
44 夕日
入居手続きや部屋の片付けを終えたのが午後4時。
この地域の交通手段がわからない。
バスが走っているがどのルートでどこにバス停があるかがわからない。
とりあえず外に出た。
12月の北海道は雪こそは積もってはいなかったが顔がピリピリする寒さだ。
とりあえず歩く事にした。
ルートはとてもシンプルな直線道で、グーグルマップによると実家まで3キロ程度であった。
橋を渡り大きな工場の横のまっすぐな道をひたすらに歩く。
とても美しい夕日が見えた。
そういえば実家のある地方都市は世界三大夕日とかだったような気がする。
私はとても誇らしげな気持ちになった。
よくやった!!
と夕日に褒められているような気がした。
とにかく両親は無事に入居したのだ。
寒さはそれほど感じなかったが、歩いている人は皆無であった。
車移動が当たり前だからだ。
私は開放感と達成感で一杯だった。
道中プレミアムモルツと辛口シャンパンを購入した。
今日は自分の為に乾杯をしよう。
叔父と叔母にお礼の連絡をした。
叔母が夕飯を食べにおいでと言ってくれたが、誰かと話す気分ではなかった。
ありがたいお申し出なのだが叔母のところに行ったら行ったで叔母のマシンガントークを聞かされることは目に見えていた。
今の私にはそんなキャパはない。
とにかく一人になりたかったし、何も考えずにゆっくり眠りたかった。