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人の部屋見て吾が人生考え

なんでこの本買ったんだっけ。四条烏丸の大垣書店で買って、枕元に置いていた。フルカラーの写真が主で、文字情報の少なさからふと手に取っても頭への負担が少なく、つい見返してしまう。いい本。

数日前、就業日の午前中。職場で泣いてしまったから、死にたくなった。

もうだめだ、仕事辞めるしかない。
まだ入って4か月も経ってないのに、もういられなくなってしまった。
こんなんじゃ次の職も見つからないに違いない。
自分で働いて生きていけない女なんて、彼氏もいずれ面倒見きれなくなるんだ。
もうだめだ。生きていく術がない。
ここまで頑張ったのに。悔しい。

頭の中はこればかり。

ところで、都築響一『TOKYO STYLE』であるが、この本に出てくる部屋はどれも、小綺麗な地方都市に生まれ育った私からすれば「汚い」。

東京はもっときれいで、なんでもあって、きっと……

田舎者の幻想は打ち砕かれる。

しかしフルカラーの写真の端にある都築氏による説明が、粉々になった幻想の上に想像の種を蒔く。

彼らが成功していようと、まだ涙を呑んでいようと、住んでいる部屋は、現代の私たちからしたら同じような部屋に見えてしまうのがやばい。
あと、家具をそこらへんで拾ってきたっていう人がかなりいるのもやばい。
現代のインターネットなら即刻コメント・リプで「窃盗では?」という指摘が相次いで炎上確定である。

この本に載っているような部屋を作って生活していれば、だいぶ光熱費も抑えられるだろうし、このレベルの部屋ならば、現代ならもっと安く借りられるはずである(知らんけど。立地が良くて古ければそれなりだろうし)。

東京もこちらも一日は24時間しかなく、昼をどのように過ごすか、夜をどのように過ごすかであって、お金持ちだから、都会の人だから豊かというわけではない。
都会に住んでてもいつもゲームしかせず外に出ない人だっているだろうし、田舎にも同じような生活の人はいる。
結局はライフスタイルの問題。

働いたら、読書して、音楽を聴いて眠る。それで満足して生活していけたら、職場で涙が出たからって死のうとしなくていい気がしてくる。

この本を読んでいると、自分が望むものの際限のなさを思い知らされる。
身体を壊すほど頑張って、私は何がしたいのだろう。
ページをめくるたびに、フルカラーのにおいに顔をしかめながら、
知らない人の生活を覗き見て、考える。

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うさぎあな
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