
29 いとこに対する歪んだコンプレックス
挨拶に尋ねたいとこというのは父の兄の娘である。
私より6歳年齢が上であり、時々墓参りや食事などで両親を連れだしてくれていた。
幼少の頃、一時期一緒に住んでいた事があったので親しみがあった。
彼女は私や息子のことを色々と気にかけてくれていたが、私自身の生き方がアウトローだったため、私自身が親戚関係とは自然と疎遠になっていた。
けれども一度たりとて、彼女は私に偏見を持たず肯定的に接してくれていた。
私が幼少の頃から母はいつもいとこの事を、明るくて性格が言いと褒めちぎっていた。
確かにその通りなのだが、私は自分が否定されたような気持になり余計にひねくれた。
このいとこには今回の件で色々話を聞いてもらったり心の支えとなってもらう事になる。
最後にあったのは息子がまだ小学生の頃だったから、15年くらい振りであった。
夫の運転で、だいたいの住所しかわからず、父のかすかな記憶のみでのアポなし訪問だったにかかわらず、皆が在宅であり挨拶ができた。
これが今回の入居に大きく作用するという事は、この時は知る由もなかった。
今回の母の説得に欠かせなかったのが、叔母と叔父である。
彼らの助けなしでは今回に限らず今後も、私一人で両親の事をケアしていく事は不可能であった。
私は兄弟がいないのでわからないが、母は比較的彼らの言う事には素直に従うのであった。