#21 人も庭も情
我が家の小松菜は、僕の背丈に迫る高さにまでに大きくなった。
その横では、ほうれん草と蕪と春菊も花を咲かせている。
三つ葉はとニラは、イネ科の雑草と一緒くたになり、ニンニクやセロリは色味が増してきた。
二十日大根は、二十日以上たつけれど以前小ぶりで、ブロッコリーは今更花蕾を大きくし始めた。
スナップエンドウは白い花を咲かせ、クローバーは真っ赤な花を、アブラナ科のみなさんは黄色で庭を彩っている。
甘夏はようやく2mmほどの芽を全身に纏い、ブラックベリーとラズベリーも柔らかいがたくましい葉を開き、日に日に伸びている。
明日葉や日野菜、オーツ麦に水菜そしてスイスチャードもそれぞれに活き活きとしている。
「情が湧くね。」あるやつがそう言う。
僕も「そうなんだよ」と返す。
前は収穫できるかどうかが関心事だった。
そのために種を植え、成長を見守り、手を加え実りをいただいてきた。
ところが最近、収穫はゴールではなくなった。
ただただ、伸び伸びと生を全うしようとしている様子を見せてくれるだけでなんだか満足してしまう。
ときおり、お裾分けをいただくくらいであれこれ心配して手を加えることも止めてしまった。
自然を対象物として見る視点、特に野菜に対しては強かったのだが、少しずつまるで人に接するように情が第一に湧くようになった。
それで、お庭作りも随分愉しくなってきた。