
43 施設入居の日
いよいよ両親が施設に入居する日が来た。
13時から入居に関してのミーティングや火災保険の契約、介護用品の契約などが予定されていた。
同時刻に引っ越し業者が家具を運んでくれることになっていたので、その立ち合いは叔母にお願いし私と両親は叔父の車で施設へと向かった。
実家からは車で5分程度の距離であるが、父は行動するのに時間が掛かるため予定の30分くらい前には家を出られるようにしなければならない。
やっとの思いで車に乗り込んだと思ったら、トイレに行きたいとかマスクを忘れたなどの騒ぎになる。
その為色々な事態が起こることを予測して早めに手を打つ必要があるのだ。
久しぶりにふと自分の手のひらを見るとストレスが強い時に出る横線ががっつりと増えていて私は思わず笑ってしまった。
がんばっているな私。
12時半には到着予定だったが結局ミーティング10分前の12時50分に施設に到着、それぞれ同じ階の個室が用意されていた。
ドアにはフルネームで表札が入り、カーテンも新しいものが付けられていて清潔感がありとても快適そうであった。
両親ともにはしゃいでいてとても嬉しそうであった、それはありがたい事なのだが母のはしゃぎぶりに関しては疑問もあった。
母は外面がとにかく良く世間体や体裁を気にする。
個室でひとり、色々考えるうちに帰りたい気持ちが湧き上がるのではないか。
けれどもスタッフの皆さんが本当に良い人たちばかりで、上手に母を持ち上げてくれていたので安心してお任せできると心強い気持ちになった。
1時間以上にもわたるミーティングが終わり、それぞれの部屋を片付けた。
理解していなさそうだったが両親それぞれに何がどこに入っているかを説明した。
叔父が手持ち無沙汰にしていいたので、先に帰ってもらった。
本当は帰りに送ってもらった方が助かるのだが、私は人に頼るのが心から苦手であり待たせているという状況も落ち着かない気持ちになる。
それであれば帰りの時間を気にせず自由に用事を足す方がよっぽど気楽だ。