「うたの日」で短歌を始めてからの1年のあゆみ【薔薇25首+自選25首】
こんにちは。若枝あらうです。
2018年6月初頭に短歌を作り始めてからすぐ「うたの日」というオンライン歌会サイトにお邪魔しはじめて、そろそろ1年が経とうとしています。
始めてから1ヶ月は一度も薔薇(各部屋での首席)が取れなかったり、その後も次の薔薇まで1ヶ月以上かかったり、悔しかった時期もありますが、1年を目前に薔薇が25本溜まり、段位をいただくことができました。
毎月の自選10首はやってきましたが、自分の作品を長期間でまとめた記事がなかったので、これを機に「うたの日」に出した中から「過去の薔薇25首」と、「薔薇には届かなかったけれどハート4つ以上もらえた歌すべて」と、「自分で好きだと思う歌」を合わせて、全50首選としてまとめました。どうかお楽しみください。
(なお、その後に別媒体で表記を直して再公開している歌も、ここでは投稿当時のままにしています)
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息継ぎの聴こえる距離で その曲は、Charaじゃなく君のものにされた
(2018/6/9 『Rock』)
哀しみを雨が洗ってくれぬこと よく知っている私のくせ毛
(2018/6/11 『自由詠』)
たくさんの恋をさらった波よせてテトラポットが墓標みたいだ
(2018/7/3 『波』)
とりかえしつかない夜にしてしまおう空には神がこぼしたミルク
(2018/7/7 『天の川』🌹)
しゃりしゃりと私の心とかしてく警告めいた赤いシロップ
(2018/7/18 『かき氷』)
竹馬にうまく乗れないぼくですが地に足つけて生きております
(2018/7/28 『竹』)
あきらめて帰っておいで茜さすトマトソースが食べごろだから
(2018/8/7 『トマト』)
ぬばたまのふたりの暮らし照らすように食卓に咲くただの白和え
(2018/8/9 『和』)
音楽にきっと救いがあることを暗示している「再生」の文字
(2018/8/14 『楽』🌹)
写真には残らない恋だったけど日記のなかはずっと鮮やか
(2018/8/23 『日記』🌹)
「未練」でなく「残暑」と呼んでいいですか 痛いくらいに白い木漏れ日
(2018/8/26 『残暑』)
まっしろな自由帳から逃げだした私を生かす方眼の街
(2018/9/11 『自由帳』)
最近じゃ美容雑誌もゴキブリを殺すときしか使っていない
(2018/9/15 『容』)
栗色のサラブレッドよ風になり僕に恵みの秋を届けて
(2018/9/16 『栗色』🌹)
スーツ着たフンコロガシがてかてかと照らす都会の夜は明けない
(2018/10/4 『糞』)
街路樹が等間隔に並んでてきみとの距離を知る通学路
(2018/10/11 『等』🌹)
変わらない思いはあれど照れくさくいつもカレーに隠すハチミツ
(2018/10/12 『隠』🌹)
性欲も睡眠欲も満たされぬ夜にどん兵衛だけが優しい
(2018/10/24 『深夜の飯テロ短歌』🌹)
ひさかたのメトロポリタンぼくじゃない誰かが夢を叶えたひかり
(2018/10/26 『叶』🌹)
よくできた神話のようにきみたちがピッチに描く星座を見てた
(2018/11/1 『サッカー』🌹)
別れるともう決めたのに焦げてないほうのサンマをあなたによそう
(2018/11/10 『自由詠』 🌹)
さくらさくら 春を拡散したきみは、秋を集約してもきれいだ
(2018/11/15 『約』🌹)
散ることも赦されぬのか造られたひかりでシャブ漬けにされる街
(2018/11/26 『散』🌹)
飛び込もうひかりのうみに どうせもう息が足りない きみに会いたい
(2018/12/17 『もう』)
明けることが約束されて暮れていく街の明日にあなたはいない
(2018/12/31 『暮』🌹)
ブルーベリーいっぱい食べてしあわせの六等星も見逃しません
(2019/1/1 『平成三一年の抱負』)
この胸は満たされないでいるほうが良い音が鳴る それでよかった
(2019/1/5 『満』)
不安げに【ちょっとぞうすい】手にとった彼は誰かのヒーローだろう
(2019/1/10 『スーパー』🌹)
二歩さきにひるがへりたるマフラアの春を率ゐるやうなももいろ
(2019/1/31 『率』🌹)
思ひ出をあづかりしまま年老いて質屋はけふも硝子をみがく
(2019/2/6 『屋』🌹)
半額の刺し身にだってツマはあり独りぼっちのコロッケを買う
(2019/2/8 『刺身』🌹)
遠くからあなたの無事を願うときわたしも空に守られている
(2019/2/21 『空』)
パスタならぼくは唐揚げ定食の下敷きになるタイプだろうな
(2019/2/28 『定』)
きみよりもおほくの春をとほりすぎ、それでもおなじ春に逢ひたい
(2019/3/1 『春』)
スピードに気をつけましょう死角から春が飛び出すかもしれません
(2019/3/2 『角』)
責任を知って揺られる終電の窓でいつかの父と目が合う
(2019/3/11 『自由詠』)
おなじ場所おなじ季節の桜木に去年とおなじふりをする花
(2019/3/17 『去』🌹)
もしかしてあなたにピザを届けてもいいのだろうかバイトをすれば (2019/3/27 『届』🌹 秀歌)
皮肉にも俺の心を軽くする羽根があっても飛べない餃子
(2019/4/5 『羽』)
投函と謂へばそれ迄なのですが両手を添へて託してゐます
(2019/4/18 『投』🌹)
ブレーキが効かない歳じゃないけれど制動距離を過信していた
(2019/4/21 『制』🌹)
ぬくもりを与える人になりたくて主にふとんをあたためている
(2019/4/22 『主』)
灰皿で星屑になるレシートが3時間だけ叶える願い
(2019/4/24 『叶』)
出逢うまでを奇跡とみなし確率は別れをただの多数派にする
(2019/5/4 『確』🌹)
うかつにも空に迫っていく夏の導火線としてのクレマチス
(2019/5/11 『導』)
音もなくサンダーソニアほころんで誰かの為にならなくていい
(2019/5/14 『為』)
楽しげに音を鳴らせば傷ついてしまふかかとと歩いてゐます
(2019/5/15 『傷』)
泥のやうに眠るばかりの生活に睡蓮の咲くのをまつてゐる
(2019/5/19 『泥』🌹)
青ければ綺麗に褪せてゐただらう白きデニムは汚れてしまふ
(2019/5/23 『デニム』🌹)
さうやつて笑つてみたい 花が皆うちがはを見せ咲くものだから
(2019/5/31 『側』🌹)
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この記事に限らず、これまで私の作品を楽しんでくださった皆様、また時に厳しいご指摘をくださった皆様、本当にありがとうございます。
これからも詠み続けるつもりですので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします!