【2019年3月】自選10首
こんばんは。若枝あらうです。
先月に続いてこんなに遅いタイミングでの自選ですが、引き続きわりと前向きに歌に取り組めているかなと思います。3月と言えば歌会で短歌への取り組み方を見直すきっかけがあったり、かと思えばうたの日で初めて秀歌をいただいたりして、自分の歌の方向性がまた少し明確に見えてきたような月でした。たぶん、そんな10首。
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スピードに気をつけましょう死角から春が飛び出すかもしれません
おひさまのひかりがさしてこの部屋の埃っぽさに気づいてしまう
混んでいるエレベーターで近づけば近づくほどに他人のあなた
ギリギリの三日月だって月だから明日も好きでいていいですか
春の始発駅なのだらう うぐひすが梅のレイルにあひづ鳴らせば
それぞれがそれぞれにゆく岐路に咲く桜はどの枝も美しく
おなじ場所おなじ季節の桜木に去年とおなじふりをする花
少しずつ人を降ろしてバスがゆく明治通りはこの先も春
責任を知って揺られる終電の窓はいつかの父と目が合う
もしかしてあなたにピザを届けてもいいのだろうかバイトをすれば
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3月半ばに短歌仲間と飲みに行ったときに「そろそろ春とか桜とか歌うの飽きてきた」みたいな話をしたわりには、月末までしっかりと、そういう単語ばっかり詠み込んでしまっていました…。たぶんどうしようもなく好きなんだと思います。
月初は月九の三首選とか月詠とかに時間を割いていて、ついつい遅くなってしまいがちな自選。そろそろ毎月10選という形も変えようかなとか思わないこともないのですが、なんとなく1年間(6月まで)は続けたいなぁと思っています。
それでは、また。