健康づくりのための睡眠ガイド 2023
厚生労働省のWEBサイトにて昨年12月21日付で表記ガイド検討会の最終案とされる文書が公開されました。https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
過去に同様の指針が発表されたのは平成15(2003)年度、平成26(2014)年度で、今回のガイドも含めてそれぞれ約10年間隔で発表されたこととなります。冒頭の「睡眠指針改訂の主旨 」によると、前回の指針策定以降に蓄積されてきた睡眠に関する新たな科学的知見を反映した内容となっているとのことです。なお標題は今回より「指針」から「ガイド」に改められました。一部報道では1月に「厚労省ホームページで公開予定」とありましたが、検討会の最終会合が開催された2023年12月21日前後に「最終案」(上記リンク)が公開されていました。
今回発表されたガイド案で注目される点は、推奨する睡眠時間や生活習慣が年齢区分ごとに示されていることです。年齢としては「こども」「成人」「高齢者」の3類型に区分されています。「こども」に推奨される睡眠時間ついては「小学生」と「中学・高校生」で異なる数値が示されています。
詳細な内容については、上記リンク先の文書をご参照いただききたいと思いますが、最初に概要・基本事項が示され、「成人」「こども」「高齢者」それぞれを対象とした具体的な推奨事項と想定問答が詳細に記述されています。全ての世代について、単なる睡眠時間の数値ではなく、睡眠の質を重視し「睡眠休養感」を得られるように努力することを提言しています。
年代別に見ると「こども」と「成人」については、現状で睡眠時間が不足傾向にあることを指摘し、健康リスク軽減のため、できる限り十分な睡眠時間を確保するように提言しています。一方で「高齢者」(65歳以上を対象したデータに基づいている)については、むしろ睡眠時間(昼寝を含む)が長すぎることが健康リスクであると指摘し、「床上時間が8時間を超えない事」を推奨しています。
続いて「睡眠に関する参考情報 」として、「良質な睡眠のための環境づくり」(明るさ、温度など)、「運動、食事等の生活習慣」、「睡眠に影響を及ぼす嗜好品」、「睡眠障害」、「女性の身体に固有の事項」、「交替制勤務者の睡眠に関する課題」の6項目についてそれぞれ章立てして課題と適切な対応などの情報が提供されています。
必要な睡眠時間には個人差があることを理解し、ひとりひとりのおかれた環境に応じて、必ずしも理想的な対応が出来る訳ではないことを考慮した上で「睡眠休養感」を高める様に配慮することが重要である、と感じる内容でした。お時間のあるときに、ご自身に関係のある部分や興味のある部分を選んで(各章の内容は完結していますので、全部を読む必要はありません)原文を一読されることをおすすめします。
注記:投稿後一部加筆修正を行いました