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〔翻訳〕昭和20年7月9日和歌山大空襲編

▼このページでは、管理人が持っている政治思想の左右や価値判断、余計な軍事知識の披歴はせず、「管理人が和歌山の空襲に関する見識を深めました」という立場で翻訳に徹します。また、意訳をしているところが多々あるので、この翻訳を使用される場合は原本と対照させ、納得なさった上でご使用下さい。
▼ここでは、いわゆる「和歌山大空襲」(1945(昭和20)年7月9日~10日)に関する米軍の作戦任務報告書等を翻訳します。
▼記載されている時刻は、K時刻を除き、日本時間に換算してあります。


1.作戦指令書

作成:第21爆撃集団司令官
第21爆撃集団
グアム
1945/7/8 17:00

ⅩⅩⅠ BOMBER COMMAND FIELD ORDER
No.97
作戦指令書97号

1.省略

2.第21爆撃集団は、1945年7月9-10日に仙台、堺、甲府(訳注:岐阜の誤り)、和歌山の各都市区域を爆撃する。

3.
a.第58爆撃航空団:<省略>
b.第73爆撃航空団:<省略>
c.第313爆撃航空団:
(1)目視及びレーダーによる主目標:
和歌山都市区域
平均着弾点:077102
必要とされる戦力:3個爆撃連隊
平均着弾点参照:第21爆撃集団リトモザイク和歌山区域90.25都市
修正照準点:005020
(2)経路:
基地
硫黄島
33.1530N 134.10E
33.51N 134.48E(IP(訳注:爆撃行程開始点のこと))
目標
右旋回
硫黄島
基地
(3)目標までのエンルート高度:4,000~4,800ft及び7,000~7,800ft
(4)爆撃高度:10,000~10,800ft
(5)爆弾:
M47焼夷爆弾(2個爆撃連隊)
M17集束焼夷弾(1個爆撃連隊)
(6)爆撃速度:195kt
(7)目標からのエンルート高度:12,000ftまたはそれ以上
(8)離陸時間:7月9日18:00
d.第314爆撃航空団:<省略>
e.第315爆撃航空団:<省略>

4.作戦任務番号:
仙台 ― 257
堺 ― 258
和歌山 ― 259
岐阜 ― 260
1684 ― 261

5.
a.
(1)爆撃報告、接敵の送信、IFFの手順は第21爆撃集団のSOIとSOPにしたがう。
(2)各爆撃中隊は、190~210MHz帯のバラージ妨害装置を搭載する。
(3)バラージ妨害範囲の拡大とその信頼性の監視は、目標上空で行う。
(4)スポット妨害は、各航空団の能力及び各航空団司令官の求めに応じて180~190MHz帯、210~220MHz帯の各周波数帯で行う。
(5)妨害装置は、本州から50nm以内は常時作動させ、装置を航空機に搭載したときに地上で行われる飛行前、飛行後の各点検時以外はオフにしておく。
(6)第73爆撃航空団の特殊妨害機は、190~210MHz帯及び72~84MHz帯でバラージ妨害を行う。スポット妨害は、各航空団の能力及び各航空団司令官の求めに応じて180~190MHz帯及び210~220MHz帯の周波数帯で行う。加えて、妨害装置の数が十分足りていれば、全機がバラージ妨害装置を1台ずつ搭載する。
b.変更なし。

少将 LeMAY

准将 Kissner, A.W.
USA
参謀長

2.目標情報シート

TARGET INFORMATION SHEET
1945/7/1
第21爆撃集団A-2目標部門
目標90.25 和歌山都市区域
34.13N 135.11E 標高0~525ft

1.概略:
和歌山市には織物の主要工場があるが、これらは重航空機部品、化学品、兵器、高品質鋼、染料の生産工場へと転換している。これらの工場を破壊すれば、大阪都市区域からの工場疎開問題を阻害できるのではないか。和歌山市は、戦略的には大阪湾に入る半島(訳注:田倉崎のこと)の根元に位置しており、蒸気/電気鉄道で大阪と繋がっている。

2.位置と識別:
和歌山市は、大阪湾に入る直線上の友ヶ島に隣接する半島(田倉崎)の根元にある。神戸の南30マイル、大阪の南西40マイル、紀ノ川の南岸、大阪湾に面した幅6~8マイルの、東側に広がる平野である。第1種の街道が大阪と繋がっており、半島(田倉崎)の先端まで続いている。田倉崎の南方及び和歌山市の南西には和歌浦湾がある。

3.目標の概要:
1940年における和歌山市の人口は195,203人で、大部分は南北3マイル、東西(198平方yd)1.5マイルの市街区域に集中している。川の南側と東側には集束焼夷弾の投下予定点が約20か所あり、南側は10平方ydである。第1の焼夷弾投下予定区域は、港湾部東側1,000~4,000ft、第2の焼夷弾投下予定区域は、第1目標に隣接、または市の南北を割る小川の西側である。
顕著な目印が2つある。古い城とその敷地が、市の中央部ちょうど北側にある。河口の約2マイル南には小高い突起が和歌浦湾に突き出ており、ここは市街区域の南西端である。港は浅い沈泥地で、モーター駆動の漁船にしか使われていない。2つの防波堤が、川の南岸及び河口に突き出た島から西に伸び、鋭角を形成している。

4.重要度:
和歌山市は、大阪近郊部にあることから、戦線が拡大したというショックを受けるであろう中規模都市の理想例となる。この傾向は、工業的損害、売却、従業者解雇を伴う親都市への爆撃によって促進されうる。和歌山市の場合は、住友関連の重要な新工場を牽引している。すなわち、織物機械工場30か所、織物染工場13か所、小さな銑鉄工場15か所。これらは全て、生産体制転換のカテゴリーに適合している(訳注:軍需生産に転換することを言っている)。加えて、低く評価されている工場群もある。すなわち、市内には雑多な小工場がある:銃火器金属工場1か所、裁縫機械工場6か所、歯車工場3か所、公立絹倉庫1か所、小さな原油精製工場4か所、塩素またはソーダ工場1か所、セメント工場1か所。

空襲区域内側の目標:
90.25―ⅩⅩⅠ5047 住友金属工業和歌山工場
新しい軍需品工場が800平方ft。平炉、炉、鋳物工場、航空機部品工場。おそらく、新しいジェット航空機の生産に関与。紀ノ川北岸に位置。
90.25―ⅩⅩⅠ5049 住友電工和歌山工場
化学工場で、おそらくエチル臭素の生産に関与。紀ノ川河口のちょうど南に位置し、600平方ftをカバー。主要構造物12か所からなる。
90.25―ⅩⅩⅠ5048 未確認の工場
150平方ftをカバー。紀ノ川河口の島。
未登録の織物工場
―大和紡績(主工場、手平工場、紀ノ川工場);昭和紡績(岡工場);鐘淵紡績;紀陽機織染工(工場2か所)(訳注:紀陽織布と思われる);南海染工(手平工場)

