本邦初公開のニュージーランド映画!にもかかわらず、がっかり「バトルトラック」(1983)
日本含め、「マッドマックス2」のパチモンは雨後の筍のように作られたが、ニュージーランド映画「Battletruck」(別題: 「Warlords of the 21st Century」)もその一つにして、なんと日本初公開のニュージーランド映画。1983年公開は、ジェーン・カンピオン監督「ピアノ・レッスン」の10年前、パーシー・ジャクソン監督「ロード・オブ・ザ・リング」の20年前。
ニュージーランドの牧歌的だが曇り空が広がって陰気な景色に、黒煙と爆音をあげて黒い戦闘トラックが走る。アメリカ軍で使用されていたM35 2½トントラックに重厚な装甲、銃器、スパイクや鋲、金属プレートなどの装飾などの改造を施した代物。
オフロード走行も適したこの非常に大きく、画面上で圧倒的な存在感に我らが主人公が乗っている…のではなく。これは略奪者たちの持ち物であり、が平和に暮らす人々のコロニーへと襲い掛かる。
マイケル・ペック演じる主人公ハンターが小型トラックダッジ M37やオフロード・バイクを駆使して、凸凹だらけの大地で泥臭い「激突」を、このバトルトラックと繰り広げる…というのが大まかなあらすじ。
結論から先に言ってしまえば、勝利した主人公は『シェーン』のラストのように荒野に去っていく。まんま「マッドマックス2」である。
本作がB級である理由は、メル・ギブソンに劣る主演の魅力、スピード感のない演出、出番も数も少ない車両にもあるが、導入にも問題があるだろう。冒頭流れるラジオが例のごとく核戦争後の状況設定を語るのだが、
具体的な地名を並び立てているにもかかわらず、所詮は他人事、昨今のWEBニュースのトップ画面に並ぶ悲惨な世界各地の出来事をただ述べるだけに終始。結局何を言いたいのか。まるで説得力のない導入部。
他人事で語るのではなく、主人公が一人称で語る、作劇の重要性に気づかされること間違いなしだ。