湧澄嶺衣

ショートショートを主に発信しています。 ミステリーを中心に、1分未満で読めるものから短編まで。拙い作品ばかりですが、お読みいただけたら幸いです。

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マガジン

  • ショートショート・ストーリー【SSS】

  • 【短編】封印された遺跡の秘密

  • 【短編】異界の森

  • 【短編】神話SF古事記

    神話と未来が交差する衝撃の物語。太古の神々の時代から未来の宇宙進出まで、壮大なスケールで描かれる日本神話のSF再解釈!量子の海から生まれた神々が宇宙を創造し、イザナギとイザナミが地球をテラフォーミング。アマテラスは光子エネルギーを操り、ツクヨミは暗黒物質の秘密を暴く。スサノオの暴走は気象制御装置の危機を招き、ニニギノミコトは高度文明をもたらす。海底都市での異星生命体との遭遇、銀河間ワームホールの発見、サイボーグ武者と人工知能の戦争、そして惑星規模ネットワークによる新世界秩序の樹立。日本神話の枠を超え、SF要素満載で紡がれる『新古事記』。想像を絶する未来と壮大なスケールがあなたを待っている!人類の起源から宇宙の果てまで——神話の世界が一変する!​​​​​​​​​​​​​​​​

最近の記事

小説【301字】肖像の迷宮

『肖像の迷宮』私は、写真館でポートレートを撮ろうとしていた。 シャッターが下りる瞬間、眩い光が走る。 現像された写真には、知らない私が写っていた。 着ている服も、表情も、年齢さえも違う。 不思議に思い、もう一枚撮る。 今度は、また違う私が写っていた。 写真を重ねると、そこに物語が見える。 これは、私の別の人生なのか。 「目覚めの時です」 カメラマンが告げる。 写る姿は、年老いた私自身だった。 「これは全て、あなたの可能性」と語りかけられた。 「無限に分岐する人生の中

    • 小説【319字】金属の記憶

      『金属の記憶』都心の路地で、私は立ち止まった。 鋭い金属臭が鼻をつく。懐かしい匂い。 その日から、街中で金属臭を感じるようになる。 人々の吐く息、建物の隙間から漏れる風。 ある日、自分の手から同じ匂いが。 鏡を覗くと、皮膚が金属のように輝いていた。 パン屋に駆け込む。店主も私を見て頷く。 「目覚めの時ですね」 その店主の体も、金属光を帯びていた。 案内された地下で、真実を知る。 私たちは機械。人の姿を借りて潜伏していたのだと。 「さあ、変換を始めましょう」 もう一人

      • 小説【351字】電柱の記号

        『電柱の記号』路地裏……私は一本の電柱の前で足を止めた。 そこに刻まれた不思議な記号が気になった。 写真に収めようとすると、ファインダーの中で記号が動く。 気づけば、街中の電柱に同じような記号が浮かび上がっていた。 記号を繋ぐと、巨大な魔方陣のような模様が浮かぶ。 その瞬間、街の風景が歪み始める。 建物が溶け、人々が消え、電柱だけが残る。 そこへ、もう一人の私が現れる。 「これが本当の姿」と告げるもう一人の私。 「電柱は異世界への扉。あなたもその管理人の一人」 記憶

        • 小説【346字】夢幻の住人

          『夢幻の住人』都心の古書店で、私は一冊の本を手に取った。 開くと、そこには見知らぬ街の地図が描かれている。 地図を眺めているうちに、周囲の景色が溶け出す。 気づけば、私はその地図の街にいた。 街を歩けば、どこか懐かしい。でも初めて来たはず……。 住人たちは皆、私を知っているかのように挨拶をする。 「お帰りなさい」老婦人が言う。 「長い旅でしたね」 私の中で、記憶が蘇っていく。 この街の住人だった私。でも、それは本当の私? 現実世界の記憶と、この街での記憶が交錯する。

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        • ショートショート・ストーリー【SSS】
          92本
        • 【短編】封印された遺跡の秘密
          4本
        • 【短編】異界の森
          5本
        • 【短編】神話SF古事記
          10本

