今、振り返る19世紀からの思想の歩み(6) 知らず知らずに?
「パンとサーカス」とは、食べ物と娯楽を適当に与えておけば、人はものを考えなくなる、要するに、思考しない人々になるっていうこと、そう理解できる。言うまでもない、支配する人たちの継続支配の原則になる。
しかし、独裁者や独裁政権の中には、自分のところへ来た金銀、財宝を集めて、人々のパンに回さずに済むならそうしようと、権力に胡坐をかく手合いが出てくる。というか、そういう話ばっかり(笑)。ごちゃまんとそうしたことを歴史は教えてくれるもので、それを年齢や経験を経るごとに深め、広めて・・・とは、そうならない。それが現実なんだろう。
本を読んだり、考えたり、意見を交換したりと、人間は人生を開拓し、周りや社会を豊かにしてゆく力を発揮できる。その方向を目指し、形作るのが民主主義の目指すもので、言ってみれば民主主義の正体、本質というものなのだ。だから、人の生活と命を守り育てる。それを明かすのが望ましい社会ってものだろう。これって弱い?ダメなんだろうか?
世界の各所でデモクラシーを下地にしていると思われる議論が、局面の解説や予想に終始し、それはそれで意味のある事なんだが、果たしてそれで済むんだろうか、と思うことが多い。
言わずもがなだろうが、支配構造の上部に行こうとする人ならば、それがどの分野であれ、民主主義を身にまとう学習、思考、仲間を必要とするはずだ。少しでも偉くなりたい、だから総理大臣を目指すなどとは、小学生の夢なら拍手もしたくなる?ものだけれど、大人となると語るに落ちる話になる。拍手じゃなくて、ビンタもんだろうね。しかし、現にそう語る政治家(屋)がいるし、なろうとするんだから呆れるしかない。
要するに、学ぶためには、自分の時間がまず必要である。しかし、杞憂だが、見るところ、エライさんにその気配は見られない?言い過ぎになるかも知れないけれど、ゴルフや付き合い、「雑事」に空いている時間を費やしている人が多すぎはしないだろうか。
難関試験を突破してきた人たち、例えば官僚たちがしっかりしているかどうか。この前、財務省末端の方が、上部からの命を受け、公文書の改ざんを迫られて、奥様を置いて自ら命を絶ったという事件をぼくらは忘れていない。組織優先の発想を、自明のこととして叩き込むような、あってはならない傾向を当然と受け止める人々が多くないのだろうか。
あまり言いたくない(書きたくない)けれども、人々を丸め込むには、肝心なことはできるだけ密かに行うこと、人々の目や耳を娯楽に向け、美辞麗句を声高に前面に出すこと。まさにそれこそ「パンとサーカス」。そうそう、民主社会にとって大事なことや考えるべきことをできる限り知らせない。そして、時間をかけて取り繕うこと。あの北による日本人誘拐、横田めぐみさんのことをいつまでも僕らは忘れないし、日本が強く要求しているんだろうか、よく分からん!自国の民がよその国の手で略奪されたのに、だ。
追記: 書く気になった。ちょっとだが、ある会合で横田夫婦と会話したことがある。1977年11月15日に、めぐみさんは中学1年の時❕誘拐され、北朝鮮に連れ去られたのだった。それから47年もたっているのだ。「救出するために全国で講演や署名活動を行い、歴代の総理大臣にもお願いし続けてきたのになぜこんなにも動かないのか不思議でなりません。まったく進展がなくいらだちとむなしさと悲しい気持ちでいっぱいです」とは、NHKの取材に対するめぐみさんの母親、早紀恵さんの言葉だ。父親はもうこの世を去ってしまった・・・。
正直に言う。国民が拉致されたのだ。国民全体の問題であり、到底許すことができない。政府は国民の代表なのだ。単なる政治家集団の代表なのではない。歴代の彼らは最早国民を守ろうとはしていないのだ。(ほとんどの政党、政治家に言えるかもしれないし、ジャーナリズムにも大体当てはまろうものだが)一つの物語を続けているに過ぎない。ドンナ物語か。それは北朝鮮に対する憎しみを煽り続け、その非人道性がお隣の中国、ロシアにも及ぶという、伝来の反共主義効果を長くナガーク保つことだ。お陰で、正しく見えるのが民主主義を標榜する日本やアメリカである。めぐみさんだけではない。70年代~80年代に行われた拉致被害。本当に被害者の方々の胸の内、家族のことを思うと言葉がないのである。
