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【愛知旅行記 #1】トラブルの神はいる。そう思った。

きっかけ

ある時、私は思った。

「中京競馬場に行きたい」と。

今まで中央なら東京と中山。地方なら大井、浦和、船橋、高知、金沢と数々訪れたが、まだ見ぬ競馬場の数は行った競馬場よりはるかに多い。

というわけで、旅行がてら中京競馬場に行くことにした。愛知旅行である。

愛知に行くならどこがいいかを考えると、オーソドックスな名古屋城や熱田神宮などが思い浮かぶが、今回一緒に旅行する同行者から「ジブリパークに行きたい」と要望された。

2022年11月にオープンしたジブリパークは、2024年3月に「魔女の谷」エリアが完成し、全エリアが開放された。

私自身「千と千尋の神隠し」からジブリ映画はほぼ見ていたので、興味が湧き、目的地の一つとした。

というわけで今回は「ジブリパークと中京競馬場」に行くことになったのである。

ところが……




冗談だと言ってくれ

同行者と一週間前に旅行の計画を詰めるために色々調べていたのだが、二人とも呑気に構えていた結果……

ジブリパークが入場に事前予約制のチケットが必要であることを失念していた。

ディズニーリゾートやユニバーサルスタジオジャパンに行く時は思い浮かぶ初歩の初歩を、なぜジブリパークでは必要ないと思ってしまったのか……

中央競馬も開催日の入場には事前に申し込みが必要だというのに、これは失態も失態、大失態である。

詳細としては、3種類のパーク入園券があり、すべての種類で入場する日付の指定をしなければならない。
券の種類によるが、大体1ヶ月前には購入ができるようになっていた。

そして、我々が考えている日取りは土日祝日の三連休。混まないわけがない。
おそらく2週間前までには売り切れていただろう。

というわけでジブリパークは諦めざるを得なくなった。
旅行に行く時は何かしらトラブルがないと気が済まないのか。

と、一瞬悲嘆に暮れたものの……


撮れ高ならぬ書き高はあるなぁ〜なんて思っていた。現金なやつである。



愛知観光をしよう

何をどう考えても、ジブリパークに行けなくなってしまったのは変えようのない現実である。

であれば、他の場所を観光しよう。
目的地に行けなくなったから今回はやめようなどという考えは毛頭ない。不退転の覚悟である。

そこで、オーソドックスではあるが、私から「名古屋城」「清須城」「熱田神宮」を提案し、同行者からは「徳川美術館」を提案された。
時間があれば、名古屋飯を食べたいところでもある。


そして経路を調べ、効率よく見たいものを見る旅行にすることを決めた。
二日目は中京競馬場を一日堪能し、三日目の帰る日は名古屋駅周辺や犬山城などを観光しつつゆっくり帰ろうということになった。

金沢では、計画のゆるさから新幹線に乗り遅れるという経験をしている。
今回は綿密に計画を立てて、見たいものを見逃さない旅行にしようと強い決意を持って臨んだ。


車へのこだわり

三連休初日。私はなぜか新潟にいた。

同行者が新潟から向かうことになっていたので、東京で合流して東海道新幹線で名古屋まで向かうことも考えてはいたのだが……

私からの提案で、新潟から"車"で愛知に行くことにした。


そもそも、当初予定していたジブリパークも中京競馬場も名古屋駅から結構遠い。

もちろん電車で行くことは可能だ。東京競馬場と同じように中京競馬場も駅直結のアクセスの良い競馬場である。
ジブリパークも、名古屋からは電車で30分以上かかるものの、駅を降りたらもうパークが見渡せる。

ただし。ただし、だ。

ジブリパークの所在地が愛知万博の跡地「愛・地球博記念公園」で、ここは名古屋市から東に30kmくらい距離がある長久手市にある。
そして、ジブリパークから中京競馬場がある豊明市は20kmくらい離れている。