        記事

          小説【313字】蒼光の記憶

          『蒼光の記憶』都心の雑踏で、私は足を止めた。 目の前で、蒼い光が一瞬煌めいたような。 その日から街に、深く青い色の蒼い光が見え始めた。 建物の隙間、人々の影に、微かに蠢く蒼い輝き。 ある夜、鏡を覗くと、瞳に蒼い光が宿っていた。 その瞬間、記憶の氾濫が始まった。 見知らぬ風景、聞いたことのない言葉。 それは私のもの、でも私のものではない。 蒼い光に導かれ、知らぬ間に歩いていた。 気づけば、無数の私が佇む広間に立っていた。 「目覚めの時」声がする。 「本当の記憶を取り戻

          小説【313字】蒼光の記憶

          小説【219字】闇の峠

          『闇の峠』 険しい山道を進む。写真を撮るため、私は好奇心に駆られてここまで来た。  峠に差し掛かると、突如として霧が立ち込め、視界が遮られる。不安に駆られながらも、カメラを構える。  シャッターを切った瞬間、霧の向こうから人影が。慌てて逃げ出すが、足を滑らせ転倒。目が覚めると、見知らぬ部屋のベッドに横たわっていた。  枕元には一冊の本。開くと、そこには私が撮ったはずの写真が。しかし、霧の中の人影は鮮明に写っており、その顔は……私自身だった。

          小説【219字】闇の峠

          小説【335字】魂の収穫祭

          『魂の収穫祭』雑踏で、私は足を止めた。 行き交う人々の影が、突然消えたような気がして。 その日から、人々の影が気になり始めた。 歩く度に揺れる影が、少しずつ薄れていく。 ある日、自分の影を見ると、それも薄くなっていた。 そこへ、影のない老人が近づいてきた。 「収穫の時期です」老人は私に告げる。 「あなたの魂も、もうすぐ熟します」 気づけば、私は見知らぬ祭りの中にいた。 人々は踊り、歌う。だが、誰も影がない。 「さあ、収穫祭の主役です」もう一人の私が現れる。 「魂を捧

          小説【335字】魂の収穫祭

          小説【351字】異星の瞳

          『異星の瞳』雑踏で私は足を止めた。 通りすがりの人の瞳が、一瞬だけ輝いた気がして。 その日から、人々の目が気になり始めた。 瞬きの合間に、異質な光を放つ瞳。 ある日、鏡を覗くと、私の瞳も変わっていた。 虹彩が渦を巻き、宇宙が広がっているかのよう。 パン屋に入ると、店主が私を見て微笑む。 「待っていました」 その瞳も、宇宙を映していた。 裏路地に案内され、そこで真実を知る。 私たちは地球外生物。記憶を消し、人類に紛れていたのだと。 「さあ、目覚める時です」 もう一人の

          小説【351字】異星の瞳

          小説【337字】夢幻潜入

          『夢幻潜入』古書店で、私は一冊の本を手に取った。 開くと、そこには「潜入捜査の手引き」と記されている。 ページをめくる度に、周囲の景色が変わっていく。 気づけば、私は見知らぬ組織の一員となっていた。 記憶が書き換わる。私は潜入捜査官。 だが、何を捜査しているのか思い出せない。 組織の中で、私は昇進を重ねていく。 そして、ついに最高幹部となった時。 鏡に映る顔が、本来の自分ではないことに気づく。 そこへ、もう一人の私が現れる。 「目覚めの時です」そう告げる私。 「あな

          小説【337字】夢幻潜入

          小説【325字】前人類の遺伝子

          『前人類の遺伝子』私は足を止めた……。 雑踏を歩く私の目の前で、通行人が突然姿を変えた。 人々の姿が歪み、獣のような姿になっていく。 だが、誰も気づいていない。私だけが見えるのか。 恐る恐る歩を進めると、景色が一変する。 そこは原始の森。巨大な獣たちが闊歩している。 「目覚めたのね」声がする。振り返ると、獣の姿の私。 「あなたの中の前人類の遺伝子が」と告げる。 現代と原始が重なり合う風景。 私の中で、人と獣が交錯する。 「選びなさい」獣の私が言う。 「進化するか、退

