派手な登場をしたものの、期待を裏切らないほど砥上は役に立たなかった。
長編ファンタジー小説 獣の時代〈第1部〉第1章 4、金の鉤爪、銀の斧②
弾けるような音とともに建物の屋根を巻き添えに魔法陣が吹き飛んだ。
「マジかよ」
あまりの呆気なさに驚く秋山の視界を斜めに横切り、狗鷲の姿の砥上が降りてきた。が着地に失敗したのか、勢い余ってごろごろと床の上を転がる。
「ばか野郎、何しに来た」
「助けに決まってるじゃん」
むくりと起き上がり、体を揺らして羽毛を整える。こういった仕草もだいぶ板についてきたようだ。
空の覇者たる猛禽類ではある