距離を見るだけでも遠いことがわかる。

その上、ジブリパークから中京競馬場に関しては、電車で行くとなると名古屋市の千種駅や金山駅を経由して行かないといけない。ドアtoドアで1時間30分くらい。


長々と前置きしたが、何が言いたかったかというと、名古屋駅を起点に電車で向かうとなるととにかく時間がかかるのである。

名古屋を拠点にしていけば、上記の悩みもある程度解消されるかもとは思ったものの、とにかく移動を楽にしたい心理が強く働いてしまった。


色々回りたいのに、移動に時間をかけすぎるなんて勿体無い!!と思った私は、以前運転したことがある同行者の車で、交代しながら運転することを提案した。

これが新潟から車で行く理由だ。


1日目

徳川美術館

ようやく本題に入る。

新潟から出発したのは、午前5時30分。早い。

しかし、それもそのはず。

新潟から愛知まで300km以上もある。東京から三重県の四日市市くらいの距離である。

元々ジブリパーク行きを計画していた時はそもそも午前4時30分出発予定だった。

早い。

朝から回ろうと思うとこれくらいの時間になるのである。


新潟を南下し、長野経由で岐阜にちょっと入り愛知県に入った。

まず向かうは、徳川美術館。

なぜそこからかというと、地図を見て一番辿り着きやすかったからである。


新潟で上信越自動車道、長野市から長野自動車道、岡谷市で中央自動車道を経由し、小牧市から愛知県に入った。

小牧JCTから東名高速と進み、春日井ICで国道19号線に出る。

そこからはほぼ道なりで名古屋市に入り、東区徳川町という、それそのものの街に徳川美術館は立地していた。


一応カーナビ通りに進んだのだが、どうやら入口を間違えたらしく、まずタクシー乗り場のタクシー待機列に突っ込んでいった。

先頭で休憩していた運転手の方に「ここは違うぞ」と手で指し示された。

しかし、ここは初めての土地。調べ直すにも時間がかかると思った我々は、運転手の方に駐車場の場所を聞くことにした。

「道戻ってすぐの信号右に曲がったらあるよ」とぶっきらぼうに言われ、その通りの道を進んでいくと、少し分かりづらくは合ったが地下駐車場の入り口を見つけた。

25分毎100円。15分で300円なんか取ろうとする東京に比べれば良心的な価格。最大料金も1,000円で思ったほど高くない駐車料金を確認し、停車した。
(ちなみにきちんと調べ直したら、タクシー乗り場のもっと先に無料の駐車場があったらしい。仕方がない。これは寄付である)

3度くらい休憩して時刻は10時30分頃。5時間もかかっていた。

長い道のりだったと時計を見て噛み締めていた。


駐車場から地上に上がると公園があり、その奥に木でできた入り口があった。見るからに裏口だ。

後で気づいたが、ここは徳川園の入り口だった。

そこをくぐると、京都の嵐山にある有名な竹林を思わせる道があった。風情を感じつつ数十メートル進むと、大きな広場に出た。
左手には趣のある建物、正面では神社の参道のような場所でフリーマーケットが行われていた。

案内を確認すると左手にある趣のある建物が徳川美術館だとわかった。

徳川美術館

チケットを購入して、入り口に進むと本多忠勝の鎧が出迎えてくれた。

時間によっては徳川美術館の概要を案内してくれるガイドがついてくるようなのだが、ちょうどガイドの方が案内する時間の中間で入ったため、待つ時間を惜しんで展示物を見ることにした。

詳細はぜひ行っていただきたいところだが、簡単に言うと「徳川家にまつわる収蔵品を全国各地から集めた宝庫」だった。


そして、基本写真撮影も許可されていて、パシャパシャ写真を撮っていた。

後で知ったことなのだが、どうやら写真撮影が可能な資料にもきちんとルールがあるらしい。

1.資料としての写真撮影を行うこと(記念で展示品と自撮りみたいなことはしない)
2.本館収蔵品のみ写真撮影可能(他の博物館や美術館から借りている資料の写真撮影は不可)

この二点である。

美術館にしろ、博物館にしろ、その主体は展示品である。
観光目的で行くことについては問題ないだろうが、そこにある資料を娯楽の道具にしてはいけないのだということを、深く胸に刻んだ。