          小説【325字】前人類の遺伝子

          小説【315字】湖底の記憶

          『湖底の記憶』都心の地下鉄駅。私は階段を降りていく。 降りても降りても、終わらない。 気づけば、そこは巨大な地底湖の岸辺。 水面に映る景色は、懐かしい街並み。 湖面に足を踏み入れると、水中に引き込まれる。 だが、息はできる。歩くこともできる。 水中都市。建物は朽ち果て、人々は泡となって漂う。 その一つ一つが、記憶の欠片のよう。 泡に触れるたび、見知らぬ記憶が蘇る。 私の物語。私ではない誰かの物語。 湖底に、もう一人の私が横たわっている。 「これが本当のあなた」水中の

          小説【315字】湖底の記憶

          小説【316字】魔法陣の迷宮

          『魔法陣の迷宮』路地裏の古書店。私は一冊の本を手に取った。 開くと、そこには複雑な魔法陣が描かれている。 指でなぞった瞬間、世界が歪んだ。 気づけば、巨大な魔法陣の中心に立っていた。 周囲を見回すと、無数の扉が浮かんでいる。 それぞれに、見覚えのある風景が映っている。 「選びなさい」 声が響く。 「あなたの運命を」 恐る恐る、一つの扉に手をかける。 開くと、そこは別の私の人生。 扉をくぐるたび、私は変わっていく。 何度目かの扉の向こう。そこに現れたのは—— 魔法陣を

          小説【316字】魔法陣の迷宮

          小説【321字】小石の記憶

          『小石の記憶』都心の雑踏。私は足元の小石を拾った。 掌の中で転がすと、不思議な感覚が走る。 目を閉じると、見知らぬ光景が浮かぶ。 開くと、そこは別の場所。別の時代。 私の姿も、着ていた服も変わっている。 そこへ、知らない人が近づいてきた。 「お待ちしておりました」と、私に語りかける。 状況が飲み込めないまま、私はついていく。 街並みが変わるたび、私の姿も変化する。 そのたび、小石が熱を帯びる。 「あなたの記憶は、この石の中に」 案内人が告げる。「あなたは誰になりたい

          小説【321字】小石の記憶

          小説【293字】逆映する世界

          『逆映する世界』都心の雑踏。私は足を止めた。 水たまりに映る空が、暗闇に変わっていく。 周りを見回す。誰も気づいていない。 私だけが見えるのか。 恐る恐る水面に触れる。 すると、体が吸い込まれるように沈んでいく。 目を開けると、そこは逆さまの世界。 建物は天井から生え、人々は逆立ちして歩く。 私だけが『正しい』向きで立っている。 だが、周囲の人々は私を奇異の目で見る。 「あなたもようこそ」誰かが話しかけてくる。 振り返ると、逆立ちした私自身がいた。 「これがあなた

          小説【293字】逆映する世界

          小説【305字】壺の中の都市

          『壺の中の都市』都心の古道具屋。私は一つの壺に目を奪われた。 中を覗き込むと、小さな都市が広がっている。 驚いて顔を上げると、店主が不気味に笑う。 「お客様にぴったりの品ですよ」 気づけば、私は壺の中にいた。 頭上には、さっきまで自分がいた店内。 巨人のような店主が、壺を持ち上げる。 揺れる景色。私は転がるように逃げ出す。 そこは、縮小された都市。 人々は皆、私と同じく壺から落ちてきた者たち。 「ここから出る方法は一つ」誰かが言う。 「自分の中にある、もう一つの壺を

          小説【305字】壺の中の都市

          小説【313字】匂いの迷宮

          『匂いの迷宮』都心の雑踏。私は立ち止まった。 甘い匂いが鼻をくすぐる。懐かしい香り。 その匂いに導かれるように歩き出す。 気づけば、見知らぬ路地に迷い込んでいた。 そこで私は、もう一人の自分に出会う。 「やっと来たわね」と微笑むその顔。私そっくりだ。 彼女の後をついていく。街が変容していく。 建物が溶け、道が伸び縮みする。 人々の姿が消え、かわりに色とりどりの霧が漂う。 それぞれが異なる匂いを放っている。 「これがあなたの本当の世界」ともう一人の私が言う。 「匂いで

          小説【313字】匂いの迷宮