「石丸構文」への対応について
そろそろ都知事選の話題は終わりにしたい(時間が経って、はじめて分かることがあればまた書くかもしれないが……)のだけど、さすがにこれではまずいのでは……と思うことがあったので取り上げたい。
結論から述べれば、石丸伸二の支持者や(僕の身の回りに比較的多い)「改革派」は、「蓮舫ザマア」とか「これだからリベラルはダメなんだ」と、後出しジャンケン的に負けた方に石を投げて自分を強く賢く見せるムーブを止めるべきだし、逆に蓮舫支持者は3位になった悔しさを、石丸伸二個人へのなりふり構わない中傷を行うことで内輪で盛り上がり、溜飲を下げるべきではない。
このように2位と3位が潰し合って一番喜ぶのはどう考えても小池百合子と、彼女が「野合」する政府自民党だ。一連の双方のムーブは明らかに自分たちの士気を上げるために潜在的な同盟相手を過剰に攻撃し、「敵」に利している。とりあえずスッキリしたいのだろうけれど、さすがにもう少し落ち着いて東京都と日本の未来を考えて欲しい……
結論を先に書いてしまったが、少し解説しよう。まず「改革派」の「蓮舫ザマア」ムーブについて。これは、本当に卑しい。そもそも2位になった人たちが3位をバカにすることで1位になれなかったことをごまかしている時点で滑稽だ。それはあなたたちがさんざん揶揄した「2位じゃダメなんですか」とどこが違うのだろうか。そして、もっと言ってしまえば今の日本で、政治的に劣勢なリベラルを選挙のたびに(後出しジャンケン的に)バカにして、つまり不利なほう、弱いほう、負けたほうをバカにして自分を強く、賢く見せるというのはもっとも安易で、卑しい行為だ。少なくとも僕は軽蔑しか感じない。そして政治家やメディア関係者や言論人の多くが、こういった「卑しい言説」が票やカネになることを知っていて、実践していることが現在の「冷笑の時代」を、政治的なニヒリズムを加速させていることは間違いない。この種のムーブがしっかり軽蔑されることが、まずはこの国には必要だと思う。
そして蓮舫支持者の石丸伸二個人への中傷も、正直言って目に余る。ちなみに僕は石丸をまったく支持していない。ここで予告した通り、当日も蓮舫に投票した。しかし選挙後、つまりここ2日間の左派によるネットリンチを用いた印象操作で石丸個人を貶めて、溜飲を下げるムーブは本当にまずいと思う。これでは、ネトウヨや冷笑系とやっていることが変わらない。はっきり言ってこれは「界隈的にコイツは敵認定」を確認し合う効果しかない。ウッカリ石丸に投票した人に、ちゃんとこの種のポピュリストを支持するリスクを説くコミュニケーションに全くなっていない。みんなで共通の敵を殴りそれを肴に美味しくビールを飲む姿をムラの外に見せると、何が起こるか少しは考えるべきだと思う。
特に僕がまずいと思ったのは開票当日のある番組での石丸へのインタビューだ。
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u-note(宇野常寛の個人的なノートブック)
宇野常寛がこっそりはじめたひとりマガジン。社会時評と文化批評、あと個人的に日々のことを綴ったエッセイを書いていきます。いま書いている本の草…
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