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帰宅後母の気持ちが変わるかと気をもんでいたが、
意外や意外母は
なかなか良い”病院”だね
と上機嫌であった。
私は言った。
病気じゃないのに病院に入るわけないよ、今日行ったところは高齢者向けの高級マンションなんだよ!選ばれた人しか入居できない所なのに契約ができたんだよ!すごい事だよね。
ちょうど二部屋空いていたのも奇跡だし、これは神様やよっちゃんぜんちゃん(母の両親を私はそう呼んでいた)たちのおかげとしか思えないよね。
ついてるね君たち!たくさん徳を積んできたからみんなが助けてくれるんだね、良かった良かった!!
高級マンションという言葉が母には刺さったようだ。
あら、そうなの?高級マンションなの?
そうだよ!だから選ばれた人しか入りたくたって入れないんだよ!
8日の入居までこのやりとりで乗り切るしかないと私は確信した。
けれどももうぬか喜びはしたくない。
白紙に戻すと言われた時のようなジェットコースターな感情の波はもうたくさんである。(私の人生の中でここまで感情を乱されたことはいまだかつてなかった)
そしてたとえ入居したとしても帰りたいとごねる可能性も多分にあるのだ。
契約が終わっても正直私の心中は全く穏やかではなかった。

父とは入居したらどれだけ生活が快適になるかの話をした。
併設のデイサービスで父のパーキンソン病のリハビリができる事、同じく入居者でパーキンソン病の人がそのリハビリで身体が楽になった事、11月の施設見学の時に休み返上で担当してくれた伊藤さんがそこの理学療法士である事、部屋には定期的にスタッフの人が見回りに来てくれる事、看護師さんが薬や体調を見てくれる事、お風呂の介助がある事、食事が3度食べられる事、コールボタンがあり24時間体制で何かあればすぐ対応してくれる事。
父はありがたい事だねえ、と感心していた。
私は母に聞こえるように入ってからの生活の楽しさ快適さをとくとくと言い聞かせた。

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