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小説を書いてみました。
きっかけ
基本1ヶ月に1記事を目標に運営している当NOTEですが、止むに止まれぬ事情があり、7月の更新がありませんでした。
理由はいくつかあるのですが、そのうちの一つについてお伝えしたいと思います。
それは、表題の通り「小説を書いていた」からです。
ライター名乗ってるくせに、小説家もやりたいのか、欲張りだなぁと思うこと勿れ、詳細はお伝えできませんが、寄稿することになったので書いてみたという次第です。
しかし、しかしです。
一丁前に小説を書こうとしたわけですが、ワタクシ……
小説を書いたことが一度もありません。
じゃあなんで小説書くんだよとツッコまれると弱いです。正直興味本位です。一応書き上げたので、こちらの記事を書いているわけですが、書いている途中面白いかどうかもわからなくなります。頭がこんがらがる。
ただ謎の自信はありました。よく小説を読んでいるので。と言っても8割ライトノベルですけれども。
そんなわけで(?)、前置きが長くなりましたが、どういうことを考えて小説を書いてみたか、私の備忘録とすると共に、ど素人のメソッドを紹介してみたいと思います。
設定作り
小説だけでなく、創作をしようと思った時に必ず物語のベースを決める必要があると思います。
私が考えたのは、
・コンセプト
・登場人物
・時間設定
・舞台設定
です。
コンセプト
まず、コンセプトです。
コンセプトと言っても、物語の大枠を決めるということです。
例えば漫画で考えてみると、ワンピースは海賊、ナルトは忍者などわかりやすいテーマがあるとそれに沿った物語作りができるので、大枠を決めるのは大事だと思います。(もちろんそれだけでは面白い作品ができるわけがないので、あくまでテーマ決めとして海賊、忍者で表しています)
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まず何かテーマとしてあげるなら、ほぼ全ての人間が関心を持つ病気を例にとってみましょう。
難病をテーマにすれば、そこからの復活劇、恋愛もの、悲劇など考えるだけでも色々なコンセプトが思い浮かびます。
私の勝手な解釈ですが、難病をコンセプトにした恋愛もので有名な作品として、『君の膵臓を食べたい』があると思います。(私はそう解釈しただけなのでみんながそう思うかはわかりませんが)
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私がボロ泣きした映画は、これとポケットモンスターアドバンスジェネレーション七夜の願い星ジラーチと陽だまりの彼女くらいです。
『アルプスの少女ハイジ』で、クララが車椅子から立ち上がる有名な場面がありますが、あれも大まかに言えば難病からの復活として捉えることもできると思います。
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こいつ適当なこと言ってんなと思われるかもしれないですが、要はあくまでコンセプト決めなので、それくらい適当でも構わないということです。
実際に私は、今回書いた小説のテーマを特定の病気にして、解説をふんだんに盛り込んだハートフルコメディーにしようと思っていました。
……思っていました。
登場人物
ちょっと変に含ませてしまいましたが、その答えは後述するとして、次に登場人物です。
正直私は構想を練っている時、ここが肝だと思いました。
登場人物は基本的に自分が描きたい小説を完成させてくれるピースなので、詳細なデータを作る必要があります。
特に主人公の設定を曖昧にしてしまったら、ストーリーを考えるときに辻褄が合わなくなることが多々あるでしょう。
そのため、語り部となる主人公の設定は嫌というほど細かく決めました。
まず基本情報から。
・氏名
・性別
・年齢
・身長
・体重
・出身地
・性格
・口癖
・所属する団体(会社や学校など含む)
・交友関係
…e.t.c.
もし必要であれば、
両親の年齢
病気の既往歴
兄弟の有無
婚姻歴
子供の数
子供の年齢
親、子供の職業
…e.t.c.
