cyber kinokawa

和歌山県橋本市出身大阪在住の管理人が、誰も取り上げない和歌山北部と奈良県南部の地理と民俗にフォーカス。情報的価値に重心を置き、なかなかきわどい内容に仕上がっております。文字数多めのため、中長距離通勤通学時のお供にいかがでしょうか♪♪

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奈良和歌山の農村和式民家(3)間取り

▼前回『奈良和歌山の農村和式民家(2)屋根の型』では、日本の農村和式民家は、①屋根の型、②間取りの2要素から理解するのがよい申し上げました。今回は、農村和式民家の「間取り」を取り上げてみます。 1.農村和式民家の間取り ▼近世以降における、わが国の農村和式民家の間取りは、大正年間から本格的な研究が始まったといわれています。 ▼当初、全国の農村和式民家の間取りは「四間取り型(田の字型)」が原型であると考えられていました(下図参照)。戦前の研究は、全国をくまなく調査しておらず

    • 奈良和歌山の農村和式民家(2)屋根の型

      ▼前回『奈良和歌山の農村和式民家(1)』では、瓦を取り上げました。 ▼今回は、建物、特に和歌山県北部と奈良県南部の農村和式民家にフィーチャーしてみようと思います。 ▼日本の農村和式民家は、屋根と間取りの2側面からそれぞれの特徴を検討してみるのが最も分かりやすいと考えます(本来は、これら2つに加えて構造が検討されるべき)。今回は、屋根を取り上げてみます。 1.農村和式民家の屋根 ▼屋根は、農村和式民家を見たときに最も目立ちやすい箇所で、①屋根葺きの材料、②屋根の形の2つが

      • 奈良和歌山の農村和式民家(1)屋根瓦

        ▼和歌山県北部や奈良県南部は、「台風銀座」まではいかないものの、数年毎に台風が通過して、どえらい目に遭います。 ▼どういう理屈なのかは知りませんが、台風通過路の右側で被害が大きくなるようです。直近では、2018(平成30)年に台風21号(関西国際空港の連絡橋に船が衝突したアレです)が紀伊水道を北上し、和歌山県北部と奈良県南部では和式民家の屋根瓦が飛びまくり、その後、瓦職人の人材難と、肝心の瓦自体の不足から、被害家屋の復興が遅れました。 ▼さて、和歌山県北部=紀北地方がかつて瓦

        • 和歌山紀北の葬送習俗(おまけ)やかん問題

          ▼『和歌山紀北の葬送習俗』シリーズ終了にともなう「おまけ」です。 ▼墓場には観察対象がいっぱい・・・ 民俗学などを専攻する奇特な大学生さんは、これを題材にすると卒論程度にはなるのではないでしょうか。 墓場のやかんに蓋がないのはなぜか? ▼今後10~20年のうちに、墓場を管理してきた世代が急速にいなくなり、その後は墓場自体が減っていくと予想されます。さすがの金属泥棒も、墓場のやかんには手を出さないようです。やるなら今しかありません! 

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        • 和歌山紀北の葬送習俗シリーズ
          24本
        • 和歌山紀北の地理
          4本
        • 太平洋戦争と和歌山県
          4本
        • 奈良和歌山の農村和式民家シリーズ
          1本

        記事

          和歌山紀北の葬送習俗(31)最終号:死と迷信

          ▼まず、このページでは一部、死体に関する描写があります。読み手に心的外傷を与える可能性があるので、特に死体をまだ見たことのない子どもや極端に苦手な方は読まないようにして下さい。学問的な文脈から述べるにすぎないものですが、一切の責任は問いかねます。 ▼さて、半年がかりの大企画『和歌山紀北の葬送習俗』シリーズも今回がファイナルです(じつは少し似たような短期企画を進行準備中ですが・・・)。最終回は、死や葬送習俗と深い結びつきのある「迷信」を取り上げることにしました。 ▼迷信に類

          和歌山紀北の葬送習俗(31)最終号:死と迷信

          和歌山紀北の葬送習俗(30)子どもと葬送習俗

          ▼まず、このページには死体に関する描写・写真があります。読み手に心的外傷を与える可能性があるので注意して下さい。学問的な文脈から述べるにすぎないものですが、一切の責任は問いかねます。 ▼子どもの死は「異常死」とされており、成人の死とは別の葬られ方をしていたことがわかっています。 ▼医療技術が貧弱だった昭和中期頃までは、出産時の死亡が数多く見られたはずです。それよりも前は言わずもがなで、そのため、子どもが死亡した場合の習俗が、大人のそれとは別に存在したのもうなずけるところで

          和歌山紀北の葬送習俗(30)子どもと葬送習俗

          和歌山紀北の葬送習俗(29)女性と葬送習俗

          ▼これまで、『和歌山紀北の葬送習俗』シリーズでご紹介に及んだ一連の葬送習俗に関する地域事例のうち、あまり積極的に触れてこなかった点があります。それは、女性、子どもと葬送習俗との関係です。ここでは、女性と葬送習俗に関する事例を取り上げます。 ▼なお、登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられることから、掲出している市町村名にあまり意味はありません。 1.葬送習俗における女性の扱い ▼昔の葬儀、葬

