シェア
卒業式前日のホームルームだっただろうか。 一人ひとりへむけての寄せ書きをまわしながら…
一九九六年、夏、ぼくは山にかこまれた静かな障害者施設から、大阪のターミナルの一つ梅田ま…
ただいま、午後十時二十分。オシッコをガマンしながら、この原稿を書きはじめる。ベッドの上…
十歳ごろだった。 施設には、毎日のように学生ボランティアが訪れて、食事やお風呂の手伝…
なにも書きはじめていないモニターを、ぼくはしばらく見つめていた。 ぼくの生きてきた長い…
すこし顔を左へむけると、ぼくの視野の中へくすんだ緑の野球帽が独特な存在感を漂わせながら…
目が覚めると、もう泊まりと朝のヘルパーさんとの交代時間だった。ゴールデンウィークのころだったので、窓際のベッドには日が差しこんで寝間着代わりのTシャツは汗でびしょ濡れになっていた。年に何回あるかないかの熟睡のあとだった。ぼんやりした頭の中で、空腹と濡れたTシャツの不快感が肩を並べていた。 長年、介護を受けてきた習性でどちらを先にするか、寝ぼけていても反射的に順序を決めるように脳ミソが働きだす。 ヘルパーさんからすれば、着替えてから洗濯機をまわして食事の準備に取りかかる
「思いこみコロナ」のおかげで、ずっと通いつづけてきた作業所と疎遠になり、毎日のように昼…
「ぼくを探す旅4」を書こうとして、4に目が行ってしまった。縁起が悪い数字だ。 この間…
おトイレから食事までひとりでできないぼくの生活は、多くのヘルパーさんたちがシフトを組ん…
二十五年間、介護をする人たちと文化住宅の一室を借りて生活を続けてきた。 長かった施設…
天皇代替わりの奉祝ムードの中で、ぼくはすこし割りきれない気持ちで毎日を過ごしていた。 …
ぼくのガラケーの登録名「弁慶が止まらない」くんは、仕事と趣味のお節介が高じて、ほんとう…
ついさっきのこと。 ぼくは、このマガジンにまったく別のことを書こうとしていました。 十行ほど進んだところで、急にオシッコがしたくなったんです。 さっそく、ソーシャルディスタンスを守りながらぼくの言葉をパソコンに入力してくれていたSくんに、お願いしたんです。ベッドの上でのけぞるほどになっちゃって…。 彼は入力を中断して、要領よくシビンを受けてくれました。 無事、オシッコを出しきった瞬間、ぼくははっきりと言ってしまったんです。 「マル!」。 一瞬の間がありました。