を考えるのもいいかもしれません。
家族構成なんていらなくね?と思われるかもしれませんが、物語を作るに当たって、必要になる場面は意外とあると思います。
ふと普段読んでいる漫画を思い返してみると、意外と登場人物の親や兄弟が出てくる時があります。
(蛇足ですが、『僕のヒーローアカデミア』という漫画を読んでいたら、轟焦凍くんの親父が出てきて、「なんやねんこいつ」と思ったものです。学園ものに親出すんかい!って。でも良く考えたら、序盤にデクくんのお母さん出てきましたね。なんでもないです)
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コンセプトを考えた時点では出演させる予定がなくても、物語を考えていく中でキーパーソンとして必要になる場合があります。そのため、考えておいて損はありません。
(ヒロアカの焦凍くんの親父…キーパーソンになってましたもんね)
蛇足に蛇足を重ねてうやむやになりましたが、何を主張したいかと言うと、「何を書くかに関わらず、人物はリアルな人間並に解像度を高くしておいた方がどんなに物語があらぬ方向に転がってもなんとかなる」ということです。
私もストーリー作りに行き詰まった時に主人公と他の登場人物の設定に助けられたものです。
一応、どんなにいっぱいデータを作っても、使わないものもあります。むしろ使わない方が7割くらいあると思います。
それでもめげずに考えると、どこかで自分を救ってくれるはずです。
時間設定
次に、時間設定です。
これは、どういう種類の物語を作るかによって左右されますが、ことに日常ものを書くときは重要になると思います。
なぜなら、大きな事件が起こりづらい場合、季節の推移で物語を動かすためです。(もちろん全部が全部そうではありませんが、私の考えうる中では、ということです)
私が学生時代バイブルとして愛読していた『生徒会の一存』というライトノベルを例にとりましょう。
もうすでに完結しているのですが、一言で物語を表すと「一室の会話だけで完結するギャグ」ものです。もちろんラノベなので恋愛要素もありました。
そんな中でどう物語を進めていくか、どう終わらせるかを見ると、必ず季節(春に入学したばかりで過去をひきづったままだった自分を〇〇が変えてくれた…のような)や学校行事(入学式、卒業式)が出てきます。
『生徒会の一存』の場合は、学校行事などに準じた「動く物語」と駄弁り90%の「動かない物語」を「登場人物が執筆している」という体で同時に書いていたので、ここら辺すごい上手いなと思っていました。すみません蛇足です。
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ことに、恋愛ものは時間設定が肝になる場合が多いのでとても重要だと感じます。
翻ってミステリーやホラーなど場所や人物に重点が置かれる物語は、あまり時間軸を気にしていない印象があります。(もちろん事件が起きた時間などがオチに使われる場合があるので全てが全てではありません)
舞台設定
最後に舞台設定です。
簡単に言うと、どこで物語を展開するかですね。
これはストーリーの都合によると思いますが、背景として考えるか全ての主因として考えるかによると思います。
例えば、ラブコメで象徴的な、告白をするシーンが砂浜で行われていたとしましょう。
これは、主人公が相手と海に行って告白することを考えてたとして、あくまで砂浜で告白するというのは結果論としての舞台設定になります。
もしかしたら、洋上で告白するかもしれないし、海で遊んだ帰りの電車で告白するかもしれませんから。
翻って、サスペンスなどで密室殺人が行われていたとします。
もう言わずもがな、その一室でほぼ物語が完結します。
あまりに極端な出例なので、比較にもならないかもしれませんが、舞台設定は作り上げたストーリーに応じて、その重要度を変えていけば良いと考えています。
個人的な話をすれば、私は若干サスペンス要素を入れたにも関わらず、全く舞台設定を練っていませんでした。
1からやり直します……
以上が、私が考えた物語を作る上で必要な設定作りです。
参考にするかしないかはあなた次第!!ということで実際に物語を作ってみたいと思います。
実際に書いてみる
もう何を書くかを決めていれば、それを文章に落とし込むだけだ、と意気揚々とペンをとったわけですが(自分の手で書いた方が文字起こしに時間がかかる分違和感をすぐに見つけられると思ったので)、どのように構成しようかという壁にぶつかりました。
オチつけ
世に出ている小説を読んでみると、
・起承転結
・序破急
・○部構成
など、小説全体をどのように組み立てていくかという骨組みはありふれているのですが、意外と最初の外付けたる導入部分は多種多様です。
ただ、ここはそこまで悩むところではないと思います。なぜならおそらく書いていくうちに少し崩れていくので。
というわけで私は起承転結で書くことに決めました。
正直私もそうなのですが、字面だけ見ると、『起承転結』って起があって、承があって、転があって、最後に結ぶと思いがちではありませんか?
