見出し画像

読書感想『鹿男あをによし』万城目 学

さぁ、神無月だ。…出番だよ、先生。

大学の研究室から、半ば追い出されるように奈良の女子高で期間限定の教師にされてしまった「おれ」
慣れない奈良の地で、いきなり担当生徒の堀田イトから敵対視されてしまう。
古都・奈良を舞台に繰り広げられるのは日本を救うための古からの祭事…
神の使いである鹿に導かれ、「おれ」の前途多難な神無月が幕を開ける。


2007年…えぇ、もう18年も前じゃん(恐怖)!?に刊行された万城目学先生の代表作をめちゃくちゃ久しぶりに読み直し…。
えぇ…軽く15年ぶりくらいの再読になるの…わーお、そりゃ細かいところ忘れてるはずだ…。
はい、鹿男。鹿男ですよ!
如何せん、僕、奈良県民なので出てくる風景、地名、駅名に馴染みがありまくりで余計に楽しく読めちゃっている部分もあると思うんですが、そこを差し置いても…最高。
もうぅぅぅぅぅ…意味不明すぎて、最高。大好き。
奈良に赴任した「おれ」は、突然鹿に「お前は運び番に選ばれた」と、大した情報も与えられないまま鎮めの儀式に巻き込まれるのである。
いや、何運ぶの?誰からもらうの?という至極真っ当な疑問にはほとんどまともに答えてもらえず、持ってこないと日本が滅ぶぞ、という無茶ぶりである。
だが相手は、鹿。鹿なのである。
人語を操るものの、そこは鹿。鹿なのよ。
人間の都合は聞いてくれないし、説明が基本的に足りてない。
「おれ」は状況が飲み込めないままに悪戦苦闘を強いられるのだ。
1800年もの間繰り返され続けてきた神事…日本が滅びるかもしれないのになぜか妨害される異常事態に「おれ」と鹿が奈良の地を駆け巡る一冊だ。
いいわぁ…この、現代では理解できないけど神話の地続きなら納得できてしまいそうな物事の数々…。
そしてそんな事態を引き起こしたのは実は愚かな人間ってところも含めて、めちゃくちゃ荒唐無稽なようでいてどこか真理をついてくる世界観。
うん、やっぱり好き。大好き。
古墳から出土品まで、奈良の古代史の小ネタも満載でこの本のおかげで銅鏡の名前を覚えましたよ…。
いやぁ…これはまた忘れたころに読み返したい。
万城目学作品や森見登美彦作品のような荒唐無稽さを楽しめる感性持っててよかった…。
いやぁ本当に、読んでてただただ楽しい。
大好き。

こんな本もオススメ


・万城目学『かのこちゃんとマドレーヌ夫人 』

・森見登美彦『有頂天家族』

・河野 裕 『愛されてんだと自覚しな』

人間とそうじゃないものが入り乱れて登場する本って無茶苦茶だけど面白い。
僕も巻き込まれてみたい―

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集