空襲区域外側の目標:
未登録
愛知時計電気(もとの鈴木毛布で、航空機部品と磁石を製造しているという報告)和歌山の南4マイルに位置。
未登録
中山製鋼(小雑賀・青岸工場)化学製品を生産。市郊外に位置。

和歌山市の破壊によって、重兵器と化学製品の生産体制が一層破壊、減産されるだろう。写真と証拠で明らかになった軍需工場への転換プロセスは、(米国にとっての)戦況悪化を止めうる。そして、猛攻を受けた大阪への救援体制における移動、住宅供給、疎開の各段階も阻止されうる。

5.照準点:
照準点は作戦命令によって指定される。

3. 作戦任務報告書:作戦任務番号257‐261

TACTICAL MISSION REPORT
Mission No.257‐261
ⅩⅩⅠ BOMBER COMMAND
APO234

第21爆撃集団司令部
表題:1945年7月9~10日本州の4都市区域と1石油精製施設への爆撃の報告

はじめに
作戦任務番号256は機雷投下任務であり、ほんの限られた成果しか得られなかったという別報告書が出されるであろう。

1.作戦任務の確認:
a.

第21爆撃集団司令部は、第58、第73、第313、第314、第315各爆撃航空団に対して、作戦任務番号257~261として本州の4都市と1工場の目標を爆撃するよう、1945年7月8日に作戦指令97号を発出した。
b.目標の掲示:
(1)目視及びレーダーによる主目標:
作戦任務番号257 第58爆撃航空団 仙台都市区域
作戦任務番号258 第73爆撃航空団 堺都市区域
作戦任務番号259 第313爆撃航空団 和歌山都市区域
作戦任務番号260 第314爆撃航空団 岐阜都市区域
作戦任務番号261 第315爆撃航空団 内部川石油精製施設(目標90.20―1684)
(2)副目標及び最終選定目標:なし

2.作戦任務の戦略及び計画:
a.実施日の選定:

夜間焼夷弾攻撃を行う4都市の選択にあたっては、気象条件が主要因となった。これらの作戦任務は、レーダー爆撃によって都市を攻撃する第21爆撃集団の4個爆撃航空団それぞれが似たような計画であった。内部川石油精製施設は、その規模、立地、軽微な防衛という点で夜間レーダー同時爆撃が最良の選択とされた。
b.目標の重要度:
(1)作戦任務番号257:<省略>
(2)作戦任務番号258:<省略>
(3)作戦任務番号259:
和歌山市は、おそらく現在の日本の戦争経済が組み込まれた人口195,000人の都市である。重兵器生産と化学製品生産を含む新しい工場が3か所ある。また、和歌山市は大阪、和歌山南部、内陸を蒸気/電気鉄道線が繋がる結節点でもある。
(4)作戦任務番号260:<省略>
(5)作戦任務番号261:<省略>
c.作戦任務計画の詳細:
(1)爆撃計画:

