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ショートショート・ストーリー【SSS】

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#SF

小説【351字】異星の瞳

小説【351字】異星の瞳

『異星の瞳』雑踏で私は足を止めた。
通りすがりの人の瞳が、一瞬だけ輝いた気がして。

その日から、人々の目が気になり始めた。
瞬きの合間に、異質な光を放つ瞳。

ある日、鏡を覗くと、私の瞳も変わっていた。
虹彩が渦を巻き、宇宙が広がっているかのよう。

パン屋に入ると、店主が私を見て微笑む。
「待っていました」
その瞳も、宇宙を映していた。

裏路地に案内され、そこで真実を知る。
私たちは地球外生

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【SSS:939字】透明な渇き

【SSS:939字】透明な渇き

透明な渇き ある日の街中、空に奇妙な水滴が現れた——

 私は本を読むのが好きだ。特にミステリー小説に夢中になる。謎解きの過程で、頭の中で様々な可能性を巡らせるのが楽しい。そんな日常の中、ある晴れた日の午後、都心の雑踏を歩いていた時のことだった。

 突然、周囲の人々が立ち止まり、空を見上げ始めた。私も釣られて顔を上げると、驚くべき光景が広がっていた。空に、巨大な水滴のような物体が浮かんでいたのだ

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透明な夏

透明な夏

 都心の裏路地を歩いていると、突然の違和感に襲われた。猛暑のはずなのに、体が涼しい。周囲を見渡すと、人々の姿が透き通って見える。私だけでなく、皆が半透明になっていた。

 不思議に思いながら歩を進めると、古びた本屋が目に入った。店内に入ると、一冊の本が目を引く。表紙には『透明化の謎』とあった。

 本を手に取ると、中から一枚の写真が落ちた。そこには巨大なスイカと、透明なカブトムシが写っていた。写真

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