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気づいたら、花嫁になってた

気づいたら花嫁姿で高校生と結婚した日があったので記録しておきます。


その日もいつも通り町役場で仕事していた。お手洗いから帰ってくるとなんだかデスクががやがやしており、急に「ねぇ、やります?」と聞かれた。



「なんのことですか」
「いや、それはあれなんだけど、やる?」
「いつの話ですか」
「9月22日」
「いけますね」
「ほな決まりで!ありがとう!」



「ちなみになんの話ですか?」
「但馬牛まつりの花嫁役」



なにそれめっちゃおもろいやん。


但馬牛にまつわる昔からの風習で、牛車に乗って嫁入りした花嫁行列を再現したパレードがあるらしい。いやいや参加するしかないでしょ。



前日にはおばあちゃんから電話が来て、「今日はゆっくり休みね〜。明日大事な日なんやけぇ」と言われた。ほんまに明日嫁入りするんかと思った。




迎えた当日。めちゃくちゃ雨。

台風の影響で雨が続いていて、祭り会場の設営も大変だったと思う。当日はいくつかテントが倒れていて、その中でも朝10時に予定通り祭りが決行された。運営の方の地元愛だなぁ。


10時現場入り。「控え室」という響きに少し胸が高まる。

これからどう変わっていくかドキドキの図

和装の花嫁。友達の結婚式は全部洋装だったから、いまいちどんな姿かも想像できてないのでわくわくだった。



めちゃくちゃ本格的な衣装。きれいだなぁ



担当の美容室たんぽぽさんの美容師さんと、「雨ねぇ」「やまない感じですね」「でも私晴れ女なんよ」みたいな会話をしながら、「ま、とりあえず準備はじめましょか」とメイク道具がガサガサと机の上に置かれた。




ほどなくした姿。

出家した?

ほんまに花嫁になるんやろか。出家スタイルやけどいけてる?つい「ちょっと自撮りしていいですか」と写真を撮ってしまった。



顔が白く塗られていって、眉毛も濃くなった。

「昔はね、こうやってお化粧してたのよ」

と教えてもらいながら、おしろいをパタパタと振ってもらった。だんだんと花嫁っぽくなっていく鏡越しの自分、ちょっといい気分になった。



ある程度準備が終わったので、雨が止むのを待ちながらお昼休憩。

スタッフさんが届けてくれた。ありがとうございます

まきばの宿さんが出してくれたお弁当。エビチリが特に美味しかったです。ボリュームも満点で元気が出る。うれしい。



変わらず雨がしとしとと降る中、祈りながら準備再開。立派な箱の中からカツラが出てきて、「ほんとに頭の形してるんですね」という意味のわからん言葉が出てきた。


いよいよ感が出てきました。

このへんから「あ、今日は出家じゃなくて花嫁だ」と実感が湧くように。



とても綺麗なかんざしをつけてもらいました。


仕上げに赤い着物を着せてもらって、その重厚感に驚いた。刺繍がひとつひとつとても綺麗で、縁起の良い柄。イベントとはいえ、本格的な衣装を用意してくださる運営の方、本当に頭があがりません。



着付けが完了した姿がこちら。


わ〜〜〜〜、とっても綺麗だ。誰に嫁ぐのかは知らないけど、私花嫁だ。控え室には母と祖母もかけつけて「ほんまに花嫁さんやねぇ」「一緒に写真撮ろ」と記念写真まで撮ってもらった。完全に花嫁だった。



プログラムの前後を変更してもらい、13時予定が14時開始に。運営の方が裏で必死に動いてくれていて、ひとつの祭りにたくさんの人の思いが詰まってるんだなぁと身に染みる。



待ちに待った花嫁行列。

そうそうたるや。


但馬牛が車を引いてくれて、町の人に囲まれて行列を進みました。おめでたい歌と、素敵なMCと、たくさんのシャッター音。



無事雨も少しおさまってくれて、みなさんが作ってくれた道を最後まで歩くことができました。



楽しそう。

昔からの風習を残していく、地域にとって大切な営みで、そこにたくさんの人の思いが関わっているんだなぁと感じる瞬間でした。



着替えをして少しだけ会場を回ると、但馬牛のBBQ会場があったり、ステージではビンゴ大会をしていたり。昼には但馬牛のロゴマークの発表もあったんだとか。



多くの運営の方と、多くの地域の人たちで守られているこの但馬牛まつり。決して派手で大きなものではないけれど、地域に根付いた伝統と愛に溢れたお祭りでした。来年も再来年もずっと続いてほしいな。



当日の様子はニュースにもなっているので、ぜひご覧ください。


素敵なお祭りに関わらせていただき、ありがとうございました。



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