39 因果応報
私はありがたい事に15歳から寮生活をさせてもらえる環境になったので、それ以降は構いたくてしょうがない両親からは物理的に離れる事が出来たが、お互いの性格はそう簡単に変わることはなかったのだ。
その上お互いが年齢を重ねそういう性格が更に際立ったようにも思う。
とにかくあと3日両親を刺激しないようにという事だけ考えていた。
そしてこれは20代でさんざん心配をかけた報いなのかもしれない。
自分勝手な生き方をしていた両親への償いであり、ここできっちり清算する時なのだろうと腹を括った。
実際に自宅で一人で両親の介護を行っている人たちを私は心から尊敬した。
私はとても恵まれた環境にあるのだ、その事には感謝しかない。
なぜなら母はまだ私の事が誰かを理解できているし自力で動く事ができる
父はパーキンソンで身体の自由は制限されるし物事の理解力は鈍いものの、何度かゆっくり説明すれば理解できているようだ
そしてぎりぎりではあるが年金と貯蓄でこの先の人生の安心を買えるのだ。
それは時代背景もあるが彼らが地道にコツコツと生きてきた証である。
しかし現実はきれいごとではないのだ。
日を追うごとに私は疲弊し両親は元気そうにしていた。
私はこの二人にエネルギーを吸い取られているのではないかとさえ思った。
この数日で一気に10歳位老け込んだ気がする。