
12 母さんは99歳まで一人暮らしだったのに
2023年に入ってからケアマネージャーさんに、ゆくゆくは高齢者住宅に入居を視野に入れたほうが良いというおススメをされていた。
その時は両親も私もまあそのうちという感じで、あまり気にも留めていなかった。
数件のおすすめ施設のパンフレットをいただき、その中の一つが父が通う病院の系列だったこともあり、父は興味を示した。
しかし現状空きがないため、空き待ちという事でエントリーだけして連絡待ちという状況であった。
空きが出たとしても条件が合わなければ入居を受け入れてもらえない。
ましてや2人そろって入居できる保証はなかったのだが。
母にも入居に関しての説明を何度かしていたが、全く聞く耳を持とうとはしなかった。
家があるのに何でそんなところに入る必要ないでしょう、お金だって沢山かかるのに、私はここにいるよ。母さんだって死ぬまで一人暮らしだったんだから。
母さんとは母の母である。
99歳で旅立つまで、実家から徒歩2分のところに一人で住んでいた。
とはいえ母や叔母や叔父たちが食事を届けたり掃除をしたり、子供たちが入れ代わり立ち代わり生活を助けていたからこそできたことである。
祖母の時とは状況が違うという事を、何度説明しても母は理解できなかった。