          和歌山紀北の葬送習俗(29)女性と葬送習俗

          和歌山紀北の葬送習俗(28)忌明け

          ▼随分前のページで「死忌み」なるものを取り上げました(『和歌山紀北の葬送習俗(5)死忌み』参照)。 ▼そのとき、死忌みには有効期限がある点を指摘しました。いつまでも死忌みがかかったままでは、遺族は通常の社会生活に戻ることができません。したがって、故人の霊魂にはそろそろあの世に行ってもらわなければなりません。そのための成仏儀礼が忌明けであり、その後は追善儀礼に移ります。 ▼成仏儀礼、追善儀礼とは何かについては、『和歌山紀北の葬送習俗(1)予備知識』を参照して下さい。 ▼こ

          和歌山紀北の葬送習俗(28)忌明け

          和歌山紀北の葬送習俗(27)本葬翌日と三日干し

          ▼本葬が終わったあとの習俗は、遺体がもはや埋葬された後であるという状況から、成仏儀礼としての仏教習俗が多くなります。成仏儀礼とは何かについては、『和歌山紀北の葬送習俗(1)予備知識』を参照して下さい。 ▼仏教における成仏儀礼や、さらにその後の追善儀礼の内容は、形式的、制度的なものが多く、「初七日、四十九日にこれをやります」という決められたスケジュールにしたがって、淡々と公式行事が行われます。これらの公式行事は、仏教諸派関係者の方には失礼ながら、率直に申し上げて遺族が心から本

          和歌山紀北の葬送習俗(27)本葬翌日と三日干し

          和歌山紀北の葬送習俗(26)精進落とし

          ▼遺族及び野辺送りの参列者が帰宅して自宅に上がる前には、墓場の忌を落とすために何らかの呪術的行為が実践されます。今回は、野辺送りから自宅に戻ったところから精進落としまでを取り上げます。 ▼なお、登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられることから、掲出している市町村名にあまり意味はありません。 1.帰宅直後のお清め ▼遺族と野辺送りの参列者が墓場から戻ると、まず家に入る前にお清めをします。お清

          和歌山紀北の葬送習俗(26)精進落とし

          和歌山紀北の葬送習俗(25)墓地からの帰り道

          ▼三昧(サンマイ)に遺体を埋葬して、遺体という最大の死忌みとはお別れしました。しかし、その死忌みは依然として遺族や葬列参加者、葬式組の手伝人にかかったままで、墓地からの復路では死忌みを落とすためのさまざまな呪術的行為が実践されます。ということで、今回は野辺送りの復路を取り上げます。 ▼なお、登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられることから、掲出している市町村名にあまり意味はありません。 1.

          和歌山紀北の葬送習俗(25)墓地からの帰り道

          和歌山紀北の葬送習俗(24)埋葬

          ▼まず、このページには死体に関する描写・写真があります。読み手に心的外傷を与える可能性があるので注意して下さい。学問的な文脈から述べるにすぎないものですが、一切の責任は問いかねます。 ▼また、登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられることから、掲出している市町村名にあまり意味はありません。 ▼このシリーズも、いよいよ終結が見えてきました。今回は、遺体の埋葬を取り上げます。埋葬時の流儀は、村落共

          和歌山紀北の葬送習俗(24)埋葬

          和歌山紀北の葬送習俗(23)引導渡し

          ▼今年のお盆は、「十津川の温暖化」と「南海トラフ地震と井戸涸れ」などという理系テーマにドハマりしていたせいで、葬送習俗をすっかり忘れておりました・・・ ▼さて、今週からふたたび葬送習俗に戻りたいと思います。 ▼野辺送りの行先はもちろん墓地です。野辺送りの手続きはまだ終わっておらず、墓地に着いても葬列に加わっている者にはしなければならないことが残っています。今回は、墓地到着時の習俗を取り上げます。 ▼なお、登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習

          和歌山紀北の葬送習俗(23)引導渡し

          数式なし!南海トラフ地震と井戸涸れとの関係

          ▼先般8月8日に「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」なる注意情報が発表されました。半年ほど前に『数式なし!「和歌山県北部を震源とする地震とは何か編』と称して、和歌山県北部でしばしば生じる群発地震を取り上げる中で、南海トラフ地震にも少し触れました。 ▼今回は、この「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を受けて、前々から気になっていた、南海トラフ地震と「井戸涸れ」との関係を取り上げてみたいと思います。 1.南海トラフ地震とは ▼南海トラフ地震とは何かについては、多

          数式なし!南海トラフ地震と井戸涸れとの関係

          夏の自由研究:奈良県十津川村の温暖化

          ▼今年の7月から8月にかけての猛暑で、奈良県吉野郡十津川(とつがわ)村の気温が近畿地方全体の最高気温になるという、たぐいまれなニュースに接しました。あの山奥の、いかにも涼しそうな場所が近畿地方の最高気温を記録するとは❗ ▼ということで、今回は奈良県吉野郡十津川村の気温はどうなっているのかを調べてみました。以前、『和歌山紀北の温暖化編』というページで一度、気温データの追跡をしたことがあり、今回も過去の気温データをグラフにしてみました。 1.奈良県吉野郡十津川村の位置 ▼ま

          夏の自由研究:奈良県十津川村の温暖化

          和歌山紀北の葬送習俗(22)野辺送り②

          ▼前回は、おもに野辺送りにおける野道具の順序に関するケースを検討しました。今回も引き続き、野辺送りの内容をいくつか取り上げます。 ▼なお、登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられることから、掲出している市町村名にあまり意味はありません。 1.野辺送りのルート ▼野辺送りには集落単位で通過すべきルートが定められています。まず、野辺送りの名称に関する事例をみましょう。 ・墓行き道(奈良県五條市

          和歌山紀北の葬送習俗(22)野辺送り②