「酔い醒めのころに」を読んで
先日大好きなエレガント人生の単独ライブへ行ってきたというお話をしたのですが
そんな彼らが共著した小説「酔い醒めのころに」が先日9月1日に発売されまして、単独終わりに読ませていただきました
この小説は単独ライブの内容と少しリンクしているところがあるとライブ終わりのトークでお話されていたので、それも小説を読む一つの楽しみでもあったのです
お風呂から出て一日のやることが全て終わった後にゆっくりと読み始めた小説は、時間が過ぎるのを忘れるほどに深く、私を物語の世界に引き込みました
読み進める手が止まることを知らず、気づけは時間は午前0時を迎え、一気に読み終えてしまったというわけです
苦しい
それが小説を読み終えたとき一番に感じた気持ちです
ものすごく苦しくて、しんどくて辛い
そんな気持ちで心がいっぱいになるほどには、初めて読んだこの小説は苦しかった
エレガント人生が作るコントはいつもリアルで、見てる人にさまざまな感情を感じさせてくれるし、それでいてほんの少し自分と他人が愛おしくなる作品です
そんな彼らが作り上げた小説の世界は同じようにリアルで、いやいつも以上にリアルで、どうしようもなく心が揺さぶられたことが今の私にはしんどかった
それぞれのキャラクターたちはこの世界に生きる私たちを具現化しているようで、人はみな自分の思い込みの中で生きているのだということを痛感させられたのです
ただでも夜はあれこれいろいろと考えてしまうのに、寝る前に読んでしまったことを後悔するくらいには深く私の心に、物語の登場人物たちの心情が染みついていました
ベッドに入ってからもしばらく小説の内容を思い返しては眠れなくなり、夢の中までもが小説の世界に飲み込まれてしまったほどです
物語を読み進める中でこれでもかというほどに、登場人物たちを通して自分の奥底にある闇と向き合わざる負えない感じがして、闇を見れば見るほど絶望しました
だけどこの闇と対面する瞬間、私がたった一人であったなら、その闇に飲み込まれてしまったのかもしれないけれど
小説を通して、同じように人生のなかで必死にもがいている彼らが一緒にいてくれたことがどこか心強く、苦しいけれど自分の闇を見ることが恐ろしくはありませんでした
「酔い醒めのころに」は短編小説のような造りでありつつ、それぞれの話のつながりも楽しめる内容になっています
人としてこの世で生きている限り、きっとこの小説を読むことは少なからず痛みを伴うし苦しいことだと思います
だけれども、その自分の中にある苦しみに気づけたからこそ得るものもあるのです
自分にも他人にも、この世界の全てに期待をせず諦めること
それは一見ネガティブなように思えるかもしれませんが決してそうではなく、諦めたからこそ、この世界を本当の意味で生きるための一歩が踏み出せるのではないかなと思いました
登場人物たちが絶望した世界は、案外そんなに悪いものではないんじゃないかなと
強すぎる光はまぶしすぎるけれど、暗闇に差し込む小さな光は心をじんわりと温めてくれる気がします
エレガント人生が生み出す物語はいつも優しくて、その世界に触れた後はほんの少し自分のことが好きになれるんです
ちょっぴり読むのが苦しいけれど、この小説はどこまでも温かく剥き出しの私を受け入れてくれる気がするから
何度も噛みしめながら、大切に読みたいなと思います
そしてこの小説がたくさんの方の心に届くといいなと願うばかりです
エレガント人生がいるこの時代に生まれ、エレガント人生を好きになった自分を誇りに感じます
ぜひファンの方もそうでない方も、普段あまり本を読まれない方も全ての方にオススメしたい一冊です
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