(a)搭載する爆弾の選定:
1.作戦任務番号257―仙台都市区域:
a.当該目標爆撃には、第58爆撃航空団の4個爆撃連隊が配置される。このうち2個爆撃連隊はM47焼夷爆弾を、残りの2個爆撃連隊はM17集束焼夷弾を搭載する。先行機12機はM47焼夷爆弾を搭載しており、主力を誘導する。
b.目標は無数の鉄筋及び軽コンクリート建造物を含む住宅区域の木造と壁土の建造物であり、中程度の貫通力が必要であった。M47焼夷爆弾は、敵の消火活動が焼夷弾の効果に勝る前に大火災を起こさせるため、先行機と主力の前半機に搭載された。M17集束焼夷弾は、小さな防火区画への的確な着火力、貫通力、広範囲の着弾に向いている。これら4個爆撃連隊は、壊滅させるのに十分な量を目標に投下すると期待された。
c.ヒューズ設定:M47は瞬間作動、M17は目標上空5,000ftで開放させる。
d.投下間隔制御器:M47は100ft間隔で投下、M17のクラスターは50ft間隔で投下するものとし、その設定は目標区域でできるだけ均質になるようにする。<以下省略>
2.作戦任務番号258―堺都市区域:<省略>
3.作戦任務番号259―和歌山都市区域:
a.当該目標爆撃は、第313爆撃航空団の3個爆撃連隊が行う。このうち、1個爆撃連隊はM47焼夷爆弾を、残りの2個爆撃連隊はM17集束焼夷弾を搭載する。M47焼夷爆弾を搭載した先行機12機が主力を誘導する。弾薬選択、ヒューズ設定、投下間隔制御器は、仙台都市区域空襲と同じとする。
4.作戦任務番号260―岐阜都市区域:<省略>
5.作戦任務番号261―内部川石油精製施設:<省略>
(b)爆撃:
1.作戦任務番号257、258、259、260は、第21爆撃集団の他の夜間焼夷弾爆撃と同じになるよう計画した。爆撃経路と高度は、特にこれらの目標へのレーダー爆撃を行うために、最適なレーダーアプローチと高度になるよう決定された。
2.作戦任務番号261は、名古屋港湾の海岸地形を活用するように計画された。すなわち、目標はレーダー航法と目標識別に最良の地形条件である。
3.爆撃高度、進路、その他の関連データは以下の通り:
a.第58爆撃航空団<省略>
b.第73爆撃航空団<省略>
c.第313爆撃航空団(第21爆撃集団リトモザイク和歌山区域90.25都市を参照)
・高度:10,000~10,800ft
・爆撃経路軸:真方位042度30分
・IP:33.51N 134.48E
・平均着弾点:077102
・爆撃行程の長さ:30nm
・通過時間:8分45秒
・戦力:3個爆撃連隊
d.第314爆撃航空団<省略>
e.第315爆撃航空団<省略>
(2)航法:
(a)作戦任務番号257―仙台都市区域:<省略>
(b)作戦任務番号258―堺都市区域:<省略>
(c)作戦任務番号259―和歌山都市区域:
基地~硫黄島:戦術規定による。
~33.1530N 134.10E:四国南端(訳注:室戸岬のこと)が容易に識別できるので、陸地接近目標として選択された。
~33.51N 134.48E:IPはBenton島(訳注:現徳島県の伊島・前島)とする。この島は四国の西海岸(訳注:東海岸の誤り)にあり、遠くから識別できる。
目標~硫黄島:目標爆撃後は右旋回する。
~基地:戦術規定による。
(d)作戦任務番号260―岐阜都市区域:<省略>
(e)作戦任務番号261―内部川石油精製施設:<省略>
(3)フライトエンジニアリング:
(a)飛行計画:
高度と速度は、爆撃中と爆撃隊間の相互距離圧縮以外は最大限、燃料節約と安全のために設定される。効果的な装備・装置はない。
(b)重量:
1.予備燃料データから、第73、第313、第314、第315各爆撃航空団はボムベイタンクなしで、総燃料重量が約6,600galになる。第58爆撃航空団は、各機がボムベイタンク1個を搭載する予定であった。
2.最大、最小重量は規定通りであった。
3.爆弾搭載可能重量は以下の通り:
a.第58爆撃航空団:<省略>
b.第73爆撃航空団:<省略>
c.第313爆撃航空団:17,000lb(予想される平均は14,000lb)
d.第314爆撃航空団:<省略>
e.第315爆撃航空団:<省略>
4.弾薬搭載量は300lbとされた。
(4)レーダー(添付資料A‐Ⅵ参照)
(a)<省略>
(b)<省略>
(c)和歌山への最適な進入経路は、西または南東からである。高い山地の影のせいで、東側からのIP利用は不可能である。四国の南東端を出発点にすることによって、機は目標に直線進入できる。IPはBenton島で、遠くから識別できる。目標は適度に大きく、最良のレーダー反射が得られる。和歌山市の南東数マイルに小さな半島部があり(訳注:片男波のこと)、偏流と市街地への進入コース修正に活用できるチェックポイントとなる。
(d)<省略>
(e)<省略>
(5)RCM:
(a)特殊電子妨害機4機が、堺爆撃で使用された。これは、堺区域の顕著な対空砲火に対処するためである。これらの機は、34.31N 135.24Eの位置、高度14,000~17,000ftで半径10マイルの周回飛行を行った。72~84MHz帯、190~210MHz帯の各周波数帯でバラージ妨害が行われ、スポット妨害はバラージ妨害範囲外の周波数帯で現れる射撃管制及びサーチライトレーダーの妨害に使用された。多量の電波妨害用ロープがこれらの機に搭載された。
(b)他の3都市区域の目標は、対空砲火、サーチライト防御が軽微と思われたことから、特殊電子妨害機の投入は推奨されなかった。全機は72~84MHz帯、190~210MHz帯でバラージ妨害を行う電子妨害装置を搭載した。
(c)電波妨害用ロープが搭載され、規定にしたがって散布された。
(d)20~3000MHz帯での敵レーダーの捜索が続き、敵の無線交信も記録された。
(e)内部川石油精製施設の爆撃では、レーダー制御の対空火器とサーチライトから防禦する必要がある場合に散布する電波妨害用ロープが搭載された。
(6)空海救難(添付資料A‐Ⅷ参照)
(a)海軍:
海軍は、この作戦任務の詳細をあらかじめ知らされており、以下の空海救難設備が利用可能であった。
1.潜水艦9隻を作戦任務中に配置:
35.20N 141.10E
34.40N 140.10E
30.00N 141.25E
34.00N 138.15E
32.00N 138.55E
30.00N 139.35E
33.00N 136.25E
31.30N 137.20E
30.00N 138.15E
2.監視艇4隻を作戦任務中に配置:
26.30N 139.10E
26.00N 141.20E
26.30N 140.30E
18.00N 144.30E
3.救難航空機(ダンボ)13機を、全爆撃機が復路を通過するまでは、離脱指示があるまで以下の位置に配置:
35.20N 141.10E(9日23:20~)
30.00N 141.25E(10日03:00~)
32.00N 138.55E(10日00:25~)
30.00N 139.35E(10日01:05~)
31.30N 137.20E(9日23:35~)
30.00N 138.15E(10日00:00~)
33.00N 141.30E(10日01:00~)
28.30N 139.10E(10日00:35~)
28.00N 141.20E(10日02:40~)
26.30N 140.30E(10日01:15~)
20.00N 143.30E(10日01:30~)
18.00N 144.30E(10日04:30~)
16.00N 145.20E(10日04:45~)
(b)陸軍:
救難航空機(スーパーダンボ)5機が、全爆撃機が復路を通過するまでは、離脱指示があるまで以下の位置に配置:
34.00N 138.15E(9日23:45~)
33.00N 136.25E(9日23:00~)×2
38.10N 141.10E(9日23:10~)
38.10N 141.10E(9日23:45~)
d.作戦任務計画の詳細―諜報:
(1)敵戦闘機との交戦:
(a)作戦任務番号257―仙台:<省略>
(b)作戦任務番号258―堺:<省略>
(c)作戦任務番号259―和歌山:
堺爆撃時に上がった敵戦闘機の約半数が和歌山を爆撃するB‐29に迎撃できると思われた。
(d)作戦任務番号260―岐阜:<省略>
(e)作戦任務番号261―内部川石油精製施設:<省略>
(2)敵の対空砲火:
(a)作戦任務番号257―仙台都市区域:<省略>
(b)作戦任務番号258―堺都市区域:<省略>
(c)作戦任務番号259―和歌山都市区域:
和歌山区域の写真からは、ピンポイントを狙ってくる対空防御火器はなかったが、弱く不正確な対空砲火に遭遇した。当初計画された10,000ftという高度は、結果として弱く不正確な対空砲火を無力化すると思われた。爆撃経路は、対空砲火エリアを回避するよう計画された。
(d)作戦任務番号260―岐阜都市区域:<省略>
(e)作戦任務番号261―内部川石油精製施設:<省略>

3.作戦任務の遂行:
a.離陸:

