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【映画感想】落とし物を想う『掘る女』
突然ですが、問題です!
遺跡の発掘調査で出土した土器や石器などは、研究の前に必ず「ある場所」に運ばれます。
そこはどこでしょう?
答えは、警察署。
遺跡から出土したものは、法的に「持ち主のわからない落とし物」として扱われるので、警察署に届け出ないといけないです。
ドキュメンタリー映画『掘る女 縄文人の落とし物』
今回鑑賞したのは、
『掘る女 縄文人の落とし物』2022年公開
縄文遺跡の発掘調査に携わる女性たちをテーマにしたドキュメンタリー映画です。
発掘調査は、暑い夏も寒い冬も屋外で土を掘る大変な作業です。
遺物を傷つけてしまうのいけないので、重機も使えません。
人の手で、慎重に丁寧に掘り進めていきます。
そんな調査に参加する女性たちは、定年間際の研究者から就活中の大学院生、その道20年のベテラン作業員から初参加の作業員まで、年代も経歴も実に様々です
でも、皆さんに共通するのが、とっても楽しそうなこと。
泥まみれになりながら、おやつを分け合い、小さな出土品に一喜一憂し、笑う。
出土品を語るその表情からは、弾けるような好奇心が溢れ出ています。
もう、見ている視聴者まで、楽しくなっちゃうくらい。
一年間に実施される発掘調査の数は、8000件以上。
今日も日本のどこかで、彼女たちは、掘って、笑って、輝いているのです。
落とし物を探す意味
個人的に好きなのは、北玉川遺跡でのエピソードです。
日本には埋蔵文化財保護法があるので、文化財が埋まっていそうな場所を工事する場合や、工事中に新しい遺跡や遺物を見つけた場合、地域の教育委員会に届ける必要があります。
工事が始まれば「落とし物」は破壊されて失われてしまう。
だから、工事前に発掘調査が行われるのです。
岩手県の北玉川遺跡もそんな遺跡の一つ。
東日本大震災の被災地支援のために整備している「復興道路」の建設予定地にある遺跡です。
その北玉川遺跡の発掘を指揮するのが、調査員の八木さん。
八木さんに、カメラマンが問いかけます。
「発掘よりも、地域の復興を助ける道路を優先すべきでは?」
八木さんは、迷いなく、はっきりと答えます。
自分の仕事に誇りを持っている人の言葉でした。
八木さんの回答ですが、私ではうまく言語化できないので、ぜひ映画をご覧下さい。