若枝あらう

スピッツ好きの歌人です。

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最近の記事

【七物語2021】を読む

毎年、嶋田さくらこさんと千原こはぎさんが声をかけて作成されているネプリ【七物語】…今年は若枝も参加させていただいたので、にぎやかしも兼ねて一首評をしてみたい。 本日だけ公開のネプリだが、コロナ禍に配慮してPDFでも(同じく本日だけ)公開されている。 今年のメンバーは、有村桔梗さん、笠木拓さん、北虎あきらさん、田丸まひるさん、嶋田さくらこさん、千原こはぎさん、そして若枝あらうとなっている。それでは早速、自分以外の連作から一首ずつ引いていきたい。 素麺をひとたば茹でるまひる

    • 【募集】すくらんぶる歌会

      ちょっと、自分なりの新しい取り組みをしようと思う。 短歌の読みにあたって、しばしば「私性」という単語が出てくるが、触れたら火傷しそうなこともあり、私はあんまり表で言及してこなかったように思う。今から私が書くことは、もしかすると「私性」で議論尽くされた話なのかもしれないし、それは「私性」とは関係ない話かもしれない。どちらにしても浅学あればご容赦いただきたい。 さて、多くの歌会は「一首」を評価する場所ではないだろうか。確かに「一首」で読者を惹きつけたいというのは、作者にとって

      • 『月と鏡集』を読む【2021年5月号】

        ここしばらく、あまりに評を公開してこなかったなと反省しています。リハビリ目的というわけではないですが、結社の所属欄から歌を引かせてもらうのを習慣にしようかな…と思い至ったので、今回はその第1号記事ということで。 私の所属する未来短歌会の佐伯裕子選歌欄『月と鏡集』は、毎月一度、前月号を持ち寄って評をしあう『不忍歌会』を行っています。その中で私が特に気になった歌を数首、この場所で引かせていただくことにしようかと。 『月と鏡集』のメンバーの中では、私がたぶん一番インターネットで

        • 子プリVol.1ふりかえり

          気づけば7月ということで、2020年も折り返しですね。 さて、今年は子年ということで、子年生まれの歌人だけを集めたアンソロジーを年のはじめに公開していました。 本当はVol.0と同じように一首選をしたかったのですが、せっかくなら半年くらい経ったところで一首選したらまたみんなの目に触れるかなと思って温めていました。(ということにさせてください) さて、ではさっそく。全員分の連作から1首引用したうえで、簡単に連作の評をしてまいります。(※僕の主観もそれなりに入ってしまってい

          #いわくのつけく チャレンジ

          敬愛する曰先生が、GW明けの殺伐としたTLにとんでもないものをぶっこんできやがった。 この note の読者には今更説明もいらないだろうが、付け句っていうのは、誰かが作ったフレーズ(これを付け句と呼ぶ)を補完して短歌の形にする遊戯のこと。だいたい、界隈のTLがこれで盛り上がるときは数種類の付け句が流れているものだが、一気に100個ぶっこんでくるような暴挙…もとい神対応は見たことがない。気がつけば少なくとも3時間は没頭していたように思う。前置きはこれくらいにして見てほしい。

          #いわくのつけく チャレンジ

          短歌月九ネプリ 第六回『いつも字余りで』三首選

          こんばんは。若枝あらうです。 1月からスタートしたネプリ「月九」…第6号は私が主演を務めさせていただいております。そんなタイミングで配信終了2時間ほど前にこんな記事を公開するというギリギリさですみません…。まだの方は是非、下記ツイートを参考にお近くのコンビニに駆け込んでいただけますと幸いですw 以下、三首選。 27枚の最後を決められず君と手ブレの夜を写した / 近江瞬『27枚の今』より 今日ではすっかりデジカメが主流になり、27枚撮りのフィルムカメラ(おそらく使い捨て

          短歌月九ネプリ 第六回『いつも字余りで』三首選

          短歌月九ネプリ 第五回『のだめタンカービレ』三首選

          こんばんは。若枝あらうです。 1月からスタートしたネプリ「月九」…早いものでもう第5号なのですが、配信終了が明日に迫っております。そして今回は過去で一番、9人それぞれの個性が出たような気がしています。是非、下記ツイートを参考にお手にとってくださいませ。 ここからいつもどおり三首選なのですが、今回は過去一番悩んだかもしれません。悩んだと同時に、やっぱり自分は実景のあるあるみたいな歌が好きなんだなぁと再確認できる三首選になりました。それでは、以下に。 逆にサビをわすれてしま

          短歌月九ネプリ 第五回『のだめタンカービレ』三首選

          「うたの日」で短歌を始めてからの1年のあゆみ【薔薇25首+自選25首】

          こんにちは。若枝あらうです。 2018年6月初頭に短歌を作り始めてからすぐ「うたの日」というオンライン歌会サイトにお邪魔しはじめて、そろそろ1年が経とうとしています。 始めてから1ヶ月は一度も薔薇(各部屋での首席)が取れなかったり、その後も次の薔薇まで1ヶ月以上かかったり、悔しかった時期もありますが、1年を目前に薔薇が25本溜まり、段位をいただくことができました。 毎月の自選10首はやってきましたが、自分の作品を長期間でまとめた記事がなかったので、これを機に「うたの日」