(1)離陸は以下の通り行われた:
作戦任務番号257 第58爆撃航空団:<省略>
作戦任務番号258 第73爆撃航空団:<省略>
作戦任務番号259 第313爆撃航空団:先行機12機、主力機97機(最初9日17:00 最後17:48)
作戦任務番号260 第314爆撃航空団:<省略>
作戦任務番号261 第315爆撃航空団:<省略>
合計 先行機48、主力機515*
*この合計にはスーパーダンボ9機と天候偵察機を含まない。
b.往路:
これらの作戦任務の航法は良好であった。
全作戦任務機のうち1機のみが、航法エラーにより主目標に爆弾を投下できなかった。
c.目標上空:
(1)作戦任務番号257:<省略>
(2)作戦任務番号258:<省略>
(3)作戦任務番号259:
108機が、9日23:56~10日01:48に高度10,200~11,600ftで和歌山都市区域に800.3tの爆弾を投下した。
(4)作戦任務番号260:<省略>
5)作戦任務番号261:<省略>
全作戦任務機のうち、21機が戦闘能力を失った。
d.復路:
復路で困難を来たした機はなかった。
全作戦任務機のうち、21機が硫黄島に着陸した。
e.着陸:
航空機は以下の通り着陸した:
作戦任務番号257 第58爆撃航空団:<省略>
作戦任務番号258 第73爆撃航空団:<省略>
作戦任務番号259 第313爆撃航空団:最初10日05:26 最後08:03
作戦任務番号260 第314爆撃航空団:<省略>
作戦任務番号261 第315爆撃航空団:<省略>
f.喪失:
全作戦任務機のうち、2機を喪失した。
1機は離陸時に擱座し、もう1機は離脱中に火災に見舞われた。
この両機の乗員は、全員生存している。
g.作戦任務の要約:
(1)航法(添付資料A‐Ⅰチャート参照)
(a)これらの作戦任務における航法は正確であったと考えられる。長距離航法は、主目標に向かう各機が活用した。目標区域上空の風向と航法にレーダーが活用された。
(b)時間管理は良好であった。全機の約90%は、70分の間に目標上空に到達した。
(2)爆撃(添付資料A‐Ⅱ・Ⅲ参照)
仙台、堺、和歌山、岐阜への爆撃は、主に有視界であった。内部川石油精製施設への爆撃は、主にレーダーにより行われた。
(3)フライトエンジニアリング(添付資料A‐Ⅳ参照)
(a)搭乗員の口述:
1.本土への巡航:
各機は離陸直後に最初の巡航高度4,000~8,000ftに上昇した。各機は空中集合しなかった。各機の集合間隔を圧縮するときには、巡航高度と速度の変化の影響を受けた。
2.爆撃:
爆撃は、高度10,000~17,700ftで行われた。
3.帰投:
各機の帰投は、燃料消費を最小限に抑えるために高度14,000~16,000ftで巡航し、場周経路に降下した。
(b)コメント:
ボムベイタンク搭載機はなかった。
最大積載能力の平均77%を搭載した第315爆撃航空団を除いては、全機が爆弾を満載し、1機あたりの平均残燃料1,233galで着陸した。
(4)レーダー(添付資料A‐Ⅴ参照)
(a)235機がレーダーを操作した。
(b)52機が目視修正をしながらレーダーを操作した。
(c)3機が参照点や照準点修正に目視を使用した。
(d)254機が目視のみを使用した。
(5)射撃(添付資料A‐Ⅶ参照)
これらの作戦任務で顕著な問題は生じなかった。
(6)空海救難:
これらの作戦任務で不時着水した機はなかった。
帰投中にB‐291機が、第4エンジンのバックファイアによって火災を起こし、全搭乗員がサイパン西方でベイルアウトした。別の1機が生存者のシーマーカーを発見し、即座に駆逐艦に通報し、緊急脱出後3時間以内に全搭乗員が救助された。
h.図参照
i.通信:
(1)RCM(添付資料C‐Ⅰ参照)
RCM観測員25名が妨害電波を合計61個記録した。
(2)無線(添付資料C‐Ⅱ参照)
予期せぬ通信上の問題は生じず、通信網の管理は良好であった。
j.諜報の要約:
(1)敵航空機(添付資料D‐Ⅰ参照)
5つの作戦任務で、B‐29への攻撃はわずか11回であった。
これらの攻撃によって4機が損傷を受けた。これらの機は無事故で済んだ。
(2)敵の対空砲火(添付資料D‐Ⅱ参照)
13機が対空砲火によって損傷した。
(3)損害評価(添付資料D‐Ⅲ参照)
(a)<省略>
(b)<省略>
(c)作戦任務番号259では、和歌山の2.1平方マイル(市街地区画の52.5%)が破壊された。
(d)<省略>
(e)<省略>

4.添付資料A:作戦任務

ANNEX A OPERATIONS
Mission No. 257,258,259,260,261
作戦任務番号257、258、259、260、261
1945年7月9-10日

Ⅰ 航法チャート

Ⅱ 爆撃(和歌山都市区域のみ訳)

1.作戦任務番号257―仙台都市区域:<省略>
2.作戦任務番号258―堺都市区域:<省略>

3.作戦任務番号259―和歌山都市区域:
a.レーダーによって風向と風速を得るため、1機が主力の先を飛行した。風向と風速は、主力に対して暗号送信された。この「風飛行機」はまた、目標区域の気象状態も送信した。こうした、風向・風速と目標の気象を転送する進行役機の活用は不可欠であると思われる。それは、IPに向かうルート上では正確な風の状態がわからないからである。この手順を活用することによって、各機の間隔圧縮は顕著に改善した。
b.38機がM17A1集束焼夷弾を搭載し、71機がM47A2焼夷爆弾を搭載していた。
c.目標区域の天候は視程良好で、機の大半が目視で爆撃した。作戦任務は計画通りに行われた。全機が主目標に投弾し、優良な結果が報告された。B-10シャックルの故障5機、A-4リリースの故障2機、A-2リリースの故障2機、T-19クラスアダプタの故障2機がそれぞれ報告された。
d.IPと爆撃経路の設定は、極めて的確であったと考えられる。平均偏流角は右5度であった。各機の間隔圧縮の度合いは110分であった。

4.作戦任務番号260―岐阜都市区域:<省略>
5.作戦任務番号261―内部川石油精製施設:<省略>

Ⅲ 平均着弾点

Ⅳ フライトエンジニアリングチャート

Ⅴ レーダー

1.レーダー爆撃 AN/APQ-13:
a.離陸時に作動 491
b.目標上空で作動 469(98%)
c.着陸時に作動 460
d.アジマス調整機能を使用 364(77.6%)
e.航空機誘導時の故障 なし
f.他機からの(電波)干渉がみられた。
g.目標の平均最小探知距離:
5,000~10,000ft 76nm
10,000~15,000ft 72nm
h.目標の平均最大探知距離:
5,000~10,000ftで121nm
10,000~15,000ftで148nm
i.日本の海岸の平均最大探知距離:60nm
j.注:
(1)これらの報告から、レーダーの作動状況は良好であった。目標の仙台を短距離探知で粉砕した第58爆撃航空団は、その際の短距離スコープ写真を報告した。
(2)投弾方法:
(a)非同期のレーダー誘導
(b)同期のレーダー誘導

