「ここNASAでは肌の色など関係ない!」_『Hidden Figures』(2016)
作品の中身よりも邦題のせいで日本では味噌がついてしまった感のある、マーゴット・リー・シェタリーのノンフィクション本を原作とした2016年の映画「ドリーム」(原題:『Hidden Figures』)より。NASAで働いていたアフリカ系アメリカ人女性の数学者たちが、アメリカの宇宙開発に大きく貢献した実話を描いている。
あらすじは以下の通り:
(ライトスタッフ的に呼べば)「人間を自由世界で最初に宇宙に飛ばす」偉業を支えた裏方たちの、偉大な物語。三人の女性:キャサリン、ドロシー、メアリーは、強い意志と、数値や理で通す巧みな弁舌で、自分そして偉業の前に立ちはだかる障害を、次々とタフに乗り越えていく。その成り上がっていく様が、見ていて実に心地よい。
有人宇宙船計画の表舞台に立っていた男たちも、また、強い人間として描かれている。計画の最高責任者:アル・ハリソン(演:ケビン・コスナー)は数字にだけでなくリーダーシップについても強い力を振るう。
との強い信念を胸に、「差別」の象徴だった、人種分けするトイレの標札をハンマーで打ち砕く姿は圧巻の一言。
フレンドシップ7号のパイロット:ジョン・グレン(演:グレン・パウエル)は、選ばれたからといって奢ることのない、「大衆に愛される好漢」として登場する。(その雄姿の裏に隠された葛藤は、「ライトスタッフ」を参考にされたし。)
脚色が目につきすぎる難はある。(なかでも目につくのが、IBMによる着水地点の計算が怪しいと分かり、フレンドシップ7号発射当日になってキャサリンがその検算を依頼される終盤のヤマだ。)
それを差し引いしても、「誰もが「人類は重力から抜け出せない」「差別はあってあたりまえ」常識を打破しようと強く燃えていた。」60年代初頭の熱気が伝わってくる。そこに惚れる。