しかし、実際書き始めるとそんなうまくはいきません。
導入部分が見つからないのです。
建築にすれば、ラーメン構造とか2✖︎4とか決まっていて、骨組みまでできているのに、外壁の色が決まらない状態です。
そこで、何か参考になるかと、様々な小説を本棚から引っ張り出し、導入部分を比較することにしました。
ライトノベルに多いのは、主人公の回想や独白です。もとい自己紹介ですね。
ビジネスものに多いのは、現代社会への問題提起や自身の置かれている状況の分析です。
設定が特殊(現実に即していない)なものは、やはりその世界の説明から入ることが多いです。
やはり何かしらその物語の核心に関わる部分を少し触れておくというのが定石なのかもしれません。
ということで、私は主人公の自己紹介から入りました。
「もう上京して数年経つ。今は〇〇という会社でこんなことをしている…….」という感じに。
当初はそれでうまくいきました。不思議なほどに。
しかし、またすぐ壁にぶつかりました。
起承転結で言うところの転です。
どうやって物語に起伏を持たせるかと言うのは、作者の手腕が一番問われるところであると思います。
私はそれがどうにもできず、平坦なまま終わらせようとしていました。
もうムカムカして原稿用紙破りました。仕草まで文豪みたいになってしまいます。
そこで何が問題かを分析してみた時に、私は『ワンピース』の作者・尾田栄一郎先生の言葉を思い出しました。
実はワンピースの内容をエニエスロビー編以降知らないのでどの場面でのことかはわかりませんが、一度尾田先生が1ヶ月ほどの休載をしたことがありました。(確か物語としても2年間それぞれ修行するみたいな感じでしたでしょうか)
その時の取材で尾田先生は、「結末はすでに見えているから、今はそこに行くための肉付けをしている」というようなことを仰いました。
うろ覚えなので、間違っていたらすみません。
そう。結末をあらかじめ決めているのです。
もしかしたら、普通はそこから考えるのかもしれませんが、素人がゆえ完全な盲点でした。
ここで、起承転結を順番通りに書くという私の中の常識が崩壊しました。
でも、よく考えればそうですよね。
終わりが見えていないと取り留めがなくなるなんて当たり前のことが、小説を書くとなると見落としてしまうのです。
そこで、私はもう一度設定を見直して、結末から考えてみることにしました。
想定外
本記事の#コンセプトのところで、「今回書いた小説のテーマを特定の病気にして、解説をふんだんに盛り込んだハートフルコメディーにしよう」と書いていました。
しかし、最後に含みを持たせて「思っていました」と締めています。
そのネタバレをしたいと思います。
結末から考えることにシフトしたのですが、解説をふんだんに盛り込むハートフルコメディーを作ろうとした時、安易に退院ルートを考えました。
しかし私が取り上げようとした特定の病気は、はっきり言って完治不可の病気です。というか変に隠すのも意味がないので言ってしまうと認知症です。
簡単に言うと、認知症はショック性など外的要因から起こるもの、アルツハイマーなど内的要因から起こるものがあります。
その中で私が取り上げようとしたのが、アルツハイマーでした。
アルツハイマー型認知症は、現代の医学ではまだ完治不可能です。一度診断されてしまったら、進行を遅らせるくらいしかできません。
つまり、退院ルートが現実的に不可能なのです。
もちろんファンタジー要素を入れて、奇跡的に治ったと言う描写はできるかもしれませんが、リアルな描写を志したためにそういったことはできませんでした。
となると、浅学な私が書けるのはもう破滅ルートだけでした。誰も幸せにならない形です。
もうハートフルとはおさらばです。
また、解説をふんだんに盛り込む方を選択したのですが、今回書いた小説は文字数制限が設けられていました。
つまり、解説ばかりしていると物語が進みません(そこまで器用にストーリーを作れません)。