2.レーダー爆撃 AN/APQ-7:
a.離陸時に操作 60
b.目標上空で操作 57
c.着陸時に操作 56
d.レーダービーコン平均最大受信距離 11,000ftで120マイル
e.目標の平均最大探知距離 15,000ftで60マイル
f.日本の海岸の平均最大探知距離 65マイル
g.機器故障 3
h.注:
(1)レーダー爆撃を行った51機のうち、6機は目視で、4機は直接同期レーダー爆撃を行った。
(2)陸地識別及びIP識別は容易であった。
(3)ブリーフィングのコメントは良好であった。
(4)照準点は30マイル手前で識別した。

3.レーダー航法 APN-4・APN-9:
a.FIXの報告数 3,278
b.アンテナ使用と使用最大距離は以下の通り:
(1)地上線:固定アンテナ487nm トレイリングアンテナ667nm コマンド556nm
(2)空中線:固定アンテナ1,175nm トレイリングアンテナ1,325nm コマンド1,319nm
c.不作動 14

4.IFF SCR-695:
a.作戦規程に則ってON/OFFさせた。
b.時間確認の数 平均38回
c.故障報告はなし。

5.絶対高度計 SCR-718:
a.操作した 233
b.操作しなかった 2

Ⅵ 空海救難

Ⅶ 射撃

1.火器使用機数:8機

2.各砲塔における平均装填弾数:
上前437.5発 上後293.75発 尾部366.6発 下後293.75発 下前300発
(第315爆撃航空団は1,425発)

3.各砲塔における戦闘中の平均使用弾数:
上前0発 上後90発 尾部140発 下後0発 下前0発

4.戦闘中の使用弾数合計:330発

5.試射弾数合計:4,475発

6.機銃の装填状況:
第58爆撃航空団 ホット
第73爆撃航空団 コールド
第313爆撃航空団 ホット
第314爆撃航空団 ホット
第315爆撃航空団 コールド

7.故障:
集中火器管制装置の真空管故障
50.キャリバーのベルトのねじれ
弾幕の弱さ
火器管制装置APG故障30件

8.銃火器の稼働率:
集中火器管制装置99.86%
50.キャリバー99.9%

9.注:
火器の使用手順は良好であった。敵戦闘機を視認したときに、敵機が有効射程に入るまで火器は発砲を控えた。敵戦闘機1機のみが一度だけ、有効でない攻撃をしてきた。

5.添付資料B:気象

ANNEX B WEATHER
Mission No.257, 258, 259, 260, 261
作戦任務番号257、258、259、260、261
1945年5月10日(訳注:7月10日の誤り)

天候の要約

計画段階における気象予報 ― 作戦番号257~261
基地:
朝のレポートでは、低層は4/10、雲底2,000ft、雲頂6,000ftだったものが、17:00には6/10、雲底1,400ft、雲頂12,000~2,000ft、中程度のにわか雨、いくつかの雷雲。
ルート上:
~北緯20度:基地と同じ。
~北緯33度:低層は4~7/10、雲底2,500ft、雲頂6,000ft、いくつかは雲頂20,000ftまで。低気圧がルート上を横切っていた。
~本土海岸部:低・中・高層は雲頂28,000ftで10/10の前線上。レイヤーがはっきりしており、北緯33~34度の一部以外はレイヤー間の隙間が多い。
目標(訳注:本土上空)
全域で低・中・高層の各層はブロークン。レイヤーははっきりしており、レイヤー間の隙間が多い。スキャターはほとんどなし。特に北海岸でスキャターが減少。

作戦用の気象予報:
離陸時の基地:
低層はスキャター、中・高層はブロークン、にわか雨、視程2nmに低下。
ルート上:
~北緯20度:低・中層はスキャター、高層はブロークン。
~北緯22度:低層はブロークン、20,000ftまで塔状の積雲、雨。中層はスキャター、高層はブロークンの見込み。
~北緯28度:低・高層はスキャターの見込み。
~北緯30度:低層はスキャターないしブロークン、高層雲の見込み。
~北緯32度:前線では低層はブロークン、中・高層はオーバーキャスト、小~中程度の雨の見込み。
~目標:低・高層はブロークン、中層はスキャターの見込み。
目標上空:
岐阜:<省略>
和歌山:低層は2/10層積雲、雲底3,000ft、雲頂5,000ft;中層は15,000ftで2/10高層雲;高層は32,000ftで4/10巻雲;風は10,000ftで300度方向から20kt。
仙台:<省略>
四日市:<省略>
堺:<省略>
着陸時の基地:
低・中・高層雲スキャター

観測された気象:
離陸時の基地:
低層は4~5/10で雲底1,800ft、雲頂6,000ft;中層は14,000ftで7/10;まばらな小雨、視程は小雨で6nm、ほか制限なし。
ルート上:
~北緯20度:低層は雲底2,000ft、雲頂6,000~8,000ft。雲頂15,000ftはほとんどなし。視程は小さなにわか雨のため3nmに制限された。
~北緯22度:低層は5~7/10で雲底不明、雲頂8,000~20,000ft、雷雨を視認し、低・高層と繋がりつつ中層はスキャター。
~北緯31度:低層は2~4/10で雲底2,000ft、雲頂4,000~5,000ft。
~北緯33度:低層は雲頂6,000ftのフラット状の雲が5~7/10に増加;前線で中層はスキャターからブロークン。
目標:
低層の雲が次第に減少。

6.添付資料C:通信

ANNEX C COMMUNICATIONS
Mission No.257, 258, 259, 260, 261
作戦任務番号257、258、259、260、261
1945年7月9~10日

Ⅰ RCM

1.目的:
a.敵早期警戒及び射撃照準レーダーからの防禦のため
b.20~3000MHz帯における全般的な捜索を行うため
c.72~84MHz帯、190~210MHz帯の敵射撃照準・サーチライトレーダーに対するバラージ妨害、バラージ妨害外の周波数帯にある敵射撃照準・サーチライト信号に対するスポット妨害のため
d.電波妨害用ロープの使用により敵のサーチライトと射撃照準レーダーを混乱させるため

