カナダで教会の葬儀ミサ(Funeral Mass )を体験しました
カナダ生活11年目のWakeiです。
よく映画やドラマであるような教会やセレモニーホールにりっぱな棺(casket)があり、個人が眠るように横たわっている、そんなお葬式には私はまだカナダで経験したことはありません。
ただ、亡くなってから、しばらくしてからの「故人を偲ぶ集まり」は何度か見たことがあります。
パーティ形式では、食べ物や飲み物が用意され、故人の好きだったものや写真などが展示や家族、友人のスピーチや故人の人生を振り返るビデオが上映されます。アルコールが飲める会もあり、和やかに賑やかに行われるので、初め私はそのパーティーが「故人を偲ぶ会」だったと気づかなかったくらいです。
そして最近、知人の夫の「Funeral Mass(葬儀ミサ)」にクワイヤーとして参加しました。Funeral Mass と呼びますが、亡くなられた直後のミサとは違います。亡くなられてから1カ月以上後のもので、「故人を偲び送るミサ」というイメージです。
平日の午前にも拘わらず、ミサに100人以上の方が来ていたのにはびっくりしました。
ミサは歌と祈りで粛々と進行します。キリスト教では死を天国に行くこと、と捉えてますから、故人を偲ぶと同時に天国へ安らかに送り出す思いが込めらられたのが葬儀ミサです。
ミサ曲も葬儀にふさわしい曲や遺族の希望の曲が選曲されます。
上手く歌えなくとも、私も心を込めて歌いましたよ。ミサ前のクワイヤーの練習の時には必ず誰かが代表して「私たちが清らかな心で歌えますように」的なお祈りをします。
私はクリスチャンではありませんが、キリスト教の素晴らしさは感じていますし、心を包み込むような教会の雰囲気も、教会で謙虚に祈る人たち、美しい賛美歌も好きです。
意外だったんですが、カソリックは私のような非キリスト教信者にも寛容なのです。教会のメンバーに「キリスト教信者?」と聞かれることはあっても「私は仏教徒」と答えているので、宗教を勧誘されたことは一度もありません。宗教の違いが理由で弾圧や戦争、対立が起こってきた歴史が不思議なくらいです。
さて、葬儀ミサの後、前述で述べたような「故人を偲ぶパーティ」が教会の集会場で行われました。私は予定があったので帰りましたが、葬儀ミサの厳粛な雰囲気とはうって変わって、笑いありの楽しい雰囲気の中に悲しさが見え隠れする素敵なパーティだったことでしょう。
葬儀ミサに行った日の夕方、スカイプで話した母に
「賛美歌にとっても綺麗な歌があるから、お母さんが亡くなったら、
お母さんのお葬式で私が心を込めて歌ってあげるね。」
と言うと母は、
「そんなの死んだら聞けないんだから、生きてるうちに聴かせてよ。」
と言われました。
それもそうですね。
今度帰国したら、心をこめて母に歌ってあげるつもりです。