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庭のサクランボの秘密


鈴なりの黒褐色のさくらんぼ
青空まぶしく鋏を入れる

カナダの同じ家にもう12年以上住んでいます。
その12年間でうちの庭はかなり荒れましたが、桜の木だけは満開だったり、不安になるくらい寂しい花の数だったりと年によって変化はあるものの、毎年花をつけてくれます。

そんなうちの庭と桜の木ですが、この春前に何本かある庭木の剪定をGardener(庭師さん)に頼んだところ、

「この桜の木はCherry(さくらんぼ)が成る木だね。」
と言われてびっくりしました。

「本当?サクランボが成ってるの見たことないよ」

あの桜の木とサランボ。どうしても結びつきません。
日本でも満開の桜が夏になるとサクランボをたわわにしているって
見たことないですよね。
サクランボができるのは農家が栽培する特殊な食用の桜だと思ってました。

ところが今年の夏、庭を片づけていて、さくらの木に小さな実がついているのに気づきました。
大きめのブルーベリーぐらいの大きさですが、可愛い赤い実。
小さいながらもサクランボ風です。
食べてみると苦みが残りますが、確かにサクランボっぽい。


よく見るとチョコチョコ、サクランボがついている

うちのあの桜の木にサクランボが成るなんて!!!


小さいけど、あの庭師さんが言ったのは本当だったんだ。
苦みがあってもそこそこ美味しいのでチマチマ食べていました。


それから1週間後、再度サクランボを収穫しようと庭に出たら、あの日本のサクランボから黒っぽい小粒のアメリカンチェリーになっていました。

さらに食べると甘い!! 


中央奥にあるのが桜の木


アメリカンチェリーそのもの!ただし小粒!

本物のアメリカンチェリーになっていました。


小さいうちは日本の茶トラだと思って育てたら、だんだん茶色のアメリカンショートヘア―になっていった、みたいな感じでしょうか。

日増しに赤褐色のサクランボがどんどん増えていき、連日庭に出てサクランボ狩り状態で、サクランボを食べています。


さてこのサクランボですが、調べてみると面白いことがわかりました。
桜が実を付けるには次のようなことが必要だったのです。

・さくらんぼの受粉には2本以上の品種が必要
  自分の花粉で受粉しても種子や果実ができない性質
・冬の剪定が必要
  伸びすぎてしまったり、枝ばかり混み合っていると実が育たない
・冬の寒さは必要条件
  サクランボは気温7度以下の状態に1600時間程度さらさないと正常に育たない
・ハチによる交配が活躍
  
気候によって蜂の動きが左右される

株式会社アンスリーファームより

この中で冬の剪定はしっかりやったし、冬の寒さも十分だし、今年は雨が少なく、極端な天候にもならず、他の花も咲いたせいで蜂も元気に飛び回っていました。

このように今年は偶然にも実ができる条件をクリアしたのです。

そして肝心の受粉に2本以上の品種が必要ということですが、うちに桜の木は一本しかありません。

ではなぜ受粉ができて、サクランボが大量にできたのでしょうか?

ここに私たちが長年疑問だったことの答えがあったのです。

うちの桜の木は1本なんですが、実は2種類の桜の花が咲きます。
接ぎ木で2種類の桜の木でできているんです。

長年、私達家族はこの桜の木が2種類の桜でできているのは面白いなぁ、
ぐらいにしか考えていなかったんです。
単に前オーナーの遊び心、趣味ぐらいにしか思ってませんでした。

でも多分前オーナーは、意図的にサクランボが実をつけるように他の種類の桜を接ぎ木したのでは?

そうだったのか!

12年目にして長年の謎が解けました。

そんな前オーナーが仕込んでおいてくれた秘密のおかげ、今年は思いがけない美味しい自家製サクランボが食べられる幸せ!

前オーナーのヘンリーとリンダはもう2人とも他界してしまったけど、こんな仕掛けを残しておいてくれたんだね。
おかげで今年はサクランボがいっぱいできて、美味しく食べてるよ。

Thank you, Henry &Linda!




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