると、働いている家の子どもの世話を見ている保護者(その家それぞれなのでこの書き方で行きます)が仕事にいけない、在宅仕事もあまり進まなくて困る、と。そうだろうなぁ。で、じゃあ国から補助金が出る、一度だけ。そうだろうなぁ。で、もう補助金出したくないし経済回らないともっと大変だし(人の命<経済ね、まぁでも確かに経済回らないと自殺増えるだろうね)、とか考えて。休校に反対する方々を見ていると、教育を止めるな、という。教育って学校だけだったんだ。家では教育してないんだ。社会では教育してないんだ。ほほう。まぁでも、外にそうそう出られない中、図書館や美術館もしまっていたあの状況では、そういうものに頼れないので、社会という部分の教育もストップしていたと言えるのかなと思いました。が、オンラインで使えるものはたくさんあったので、それを使える環境下にある家庭なのかどうか、というところに差が出たのかなと。結局、経済格差が気になる。
オンライン授業に関しても書いてあるとうれしいなとか思ったんですが、まぁそこは欲張らないとして、ひとまずのつもりでこの本を買いました。ひとまず過ぎたかもしれない、と読み終えて思ってます。求めていたものをもう少しきちんと選ぶべきだった、私が。
ひとつ、おぉ、と思ったこと。『塾に通うことは学力向上に役立つが、国語よりも算数・数学においてその効果が高い』、と。そこはするっと終わってしまった感じがして、私自身興味があるので、どこかでもう少し詳しく書いてある本を読みたいなぁと思った。
塾に関して言えば、学力において通塾している人としていない人の格差がどんどん広がっているという話。もちろん塾に通わず成績いい子というのはいるけれど数があまりいない分、こういうデータ上だとほぼ出てこない。うーん、なんていうか、それを学校教育の質が低下した、というのはどうなの?どうなの?いいの?言っていいのそんなこと?ねぇ?主観でしょ?そこ。
そもそも、日本の学校教育に学力向上を求めているのかな。私はそこを問いたい。人間らしいとかしつけとかいじめとか、そういう話をクリアした上でなのか、それともそれを丸無視していいのか。ぜーんぶ、学校教育の質が低下した?ぜーんぶ?ぜーんぶやるの?ねぇ?不思議だわ。全部は無理でしょ。優先順位も絶妙というか。
通塾率の低い都道府県でかつ学力が高い(秋田、石川、福井)、という例外的なところの特徴のくだりなど面白かったけれど、それを、実際に、たとえば東京都に当てはめてみるというのは無理な話だし、そうなってくるとへぇーとしかならない。塾がなくても学校がしっかりしてて子どもは家で勉強していて、もちろんその地域社会での教育に対する認識が違って経済面フォローもきちんと行っているというのもあるし、子どもも保護者も学校に従う、保護者は子どもの勉強しやすい環境づくりをしている。それを長く行った結果、私立より公立の質が上がったということだと思うんだけど。ふるきーよきー…。データとして面白いなぁとは思った。
あとは、IQに関して、日本では海外と異なっているとはいえ、差別の温床となっているものを基準に違いを見ている、という点では同じなのかなと。海外では、人種によるIQの違い(これについて本の中でも深追いはなかったし、私も言及はしません。どちらかというと、そこで分けるのか、という認識)、日本では、出身地、職業、性別。これは、そうなるだろうなぁという予測通りというか。違うからこそその違いがどうなんだとデータとみるのはいいんだけど、欲しい情報を手に入れるためのデータの出し方もあるわけだし、まぁ、ねぇ。遺伝子どうこうのところじゃなくて、そこに至るまでの環境の影響も否めないし、そこを同じ状況にしたらどうなるでしょうね?というところ。そもそもなんで環境の違いがあるんでしょうねと踏み込めば、課題につながるんだと思うし。
結論の、経済格差による教育の機会平等を完全には無理でも、教育を受けたい人がきちんと受けられること、その環境整備をしていく大切さに関しては大賛成。コロナがあることで、道のりはさらに険しいともいえるし、これをきっかけにえいやっとしてしまえぇ!というチャンスでもあると思う。
そもそも今、たとえば、コロナを差し引いたところで学力向上どころの話じゃないんじゃないかな。どうだろう。この本の中では、午前と午後に分けて分散登校がある話と、クラスを少人数制にして学校教育の質を高めようという話があるくらい。一応、2020年8月10日発行となっているから、真っただ中であるはずなんだけど、うん。でも、オンライン授業をするためのタブレット端末の貸し出しどうこうとか、家に子どもが使えるタブレットがないとか、もちろんそういう話があると思う。使い慣れていないから大変(オンライン授業反対の先生方、保護者、もちろんお子さん)というのもあると思うけれど、それも始めていくしかないと思うし、なー。やっていく中で改善していくしかないと思う。
また本探そーっと。
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