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読書感想『11ミリのふたつ星~視能訓練士 野宮恭一』砥上裕將
僕は医者ではありません、視能訓練士です。
不器用な青年・野宮恭一は視能訓練士として着実に成長していた。
ある日、喫茶店で行われたイベントに参加していた野宮は、おっちょこちょいで不器用な4歳の少女・灯と出会う。
灯を見ているうちに、野宮は彼女の抱えている重大な問題に気づくのだが…
不器用な視能訓練士が出会う、斜視の少女、ロービジョンの少年、糖尿病を受け入れられない漫画家…
視界に問題を抱える様々な人々との出会いの中で、目に宿る奇跡と向き合う野宮の物語第二弾。
こちらは『7.5グラムの奇跡』の続巻である。
新人・野宮が何とか手に入れた職場で視能訓練士として奮闘する初めが知りたい方はぜひこちらから読んで欲しいが、まぁ…未読でも問題なく読める一冊になっている。
眼、という器官そのものに魅力を感じ、真っ直ぐ見つめる癖のある野宮が、患者一人一人の視界を守るために真摯に向き合うシリーズである。
一度失われてしまうと取り戻すことの難しい、視えるという事の奇跡に気づける本でもある。
いやぁ…僕も視力が低くてコンタクトがないと普通に暮らせないんだが、それでも当たり前の世界は見えているもので、そのことを意識もせずに暮らしている。
このシリーズを読むと…やべぇ、眼球のこともっと大事にしなくっちゃ;;;;と毎度焦ってしまうのも事実である。
野宮が出会う患者たちは、最初からきちんと見えてない人、徐々に見えなくなっていく人、ある日突然にその視力を失いそうになる人などさまざまである。
その中でついつい身に迫るのは、もともと普通に見えていたのに何らかの理由でそれが危うくなってしまった人々である。
今まで当たり前に見えていただけに、いざ何か問題が生じたときに、そのことをすんなり受け入れられなかったり気持ちが投げやりになって治療に積極的に慣れなかったり、いずれ来る失明という事実に絶望してしまったりと患者の反応はいずれにしても負の感情が伴う.
不器用で口下手な野宮は、そんな患者一人一人と真剣に向き合い、なんとか彼らに今まだあるその視力を少しでも残せるように奮闘するのである。
ただ、野宮に出来るのはあくまで寄り添う事や提案することだけで、行動を起こすのは患者本人にしかできないのである。
切実な野宮の祈りとは裏腹に、患者本人の行動がなかなか伴わず歯痒い思いをすることもしばしばだ。
それでも根気強く訴え続ける野宮の姿に、グッとくるのである。
んで、マジで…自分ももうちょっと目を大事にしなくっちゃってドキドキするのよ…
目が見えなくなると…本を読むっていうそんな毎日がなくなってしまうんだって普段考えたこともない癖に意識しちゃうのよね…。
とりあえず目薬を買っちゃったよ…。
こんな本もオススメ
・夏川草介『神様のカルテ』
・小川 糸『ライオンのおやつ』
・伊坂 幸太郎『終末のフール』
ちょいと違う気もするが…なんていうか、限りのあるものに真剣に向き合ってる人々が出てくる本を三冊ほど…
何でも当たり前にそこにあり続けると思っちゃだめだな…って改めて思ったり。