母はいつも物語にいて、私は対抗するように母の本を手に取らずに生きてきた。
でも、今回ばかりはつまらぬ意地を捨てて手を伸ばしたいと思った。
理由は明白だ。

視線が足に馴染かけているブーツに向く。
もっと、足と地面の距離が近い時があった。それは、最も苦しくて最も輝いていた時のこと。
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