▷パブコメ実施中◁教育振興基本計画とは?文科省が最新版を策定へ

現在、《教育進行基本計画》最新版(=第4期)の中身づくりが、文部科学省・中央教育審議会の部会において進められています。
文科省は審議の経過を公表しており、併せてこれに対するパブリックコメントを募集中(1月25日締切)です。

「教育」と名の付くものに関する政策は、すべて内包するこの計画。
スケールが大き過ぎて身近に感じづらいかもしれませんが、学校教育政策の展望を知る上で、貴重な資料と言えます。
そこで今回の記事では、次期計画にどのような内容が盛り込まれる予定なのかを見ていきます。

教育振興基本計画って…そもそも何?

その前にまず、教育振興基本計画とはそもそも何なのか?というところを少しお話しします。

2006年、教育基本法が約60年ぶりに改正されました。
改正後の同法で謳われている教育改革を、実効性あるものとするために策定が義務づけられたのが、教育振興基本計画。
計画は5年ごとに見直され、現在は2023年度から実施予定の「第4期」の策定作業が進められている段階です。
(第1期は2008年〜、第2期は2013年〜、第3期は2018年〜)

基本方針は《誰一人取り残さない》《グローバル人材の育成》など

いま議論されている第4期計画の中身を見ていきましょう。

計画には、まず大まかに「国の教育を巡る現状・課題・展望」が示され
そのうえで「基本方針」⇒「教育政策の目標/目標実現のための施策」の順に、書き記されています。

【今後の教育政策に関する基本方針】

グローバル…グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成
「誰一人取り残さない」…誰一人取り残さず、すべての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進
地域&家庭…地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進
教育DX…教育デジタルトランスフォーメーションの推進
(※これらに加えて、⑤計画を実行するための基盤整備&対話)

続いて、上の基本方針に基づく【教育政策の目標/目標実現のための施策】について説明しますが
目標は全部で16、施策の数は100近くに及びます。
本記事では主に小中学校での学校教育に関連することに焦点を当て、注目に値する項目を抜粋して紹介します。
(カッコ内は、基本施策の項目を補足説明したもの)

【教育政策の目標/目標実現のための施策】

〈目標1〉 確かな学力の育成、幅広い知識と教養・専門的能力・職業実践力の育成
〈施策〉
個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実
◯学習指導要領の実施
(⇒主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善の推進/カリキュラム・マネジメントの確立)

〈目標2〉 豊かな心の育成
〈施策〉
◯子ども基本法を踏まえた、子どもの権利利益の擁護
体験活動・交流活動の充実
(⇒地域・企業・青少年教育団体・学校等の連携による、自然体験活動集団宿泊体験活動など。 その他、農山漁村体験活動、国際交流活動、地域間交流活動など)

〈目標5〉 イノベーションを担う人材育成
〈施策〉
探究・STEAM 教育の充実
優れた才能・個性を伸ばす教育の推進
(⇒突出した意欲や能力を有する児童生徒の能力を伸ばすため、大学・民間団体等と連携した学校外での学びの機会や、国際科学コンテストなどの機会の充実等)
起業家教育(アントレプレナーシップ教育)の推進
(⇒各教科等の授業における起業への理解促進&起業体験活動の推進/拠点都市を中心に産業界・自治体等と連携したアントレプレナーシップ教育のプログラム等の提供を支援)

〈目標6〉 主体的に社会の形成に参画する態度の育成・規範意識の醸成 
〈施策〉
◯子どもの意見表明
(⇒子どたちに関わるルール等の制定や見直しの過程に、子ども自身が関与した事例の周知など)  

〈目標7〉 多様な教育ニーズへの対応と社会的包摂
〈施策〉
◯特別支援教育の推進
不登校児童生徒への支援の推進
(⇒学校における学びの在り方の基本的な考え方を整理し、多様な学びを実現これらの児童生徒が必要な支援につながれるような環境を整備/不登校特例校の各都道府県・政令指定都市での1校以上の設置を推進
特異な才能のある児童生徒に対する指導・支援
(⇒特異な才能のある児童生徒の理解のための周知・研修の促進/多様な学びの場の充実/特性等を把握する際のサポート/ 学校外の機関にアクセスできるようにするための情報集約・提供/実証研究を通じた実践事例の蓄積など)

〈目標9〉 学校・家庭・地域の連携・協働の推進による地域の教育力の向上
〈施策〉
◯コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進
◯部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行

〈目標14〉NPO・企業・地域団体等との連携・協働
〈施策〉
◯NPO との連携
(⇒フリースクールなどの民間施設や NPO 等と積極的に連携し、課題を抱えている児童生徒が誰一人取り残されないよう多様な支援を実施)
◯企業との連携
(⇒地域や企業と学校が連携・協働し、リアルな体験活動の機会の充実に取り組む/学校が地元企業等と連携した起業体験、職場体験活動、就業体験活動の普及促進を図る)

※上記はすべて案であり、パブコメに寄せられた意見や、年度内に1〜2回開かれる予定の部会を通じて加筆・修正される可能性があります。

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国の教育政策に関する“大元の方針”を示す教育振興基本計画。
今後、具体的な施策や事業がここから展開されていくこともあるはずです。
一般市民の意見を直接行政に届けられる、パブコメも現在実施中です。
ぜひ関心を寄せてもらい、教育政策を現場に即したものに近づけていく機会と捉えてもらえたらと思います。

よろしければ、ぜひサポートをお願いいたします。 電話代をはじめ、「教育行政かわら版」の取材経費にあてさせていただきます。 100円などでもとっても助かりますし、お気持ちを大切に巡らせたいと思います。