資料をじっくり見て、常設展示をまわり終えると、「夏季特別展 もののふの備え 馬とともに」という企画展示が行われていることに気付いた。

武士たちが馬と親しんできた歴史を、馬にまつわる資料から紹介するというものだが、競馬を見ている身としては興味の惹く内容であったので、見てみることにした。

古来から武芸として騎馬を嗜んでいた武士にとって、馬は戦の相棒とも言うべき存在。
そのため、江戸時代でも武家の子女は馬術を教養として習得していたそうである。

馬を模った陶器や、鞍の時代による移り変わり、絵画から見る日本人と馬との歩みなど、多岐にわたる展示がされていた。


徳川園

気付くとすでに13時30分。なんだかんだ3時間も展示を見ていた。

昼食をどこで食べるかを考えつつ、地図を見ていると「徳川園」という文字を見つけた。

腹の虫を宥めつつ、興味の向くままに徳川園へ入園券を購入して入場した。


徳川園は一言で言うと、だだっ広い庭園だった。

真ん中に大きな池があり、その周りを囲うように竹林や松が要所要所に植えられている雰囲気の良い庭園で、写真を撮る手が止まらなかった。



30分ほどかけて全体を回ると、さすがに腹の虫も暴れ出す。

昼食を求め、徳川園を出ると、高級そうな暖簾をかけている屋敷が併設されていることに気付いた。

その屋敷の名前は「蘇山荘」。暖簾の下に置かれていたメニューを見ると軽食を用意してくれる食事処のようだ。

徳川美術館を出て、遅くなった昼食を食べるにも周りは住宅地である。食事処を探すだけでも手間がかかるだろう。

腹の虫を収めるには絶好のタイミングだと思い、その格式の高そうな暖簾に臆することなく門を潜った。


時刻は14時30分を回っていたものの、人気な場所のためか満席となっており、15分ほど待つことになった。

店員さんに呼ばれて入店すると、明治期の洋館のような趣の内装に、だいたい10席ほど机と椅子が置かれていた。

そのうち窓側の席に案内され、メニューを開くと、「きしめん」の文字が。

是非とも名古屋飯を食べたいと思っていたので、渡りに船とばかりに注文した。


つゆが少し濃く、うどんを思われせるような見た目だが、麺にはコシがありとても美味しくいただけた。

ものの数分で完食してしまい、少し物足りなかったためメニューを見直すと、お茶を提供しているようだった。

京都や静岡の高級銘柄を取り揃えており、一杯2,000円は下らない値段で少し驚いたが、尻込みしていては旅行に来た意味がないと思い、注文することにした。

ぜひ当地で味わってほしいが、お湯と茶葉を急須に入れる順番などが指定されており、お店のお茶へのこだわりを感じた。

(正直貧乏舌なので、味については「美味しいお茶」としか言えないのが辛いところである)


熱田神宮

きしめんとお茶で空腹を満たし、満足感の中向かったのは熱田神宮である。

名古屋の名所の中でも有名な所だが、行ったことがなかったため初めて参拝をした。

ちなみに同行者も目的があるということで聞いてみると、いつか見た参道を闊歩している金色の鶏を見たいとのことだった。

話を聞いて私も少し気になったが、神社に来たならまず参拝をしなければならないと思い、真っ先に本宮へと向かった。

お参りをして、境内を散策しているうちに様々な景色と出会った。

今は使われていない橋。説明書きを見るのを忘れた……



熱田神宮に来たのなら、宝物殿で草薙の剣を見たいと思っていたのだが、社務所を含め、関連施設が軒並み17時に閉館してしまっていた。

そう、気付くともう17時を回っていたのである。時間の流れが早すぎてびっくりする。


お参りをしてしまったため、どうするかを考え、結果ゆっくり散歩することにした。鶏が闊歩しているところを見たいし。

そして、歩くこと30分。

鶏を見ることなく、猫とカラスと風景の写真を撮って、熱田神宮を後にした。
やったことはお参りと散歩だけである。それでも、豊かな自然を感じられて、有意義な時間であった。



宿泊場所小噺

本当なら、名古屋で宿泊して夕飯なども名古屋飯で豪華にいきたいところだったのだが、当初の目標をジブリパークと中京競馬場に定めていたため、その近辺に宿泊をすることにした。

その場所は、三河安城。新幹線が停まる駅である。

名古屋から車でだいたい1時間くらい。スムーズに行けば30分過ぎくらいのこの立地がとても良いと考え(なお名古屋よりも一泊の値段が安い)、そこに宿をとった。


ちなみに三河安城なのだが……

新幹線が停まる駅にしては、意外と閑散としている。

もちろん観光地然としていて、駅前にホテルやレンタカーショップなどはあるのだが、意外と食事処が少ない。


というわけで、1日目の夕食は駅前にあった中国人がやっている中華料理店にした。

目的はもちろん台湾ラーメン。

どれくらいの辛さのものが出てくるのか、怖いもの見たさに注文してみた。

見た目は辛そうだ。
一緒に注文したビールで喉を潤しつつ、スープを少し口に含んでみる。

……意外と辛くない…?

そう、意外と辛くない。


台湾ラーメン自体が日本発祥であることも関係しているかもしれないが、日本でお店を出している以上日本人の味覚に合わせて料理を作っているのかもしれない。

そんな気遣いを堪能して、1日目を終えた。


終わりに

だいぶ駆け足になってしまったのだが、1日目は色々な所を予定通りに満喫することができた。


はずだったのだが……


当初の予定はジブリパーク。
それが頓挫し、名古屋観光に切り替え「名古屋城」「清洲城」「熱田神宮」「徳川美術館」に行く予定を立てた。

しかし、行けたのは「徳川美術館」と「熱田神宮」だけである。

おかしいな。

そう思い、熱田神宮を出た後になぜそうなったか考えたが、答えは一つだった。

「徳川美術館を堪能しすぎた」

これだけである。


なぜこうも私は旅行が下手なのか……

身につまされる思いである。


それなら明日は、もっと効率良く色々巡ろう!!と考えたが……


明日は競馬場に一日いるだけなので、予定も計画もひったくれもない。


二日目。競馬をします。乞うご期待。


2日目↓




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