見出し画像

発達が気になる子のやる気を引き出す指導法 応用行動分析(ABA)のにもとづく適応行動の身につけ方

応用行動分析について勉強する必要があったので、以前買った本を手に取る。応用行動分析には、一時期関心があったのでいくつかの本を持っているが、今改めて読み直してみると、自分のしていた行動がどのように学術的に位置付けられてきていたのかを確認することができる。昔は方策として取り入れていたけれど、その考え方に少しずつ共感できるようになってきている。

今回、読んだのはこの本だ。

本書の大きな特徴は、子どもの背景をストーリーに課題の見える行動に対して、どのような対応をとっていくとよいと考えられるのか、3択のクイズ形式になっている部分である。自分だったら、こういう意図でAにするのになと考えているけれど、実際に応用行動分析の枠組みで考えると、実はこっちの方がいいんだみたいなことがあって、そのズレが面白かった。

また自分自身が校内、特に授業や生活における行動についてのアプローチは、応用行動分析においても、同様の方法であることが多いけれど、いわゆるトークンを与える、外発的動機づけみたいなことに対しては認識が結構ずれていて、正しく理解していなかったなと考え直すことができた。
それはもしかしたら担当する学年によって、感じ方が違っていたのかもしれないし、そうした対話を子どもと積み重ねようとすることを自分自身どこかで面倒くさがっていたのかもしれない。
どうして、これまでの自分がしてこなかったんだろうと考えられることも、すごくいい気付きだった。

応用行動分析の特徴でもあるが、子ども個人の課題に焦点を当てて、そこにどのように対応策を講じていくかということが主として書かれている。
ここに学級集団の存在を考えたとき、青山新吾先生のいう「集団の中の個」をどのように見取り対応していくか。また、通級指導のような場面で学習したことを学級における学習や生活場面でどのように活かしていくか、結び付けていくかというところまで、さらに深く考える必要があると感じられた。

そのためには、やっぱり職員間の日常的なコミュニケーションが必要であるし、子どもたちの姿を真ん中に追いながら職員室で日々の指導やお互いの考え方、あり方について気軽に話し合えるような組織集団づくりが重要である。
学級の中で対応に苦しむ子どもを「うちの子」という問題意識から、いかに「学校の子」という問題意識に変化させていけるか。担任や関わる教員だけでみるのではなく、学校全体で見ようとしていけるか、そうしたことが、教科担任制をはじめ、今後の学校教育における大きな課題になっていくようにも思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?