そこで解説もほぼ放棄しました。
もう最初に考えたコンセプトが「特定の病気を取り上げる」しか残っていないです。
しかし、考え方を変えると、そこは変えられない軸として残っていると言うことです。
なので、特定の病気=認知症を絡めて物語を作ることにしました。感覚としては三文小説と似ています。
進行を決める
認知症を取り上げる時、私の中では二つ選択肢がありました。
1.語り手がだんだんとボケていき、独白もままならなくなる。
2.語り手に深く関わる人物に認知症になってもらい、主人公がそこに付き添う
当初1で進めようとしました。
そのほうがセンセーショナルだと思ったからです。
でも、認知症患者の頭の中は、一般の人が思うよりも複雑です。なぜなら行動が読めないから。
もちろんそれを分析した本もありますが、文字数や期限が設定されているとなると、知識を得るための時間が圧倒的に足りません。
そこで、半ば消去法ではありますが、2で進めることにしました。
2で進めるところまで決めたら、結末をつけるのは簡単です。介護エンドです。
介護をしている中で何を思ったか、亡くなった後にこの人の偉大さに気づいたという形でも良いでしょう。
私の場合は介護エンドではありませんが、結局「この人はこんなことを考えていたんだ」という結末に落ち着きました。
結末を考えれば、起承転までスラスラ出てきます。
印象的な導入
結末を考えたことで、どのように物語を進めるかが大方決まりました。
とすれば、導入部分をどうするか問題が発生します。
結末を考えれば起承転までスラスラ出てくると書きましたが、正直表現方法は多種多様なので、読みやすく、興味をひきやすい導入というのが欲しいところです。
そこで、私はしょっぱなから事件を発生させました。
もう転を初めに持って来ちゃいました。
内容は細かくは書けませんが、語り手たる主人公に絶望してもらいます。
主人公の性格によると思いますが、私は主人公をそこそこの温室育ちマダムにしたので、受ける衝撃もいかほどのものかと思います。
私の浅はかな想定ですが、読んでいる方は最初から「えっ!?」となること請け合いです。
もちろん、私が素人なのでこういったことでしか面白いと思えなかった、というのはご留意の上でお読みください。
おそらくプロの方はこんなことはしないでしょう。
そこからの内容はほぼ独白と事件の連続で最後まで突っ切りました。いつか公開できる日が来た時に高らかに「こんなん作りました!」と宣言したいと思います。
まとめ
ちゃんと伏線回収もできたので、個人的にはこの記事を書けて満足です。ただ、例のごとく冗長になってしまいましたので、読んでみようと思ってくれた方は猛者です。無名のライターがあなたを称えます。
真面目な話をすると、意外と小説を書くとなったとき、あれこれ設定なりなんなりを考えていても、書いていくうちに変わっていきます。
私もハートフルどころか180°違う悲劇になってしまうのですから、抗えない流れなのだと思います。
しかし、書いていくうちに意外と感情移入できるもので、私も結末に近づくにつれ、とあるキャラクターが述べた言葉に書きながら涙していました。
ただそれすらも楽しみながら小説を書くことができるのであれば、どんな作品でも良いものになるのではと考えています。
もし、小説を書こうと思っているけど、語彙力がないし…とか、書いたことないし…ということで尻込みしている方がいるのであれば、「まずは書いてみて!」とお伝えしたいです。
私も色々な小説を読んで自分で書きたいと思いながら何年も過ぎていましたから。きっかけをもらえた私は幸せなのだと思います。
すでに誰に見せるかもわからない次回作を考えている私は、今や気分は小説家です。
この記事は私のモチベーションを上げると同時に小説を書きたいけど書いてないという方を応援するためのものとしたいと思います。
それではまた、次の記事でお会いしましょう。