読書感想『瞳の犬』新堂 冬樹
介助犬訓練士の三崎達郎は、夏の公園で虐待されて傷だらけのラブラドールレトリバーと出会う。
人間を怖がり威嚇しながらもその瞳に深い自愛を感じた達郎は、その犬をテレサと名付け介助犬の訓練をすることにした。
自身も虐待された過去を持つ達郎は、テレサの瞳の持つ癒しの力を感じ取っていた。
テレサは介助犬になるべくして生まれてきた犬だ…そう確信する達郎のもとに、テレサの飼い主を名乗る男が現れて…
初読みの作家さんなのですが、犬大好きなので表紙と介助犬というのに惹かれて読んでみたり…。
うぅーん…介助犬のこと、虐待の後遺症のこと、誰かを信じること、人と犬の絆、人と犬の持つ時間の差…書きたいことが多すぎてページ数とみあってない感じですかね…
ちょっと次々色々起こるんだけど…いやちょっと色々起こりすぎなのもひっかかるんだが…それに対しての登場人物たちの言動が僕の感性とは全然合わなくて…個人的にはとても読みにくかった…
虐待された経験のある達郎と、同じ傷を持つテレサが心を通わせて立ち直っていく姿はよかったんだが、それもちょっと短期間でとんとん拍子に進みすぎかな…?
僕はこの本に出てくる誰のこともいまいち理解できないというか…なんだろうな、うん、たぶんちょっと感性が合わなかった気がします。
特に達郎の奥さんの涼さんが現実感なさ過ぎてちょっとしらけちゃって…うん、心情表現的なとこにどこものめりこめなかったので余計にごちゃごちゃしてるだけの印象を持っちゃったのかも?
辛い過去を持ちながらも達郎と出会ったことで人を信じれるようになるテレサはとても魅力的なのでもっとテレサが見たかった感じですかね。
介助犬という存在について、その存在の少なさや犬の担う役割なのどの理解を深めるにはとてもいいと思いましたが。
うーん…登場人物と波長が合えば楽しめるのかも?
物語に入り込める、入り込めないがめちゃくちゃ分かれる本な気がします。
・馳 星周『雨降る森の犬』
・大倉 崇裕『 犬は知っている』
・W・ブルース・キャメロン『名犬ベラの650kmの帰宅』
子供のころからずっと犬と暮らしているので、犬と人の絆が描かれる本は大好きだし、表紙に惹かれてついつい読んじゃうんですよね…。
こういう本を読むとついつい自分の家の子を撫でまわしてしまいますね…愛しくて愛しくて。