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季語: 白雨、夕立、空蝉、蝉の殻


① ロスタイム白雨を翔る決勝点


② 夕立の名残へまだき鳥の声


③ 細き幹ひとつ空蝉吸ひつけり


④ 何年のいのちのあかし蝉の殻


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① サッカーのロスタイム。今はアディショナルタイムと言われますね。
試合の途中の大雨。泥まみれのアディショナルタイム。決勝点が入り、雨の音は歓声にかき消され、やがて雨も上がる。昔々の記憶をもとに想像しました。
『ロスタイム白雨切り裂き決勝点』
と、詠もうと思いましたが、季語を「切り裂く」のはあまりに強い表現かなと思い、「白雨を翔る」としました。

② ここに住む前に住んでいた家は、鳥の声が実によく聞えました。夏の夕立ちも結構あって、雨上がりに鳥の声が聞こえだすと、「あ、雨が止んだのかな?」と気づく感じでした。まだ少し雨が残っていても声が聞こえ始めるので、鳥も雨が止むのを待っているのねぇと思ったものでした。

③ 今年の夏、裏庭のプラムの木の幹にひとつだけ、蝉の抜け殻を見つけました。その後蝉の声がしていた時期があるけど、そういえば今は聞きません。
「吸ひつけり」=「吸ひつく」+「り(存続)」のつもりです。

④ 地中で蝉が生きてきて、地上に出てきて脱皮したから、そこに殻が残っているのだなぁと、生まれることがなかったり、地中で命を落としていたりしたら、抜け殻を見ることもない。当たり前といえば当たり前の句です。
「何年の」ではなく「七年の」にしようと思っていて一応調べたら、近年は地中七年という説が揺らぎつつあるという説明をいくつか見たので、「何年」としました。

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トップの写真が抜け殻がくっついていた、プラムの木です。

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