2.方法:
a.RCM観測員25名が出撃し、以下の装置を使って捜索と妨害を実施した:
APT-1 337
APQ-2 168
ARQ-8 11
APT-3(改修済) 21
APR-4 22
APA-11 8
ARR-7 5
APR-5 4
APA-24 7
AM-18 4
APA-6 8
b.電波妨害用ロープは、サーチライトからの防御が必要になったときに、10秒ごとに3束の割合で散布した。
c.堺爆撃では、我の爆撃機をカバーするために特殊妨害機4機が第73爆撃航空団から出撃したが、効果的に妨害できなかった。うち1機は飛行を取りやめたので効果をあげられなかった。残りの3機は、72~84MHz帯及び190~210MHz帯のバラージ妨害装置、バラージ妨害範囲外の周波数帯の敵射撃照準・サーチライトレーダーを妨害するスポット妨害装置を搭載していた。加えて、各爆撃機はバラージ周波数帯に合わせた妨害装置を最低1基搭載していた。

3.結果:
a.特殊妨害機は有効であった。敵射撃照準・サーチライトレーダーの両周波数は妨害され、多くは停止したと報告されている。サーチライトと対空砲火との連携に欠如があったと思われる。
b.電波妨害が61件記録されたので、この書類のセクションの終わりに示す。
c.内部川石油精製施設を目標とした第315爆撃航空団は電子妨害装置を搭載せず、電波妨害の唯一のものは電波妨害用ロープであった。

4.備考:
a.海上で信号が8個傍受されたが、船舶発信に由来すると思われた。
b.8000Hzの音によって変調された123MHzの信号1個が、35.06N 136.06Eで傍受された。
c.42、45.5、46、47.5、52各MHzで変調信号が5個傍受され、敵早期警戒レーダーのものと思われた。
d.敵の通信は、870KHz、1.4MHz、15.22MHz、13MHz、10.2MHz、6.01MHz、8.1MHz、9.4MHz、1.36MHzで傍受された。

Ⅱ 無線

1.爆撃の報告:
目標上空の各機から、41件の爆撃報告が送信された。全ては地上局に受信された。第73爆撃航空団の1機が地上と交信できず、他機経由で報告を行った。各航空団機によって行われた報告数は以下の通り:
第73爆撃航空団 8
第313爆撃航空団 6
第58爆撃航空団 9
第314爆撃航空団 10
第315爆撃航空団 8

2.FOXメッセージの送信(訳注:暗号通信と思われる)
第314爆撃航空団は、「F」タイプのメッセージ1個が地上局から送信され、機上無線員130名のうち118名がメッセージを受信したと報告した。第58爆撃航空団はFOXメッセージを2個送信し、機上無線員122名が最初のメッセージを受信し、機上無線員100名が平均89.3%の割合で2番目のメッセージを受信した。第313爆撃航空団はFOXメッセージを2個送信し、機上無線員総数の98%がこれらの通信を記録した。第73爆撃航空団は2つの「F」タイプのメッセージを地上局から送信し、この2つを正確に記録した機上無線員は87%だったと報告した。各航空団でこれらのメッセージを受信できなかった理由は基本的に同じで、電波妨害用ロープの放出、食事中、周波数干渉、受信機の故障、であった。

3.周波数:
これらの作戦任務中における大気の干渉は、全爆撃用周波数で中程度であった。サイパンの戦時情報局の送信は、日本本土上空でひどく妨害されたと報告した。以下に示すものは、周波数ごとの交信途絶の割合は以下の通り:
3MHz 19%
7MHz 48%
11MHz 33%

4.航法援助:
2件のHF/DF方向探知機と4件のVHF/DF方向探知機に関する要求が送信され、地上局に受信された。これら全ての位置が特定された。距離測定(機)、ホーマー、中継局の機能は満足できるものであった。第314爆撃航空団は、1機が生存者の位置にいる救難機を支援するため、墜落機のすぐ近くにCRN-1無線ブイを投下したと報告した。

5.交信規則と保安:
目標途上でのチューニング失敗や送信前の監視失敗など、若干の軽微な食い違いがあったほかは、作戦任務中の交信規則は維持された。第58爆撃航空団は、多くの機上無線員と同様、機上ー地上局無線員に傍受された保安上の違反を1件報告した。17:53に、62V667号機が00V665機に対して「誰が爆撃報告をやるんだ?」と明瞭に送信した。これはおそらく、離陸後1時間半ほど経った頃のことである。この種の保安規定違反の再発を防止すべく、矯正教育が行われた。

6.敵の通信:
作戦任務中に傍受された敵の妨害、干渉に関するインシデントは以下の通り:
a.3020KHz:
(1)20:10~20:45におけるCW波の数と電文は、部分的に効果があった。
(2)20:37~22:37における未確認CW波は、効果があった。
(3)21:38における規則的なCW波は、効果があった。
(4)23:00~00:00におけるCW波のキーイングは、部分的に効果があった。
b.6615KHz:
(1)20:00~03:00における無意味な暗号は、部分的に効果があった。
(2)22:00~03:00におけるV's(訳注:意味不明)と日本軍のキャラクターは、とても効果があった。
(3)22:00~04:00における大出力送信機からの日本軍の暗号は、とても効果があった。
(4)23:30~01:00における高速打電は、効果がなかった。
c.10305KHz:取るに足りない。
d.3145KHz:
(1)22:35における未確認CW波は、部分的に効果があった。
(2)18:00~05:00における日本軍による通信網の使用は、とても効果があった。
e.6055KHz:
(1)02:36、04:05、06:02における断続的な日本軍のCW波は、部分的に効果があった。
(2)20:45における規則的なCW波の信号と英語の背景音は、部分的に効果があった。
(3)BGMが流れている規則的な信号とV'sは、部分的に効果があった。
f.10880KHz:
(1)23:05~01:30におけるV'sの背景音を伴う規則的な耳鳴り音は、部分的に効果があった。
(2)コールサイン「IZF」局から打ち付けられる激突音とV'sは、効果があった。
g.9410KHz:取るに足りない。
h.7310KHz:
(1)23:10~23:30における地上局を遮断する大音量は、とても効果があった。
(2)22:00~00:00における耳鳴り音は、効果があった。
(3)18:30~20:40におけるV'sの一種と激突音は、部分的に効果があった。
i.11160KHz:
(1)22:30~00:00におけるハイピッチの連続音は、効果があった。
j.3990KHz:取るに足りない。
k.7415KHz:
(1)5DP局の混信は、効果がなかった。
(2)08:45における不明局からの試験信号と同調信号は、効果がなかった。
l.10820KHz:取るに足りない。
m.3810KHz:取るに足りない。
n.6640KHz:19:30~23:00における断続的なCW波の送信は、効果がなかった。
o.10965KHz:22:30~02:31における雑音の妨害は、効果がなかった。