          「うたの日」で短歌を始めてからの1年のあゆみ【薔薇25首+自選25首】

          短歌月九ネプリ 第四回『カイゲーン大作戦』三首選

          こんばんは。若枝あらうです。 1月からスタートしたネプリ「月九」、第4号の配信終了が明日に迫っております。GWのためまだお手にとっていただいていない方も多いかもしれません。是非、下記ツイートを参考にお手にとってくださいませ。 以下、三首選。 子づくりの「づくり」は作でいいですかまさか創なら許しませんよ / 西村曜 「子づくり」の漢字を問うというシーンそのものも印象的だが、「作」ではなく「創」なら「許しませんよ」という強いメッセージが込められている。「創」ならどんな不都

          短歌月九ネプリ 第四回『カイゲーン大作戦』三首選

          【2019年3月】自選10首

          こんばんは。若枝あらうです。 先月に続いてこんなに遅いタイミングでの自選ですが、引き続きわりと前向きに歌に取り組めているかなと思います。3月と言えば歌会で短歌への取り組み方を見直すきっかけがあったり、かと思えばうたの日で初めて秀歌をいただいたりして、自分の歌の方向性がまた少し明確に見えてきたような月でした。たぶん、そんな10首。 ---- スピードに気をつけましょう死角から春が飛び出すかもしれません おひさまのひかりがさしてこの部屋の埃っぽさに気づいてしまう 混んでい

          【2019年3月】自選10首

          短歌月九ネプリ 第三回『歌人明日なろ白書』三首選

          こんばんは。若枝あらうです。 1月からスタートしたネプリ「月九」、第3号の配信終了が今週末に迫っております。このあいだよりは余裕あるかな…三首選をします。プリントアウトまだの方は是非下記ツイートを参考にお手にとってくださいませ。 以下、三首選。 僕が文鎮なら君は半紙だが抱きあえてるよそうじゃないので / 御殿山みなみ『hey, fever』より 文鎮の「僕」と、半紙の「君」はどんな関係性なんでしょう。きっと「君」は「僕」を包み込むような、やわらかな人なのでしょうね。も

          短歌月九ネプリ 第三回『歌人明日なろ白書』三首選

          【2019年2月】自選10首

          こんばんは。若枝あらうです。 自選がいつになく遅くなってしまいましたが、1月までの苦しさはどこへやら。最近また歌を詠むのが楽しくなってきました。少しずつ取り組んでいた旧仮名でなんとなく新しい世界が見えてきたような気がしていて、それによって、これまで「自分そのもの」でしかなかった歌が少しずつ自分の手を離れていっている感覚というのかな。そんなものを味わっています。たぶん、そんな10首。 ---- 半額の刺し身にだってツマはあり独りぼっちのコロッケを買う パスタならぼくは唐揚

          【2019年2月】自選10首

          短歌月九ネプリ 第二回『歌人韻々物語』三首選

          こんばんは。若枝あらうです。 1月からスタートしたネプリ「月九」、第2号の配信終了が明日と迫っております。今回もギリギリですが、私も三首選を。プリントアウトまだの方は是非下記ツイートを参考にお手にとってくださいませ。 以下、三首選。 まだ文字になれないままのさざ波を重ねるように書く筆記体 / 近江瞬『英語の海に』より なんと美しい1首でしょう…。覚えたての筆記体をさざ波に喩えるなんて。文字といえばインクのイメージもあるからか、波という単語との相性の良さにしばし呆然とし

          短歌月九ネプリ 第二回『歌人韻々物語』三首選

          【2019年1月】自選10首

          こんばんは。若枝あらうです。 12月に比べるとすこしマシになった感ありますが、引き続き悩みながら詠み続けている1月でした。それでもインプットを増やしてみたり、ネプリなどで活動の場を広げてみようとしたり…まだまだ見てみたい世界はたくさんあるなと感じていて、引き続き存分に悩みたいなと。たぶん、そんな10首。 ---- 不安げに【ちょっとぞうすい】手にとった彼は誰かのヒーローだろう こんな日は会いたくなるよコンビニに食べたいものがなんにもなくて この胸は満たされないでいるほ

          【2019年1月】自選10首

          短歌月九ネプリ 第一回『歌人、集う』三首選

          こんばんは。若枝あらうです。 1月からスタートしたネプリ「月九」、配信期間終了が迫ってまいりましたので間に合ううちに私も三首選を。ネプリの詳細は下記、西村さんのツイートをご参照ください。 ではさっそく。 集合写真の欄外どうし手を組んでだれも泣かない手品をします / 御殿山みなみ これは先んじてツイートでも引かせてもらった一首ですが、御殿山さんの連作は今回どれも特に強くてまいりました。 この歌の「欄外どうし」は、なぜ欄外なのでしょう。わざわざ「だれも泣かない手品」と宣

          短歌月九ネプリ 第一回『歌人、集う』三首選

          【2018年12月】自選10首

          こんばんは。若枝あらうです。 12月はもしかすると、短歌を始めてから一番詠むのが苦しかった時期かもしれません。正直、自選もできないかなぁとすら思って遅くなったのですが、探してみると出してもよさそうな歌はそれなりにあって。なんだか「もっと良い歌を詠まねば」みたいな強迫観念が強くなっているのだと思います。ただ、歌会などを通して自分が向き合うべき課題もちょっと見えてきたし、成長痛みたいなものなのかな。たぶん、そんな10首。 ---- まっすぐに生きていけない毎日にそっと馴染んで

          【2018年12月】自選10首