土木辞めた人、戻ってきた人インタビュー
若手パワーアップ小委員会では、2017年から2018年にかけて、「土木辞めた人、戻ってきた人インタビュー」という企画で、5名の方にお話を聞いています。
はじめに
この企画の主査を務めた元委員の伊東さんは、インタビューのきっかけについて、次のように語っています。
「土木を辞める若手技術者が増えていると聞きます。しかしその離職理由、その本当のところはなかなか見えてきません。これはもう当事者に直接話を聞いてみるしかない。そのような経緯で始まったのが ”土木辞めた人、戻ってきた人インタビュー” です。」
(インタビューの記事は以下のリンクからご覧ください。「施工の神様」へ飛びます。)
インタビューから見えてきたこと
インタビューからは、お話をうかがった全員が土木を嫌いになっておらず、土木の魅力は今も変わらないということが分かったそうです。
ここから見えてきた離職理由の主なものは、
・「働きがいのある仕事か」
・「納得感のある仕事の進め方か」
・「本人と会社のキャリアプランが整合しているか」
といったものだったようです。
若手の想いを汲めているか
伊東さんによると、
「若手技術者の離職というと、今どきの若者は我慢ができない、打たれ弱いといった評価がされることがあります。」
もちろん仕事なので、やりたくないこともありますし、やらなきゃならないことも。それでも、組織の中で表明した「人の想い」をもっと汲み取ってほしい。(第一回より)
「若手は我々の想定よりもずっと仕事の意味を理解しています。では、若手が汲み取ってほしかった“人の想い”に着目してみます。」
会社に研究所がありまして、行きたいと何度も希望を出しました。でもお前の専門外だ、何を馬鹿なことを言っているのだと一蹴されました。以降、異動の話は一切なくなって。(第一回より)
「誰しも希望業務に従事できるわけではありません。しかし、明確な夢を描ける若手が辞めてしまう現状は、望ましい状況でしょうか。」
若手にもやる気の芽はあります。それが言語化できていないだけです。他の人に言うのが怖くて小さくなってしまっている。でも、それでは楽しくないはずですよ。(第三回より)
「夢ほど大きくなくても、若手なら業務で疑問を持つことがあるはずです。それを言葉に出来ない理由、怖がる原因とは何でしょう。」
一人では長続きしないと思います。支えてくれる誰かの存在がないと。その仕事が好きで始めても、人は脆いものです。(第四回より)
「やりたくない仕事をする時、夢が叶わない時、アイデアを言語化する時、支えてくれる誰かが傍らにいたでしょうか。彼らが悩んだら納得するまで話し合い、一緒に突破口を開こうとしてくれたか。マネジメントとは仕組みだけではなく、信頼する仲間がいて初めて成り立つものです。」
「最近の若手は付き合いが悪いとたまに聞きますが、それは時間外の話。むしろ自分に真正面から向き合ってくれる人を探して、他の誰でもなく自分のための場所を探して、今の職を離れたのではないでしょうか。」
「土木の仕事はこんなに面白いのに、リスク管理のためなのか、その良さを土木業界の中にも外にも伝える機会が少ない印象があります。若手にカッコいい土木を見せたいですね。 背中ではなくて真正面から。一度辞めた彼らが、思わず戻ってきたくなる業界にしていきませんか。そしてこの素晴らしい土木をもう一度、一緒にやりたいと思うのです。」
おわりに
今回は、過去の委員会活動を紹介させていただきました。若手パワーアップ小委員会では今後も、土木の仕事のかっこよさや働きがいを発信していきたいと思っています。
かっこいい土木業界、みんなで盛り上げていきましょう!
伊東さんご出演の土木学会のD&Iカフェトークもぜひご覧ください。