7.困難:
何機かは、墜落機と生存者の目撃に関するメッセージを送信し、位置やその他必要な情報を与えた。1機は硫黄島で空海救難基地に情報を送信し、1機はブイ送信機を墜落現場に投下した。

8.機器の故障:
AN/ART-13:
固定アンテナ破損 1
側音なし 1
ダイナモ焼き切れ 1
キーイングリレー固着 1
チャンネル1、2に合わせられない 1
BC-348:
操作不良 1
CW波オシレーター操作不良 1
ARN-7:
アンテナ引込線破損 1
ループアンテナ操作不良 1
センスアンテナ破損 1
操作不良 1
インターホン:
マイクロホンボタン操作不良 3
ダイナモ異常音 1
ジャック箱ショート 2
インターホンシステム操作不良 2
ジャック箱漏電 1
マイクロホンスイッチショート 1
アンプ焼き切れ 1
フットスイッチ操作不良 1
SCR-522:
操作不良 2
ダイナモ焼き切れ 1
チャンネルC操作不良 1
送信機操作不良 1
SCR-274:
操作不良 1
断続的な操作不良 2
RL-42:
操作不良 4
固着 1

7.添付資料D:諜報

ANNEX D  INTELLIGENCE
Mission No.257, 258, 259, 260, 261
作戦任務番号257、258、259、260、261
1945年7月9-10日

Ⅰ 敵航空機

1.要約:
1945年7月9日の仙台―堺―和歌山―岐阜―四日市夜間爆撃では、日本軍機約50機が11回攻撃を仕掛けた。敵機はB‐29の少なくとも3機に損害を与えた。B‐29搭乗員による敵機撃墜の主張は特になかった。

2.索敵:
a.作戦任務番号257 第58爆撃航空団 仙台:<省略>
b.作戦任務番号258 第73爆撃航空団 堺:<省略>
c.作戦任務番号259 第313爆撃航空団 和歌山:
(1)敵機が最大10機目視され、目標区域内の1機は特に問題なし。
(2)1回の有効射撃がB‐29に対して続けられた。敵機は、5時方向から2回の素早い射撃を行い、双発機であると思われた。この攻撃は突然のことであり、銃撃が繰り返されないとは予測できなかった。
d.作戦任務番号260 第314爆撃航空団 岐阜:<省略>
e.作戦任務番号261 第315爆撃航空団 四日市(内部川石油精製施設):<省略>

Ⅱ 敵対空砲火

1.作戦任務番号257―仙台都市区域:<省略>
2.作戦任務番号258―堺都市区域:<省略>

3.作戦任務番号259―和歌山都市区域:
a.主目標は23:58~01:48に、高度10,200~11,600ftで、第313爆撃航空団108機により爆撃された。爆撃経路軸は040度、天候は0/10アンダーキャスト。しかし、爆撃後半には大量の煙により3/10アンダーキャスト、風は310度から20ktになっていた。
b.目標へのルート途上では、室戸岬(33.15N 134.10E)で弱く不正確な、中口径ないし大口径の対空砲火に遭遇した。
c.目標区域上空での大口径の対空砲火は、ゼロないし弱く、かつ不正確であった。1機が、真下からの大口径の対空砲火に被弾した。中口径の対空砲火は弱く不正確で、ほとんどの機が被害を受けないレベルであった。
d.陸地の終わり、すなわち串本では、控え目で、弱く不正確な中口径の対空砲火に遭遇した。
e.この作戦任務では、対空砲火によって失われた機はなく、108機が主目標を爆撃し、1機(0.93%)が対空砲火で損傷した。
f.目標区域における灯火管制が行われた。

4.作戦任務番号260―岐阜都市区域:<省略>
5.作戦任務番号261―四日市の内部川石油精製施設:<省略>

Ⅲ セクションA―仙台―損害評価 <省略>
Ⅲ セクションB―堺―損害評価 <省略>
Ⅲ セクションC―和歌山―損害評価

1.損害の要約:
市街地区域:合計4.0平方マイルのうち2.1平方マイル(52.5%)が損害
計画されていた目標区域2.0平方マイル、当日の損害区域2.1平方マイル、損害率109%、うち市街地区域52.5%
本爆撃により損害を受けた目標2、その他17
注:このデータは、さきに出された報告リストに取って代わるものである。

2.市街地区域の範囲内の損害の報告:
a.今回の爆撃におけるエリア損害:
市街地区域(都市):3.05平方マイルのうち、1.64平方マイル(53.7%)が損害
市街地区域(工場):0.95平方マイルのうち、0.46平方マイル(48.4%)が損害
市街地区域(合計):4.0平方マイルのうち、2.1平方マイル(52.5%)が損害
b.目標の損害:
登録された目標:市街地区域にはなし。
未登録の目標:17

注釈:
2 大和紡績伝法橋工場:100%破壊
3 未確認の工場:90%破壊
5 未確認の工場:100%破壊
6 鐘淵紡績:100%破壊
7 大和紡績紀ノ川工場:100%破壊
8 未確認の織物倉庫:100%破壊
9 紀陽染工―染工工場:80%破壊
10 住友工業―特殊鋼:視認できず
11 未確認の織物倉庫:視認できず
12 未確認の工場エリア:90%損害または破壊
13 東亜工業織物倉庫:90%損害または破壊
14 郡是工業(紡績):100%破壊
15 紀陽SHUKUTA(訳注:紀陽織布と思われる)100%損害または破壊
16 水道設備:視認できず
17 東邦電力DD発電所:視認できず
18 未確認の工場:90%損害
19 大和紡績手平工場(紡績):視認できず
20 興亜紡績(紡績):5%損害
30 城周辺の商業区域:90%損害または破壊
29 城敷地:城は100%破壊
21 中山製鋼、由良製鋼:5%損害
23 未確認の絹織物倉庫:視認できず
24 未確認の工場:視認できず
25 未確認の工場:視認できず
22 和歌山染工綿倉庫:視認できず
4 南海鉄道ターミナル―建物:40%破壊
28 鉄道駅とヤード―市内N区画:視認できず
31 ガス施設:視認できず、おそらく火災
27 軍司令部とグラウンド:建物は25%破壊
6 阪和ターミナル:視認できず
*第21爆撃集団CIU損害評価報告145号に基づく。
・さらに少なくとも26にのぼる小さな未確認の製造工場が損害された。
c.市街地区域の外の損害:
市中心部の半径5マイル以内
d.今回の爆撃によるエリア損害:
ⅩⅩⅠ5047の周辺にある街道の橋梁南側にある川西岸部の焼損区域、兵舎区域、小規模工場、都市区域で総計0.09平方マイル。
e.目標の損害:
ⅩⅩⅠ5047住友金属工業:10%損害または焼失
ⅩⅩⅠ5048未確認の工場:視認できず
ⅩⅩⅠ5049住友電気工業(化学工場):小規模の損害
和歌山鉄工所―旋盤(東側郊外):視認できず
和歌山製鉄所(東側外れ):視認できず
織物倉庫(ⅩⅩⅠ5047に隣接―主目標として認識):視認できず
未確認の工場(ⅩⅩⅠ5047の西側):視認できず
参照:AAF航空作戦フォルダ90.25 第21爆撃集団リトモザイク、和歌山区域