北朝鮮や中国、ロシア等が反民主主義であることは言うまでもない。これとても歴史があり、思想の問題から明かす必要がある。これはこのシリーズの目的であり、及ばずながらぼくはその任を思わずにはいられないでいる。しかしとも角、自分たちは選挙の1票だけ、後は任せる式の考え方が反民主主義に近いということを、何よりも国民一人一人が知らなければならない。この政府を選んでいるぼくたち国民に非がないとは言えないのである。2023年12月1日記
上様のご機嫌をとること、斟酌することに敏感になり、それがうまく呑み込めない人は、「落ちこぼれ」なのさと思う。人倫、倫理も道徳も、その道には影が見えない。人事が全てだったりするからだが…。書いていて嫌になりますねぇ(苦笑)。 思うに、2014年、安倍氏の第二次政権時に成立した「内閣人事局」を例に出したい。これは官僚に対する政治家優位に留まらず、取り返しのつかない民主政治に対する壁を作って、禍根を残したと思う。ちょっと詳しく言うと、国家公務員制度改革関連法案を可決し、総務省行政管理局の査定(組織や定員の管理)部門、人事・恩給局の旧人事局関係部門などを統合する「内閣人事局」を新たに作ったのである。 昨今では、決まってからの報道でもう遅い!と声を大にしたいのだが、国立大学法人法の改正案が本年11月20日、衆議院を通過した。25日の集英社オンラインが「この改正案による大学教育への悪影響は多岐にわたる。」と書くくらいなんだが、そしてその通りなんだけれども、関係者以外それを知る人、早い話が国民のほとんどは事前にそのことを知らない。
民放が頑張ればいいんだけれども、NHKニュースがこの審議について報道を怠ってきたということ。政治報道が余り信じられなくなっているなぁ。救いようがないほど、民主主義の放棄と言わざるを得ないんじゃないか。
どうして日本がこのようにだらしのない国になったのか。それを意識せずに済むはずはないんだが!
和久内明(長野芳明=グランパ・アキ)に連絡してみようと思われたら、電話は、090-9342-7562(担当:ながの)、メールhias@tokyo-hias.com です。ご連絡ください。
【大事な附記】
今年(2023年、令和5年)は、病気(肺炎と気管支炎)で、ほとんど、生きるか死ぬかの体験をしました。まだまだ、前のようには行かないのですが、病中ベッドに張り付きながら思ったものです。23年間行ってきた9月11日の会〈9.11メモリアル〉を実行する力が無くなったのではないかと。新たな展開をするしかないと覚悟を決め、幸い準備してきたのですから、本年を舞台形式の最後にするということです。当日は、車の送迎で、何とか会場に着いたものの、座って動かないのが精一杯。しかし、です。最後にふさわしく、同時多発テロの犠牲者、戦争と平和という、今日につながる問題に、一流の腕と思考力、想像力を駆使する方々の熱演で、素晴らしい舞台空間となりました。ご来場の皆さまは無論のこと、感謝しきりです。ぜひ、下に掲げるユーチューブをご覧になって欲しいと思います!!
1) 黙とう 22回を数えて、「戦争と平和」を改めて問う
和久内明 https://www.youtube.com/watch?v=esDn8Rn3I3I
2) 「無伴奏バイオリンソナタ」(第3番 1,3,4楽章 バッハ)
田澤明子 https://www.youtube.com/watch?v=iNxt05HqAIQ
3) 琵琶演奏 「風の宴~琵琶独奏の為の」(2002年)
塩高和之 https://www.youtube.com/watch?v=Jfe-9ZKQrWI
4) 「二つの月」(作曲・塩高和之)
塩高和之、田澤明子、津村禮次郎
https://www.youtube.com/watch?v=SJwonmmiqSE
5) 「良寛」第2部
津村禮次郎、塩高和之、中村明日香
https://www.youtube.com/watch?v=_e_3nHxrw8k
6) ギター、イラン打楽器、能舞のコラボレーション
「鎮魂、紛争犠牲者に捧げる」 山口亮志、蔡怜雄、津村禮次郎
https://www.youtube.com/watch?v=hrShTsizMHc
以上、和久内明