Ⅲ セクションD―岐阜―損害評価:<省略>
Ⅲ セクションE―内部川石油精製施設―損害評価:<省略>

8.添付資料E:統合統計資料

ANNEX E : CONSOLIDATED STATISTICAL SUMMARY
Mission No.257, 258, 259, 260, 261
作戦任務番号257、258、259、260、261
1945年7月9~10日
作戦任務番号257 ― 第58爆撃航空団 ― 仙台都市区域(目視・レーダー)
作戦任務番号258 ― 第73爆撃航空団 ― 堺都市区域(目視・レーダー)
作戦任務番号259 ― 第313爆撃航空団 ― 和歌山都市区域(目視・レーダー)
作戦任務番号260 ― 第314爆撃航空団 ― 岐阜都市区域(目視・レーダー)
作戦任務番号261 ― 第315爆撃航空団 ― 内部川石油精製施設(目視・レーダー)

■作戦任務の効率性(全任務):
・出撃機 572(手持ち機の70.7%)
・主目標に投弾した機 536(出撃機の95.2%)
・主目標に投下した爆弾 3,858t
・その他の目標に投下した爆弾 43t
・爆撃の結果―さきの報告は、以下の如く損害を示している:
・作戦任務番号257 ― 損害評価いまだなし
・作戦任務番号258 ― 損害評価いまだなし
・作戦任務番号259 ― 損害評価いまだなし
・作戦任務番号260 ― 1.93平方マイル、市街地区域の74%の損害
・作戦任務番号261 ― 区域の20%の損害

■作戦任務のコスト(全任務):
・喪失機 2(出撃機の0.3%)
・損傷機 20(出撃機の3.5%)
・搭乗員の死者 1(全出撃搭乗員の0.2%)
・硫黄島への着陸機 21

■出撃した航空機(第313爆撃航空団作戦任務番号259のみ):
・手持ち機 138 出撃予定機93+先行機12+気象偵察機1
・離陸不能 なし
・離陸した機 97(予備機4を含む)+先行機12+気象偵察機1
・離陸時刻 7月9日(最初17:00 最後17:48)
・帰投時刻 7月10日(最初05:26 最後08:03)
・主目標を爆撃した機 96 先行機12
・副目標、その他の目標を爆撃した機 なし
・爆撃以外の目的遂行 1(気象偵察)
・作戦可能 96+先行機12+気象偵察機1
・作戦不能 1
・備考:
・作戦任務番号259で第313爆撃航空団は3爆撃連隊。
・作戦任務番号259における第313爆撃航空団で硫黄島着陸機1

■主目標を爆撃しなかった機(第313爆撃航空団作戦任務番号259のみ):
・人的問題 1(整備員のエラー)

■爆撃(主力;第313爆撃航空団作戦任務番号259のみ):
・目標 和歌山都市区域 96機
・タイプ 主目標
・爆弾投下時刻(最初23:58 最後01:48)
・爆弾投下高度(最低10,200ft 最高11,600ft)
・目視爆撃(目視のみ54 目視・レーダー併用35 先導機が投下した場所に投下0)
・非目視爆撃(レーダー7 先導機が投下した場所に投下0)

■爆撃(先行機;第313爆撃航空団作戦任務番号259のみ):
・目標 和歌山都市区域 12機
・タイプ 主目標
・爆弾投下時刻(最初23:58 最後00:16)
・爆弾投下高度(最低10,200ft 最高11,000ft)
・目視爆撃(目視のみ7 目視・レーダー併用1)
・非目視爆撃(レーダー4)

■爆弾の配置(第313爆撃航空団作戦任務番号259のみ):
(a)AN-M47A2(100lb焼夷爆弾):13,050(450t)
・ヒューズ設定:瞬発作動
・主目標に投下12,803(441.5t)
・投棄242(8.3t) 持ち帰り5(2t)
(b)AN-M17A1(500lb集束焼夷弾):1,461(365t)
・ヒューズ設定:目標上空5,000ftで解放
・主目標に投下1,435(358.8t)
・投棄26(6.5t)

■航空機の喪失と損傷(第313爆撃航空団作戦任務番号259のみ):
・喪失 なし
・損傷 1(敵対空砲火)
・搭乗員の損害 なし(出撃1,227)

■敵の反攻と弾薬消費(第313爆撃航空団作戦任務番号259のみ):
・目視した敵機 10
・敵機による攻撃 なし
・敵機の損害 なし
・50.キャリバーの消費 なし

■飛行データ・燃料消費データ(第313爆撃航空団作戦任務番号259のみ):分析対象機100機
・平均飛行時間 13:24
・燃料消費(平均5,647gal 最小5,160gal 最大6,109gal)
・残燃料(平均951gal 最小519gal 最大1,340gal)
・時間あたりの平均燃料消費量 421.4gal
・航空団の合計燃料消費量 617,441gal

■重量データ(第313爆撃航空団作戦任務番号259のみ):
・出撃機 109
・平均標準機体重量 74,768lb
・平均搭載重量 59,018lb
・平均爆弾搭載数量 混載(14,617lb)
・平均燃料搭載量・重量 6,586gal(39,516lb)
・その他の平均重量 4,885lb
・平均離陸総重量 133,786lb

文献

引用)Damage assessment photo intelligence reports of Far Eastern targets filed by area and contain all available information on the area: Osaka Report No. 3-a(27), USSBS Index Section 7.
引用)Nos. 257 through 261, Honshu targets, 9-10 July 1945. Report No. 2-b(60), USSBS Index;Section 7. Records of the U.S. Strategic Bombing Survey; Entry 53, Security-Classified Tactical Mission Reports of the 20th and 21st Bomber Commands, 1945.

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