【2019年2月】自選10首
こんばんは。若枝あらうです。
自選がいつになく遅くなってしまいましたが、1月までの苦しさはどこへやら。最近また歌を詠むのが楽しくなってきました。少しずつ取り組んでいた旧仮名でなんとなく新しい世界が見えてきたような気がしていて、それによって、これまで「自分そのもの」でしかなかった歌が少しずつ自分の手を離れていっている感覚というのかな。そんなものを味わっています。たぶん、そんな10首。
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半額の刺し身にだってツマはあり独りぼっちのコロッケを買う
パスタならぼくは唐揚げ定食の下敷きになるタイプだろうな
花道に舞い散らすためとっておくやぶれた夢や恋の切れ端
人生は点描だから今はただブルーな日々もいつか青空
守ること守られることミカンって食べたらすぐに皮がしおれる
遠くからあなたの無事を願うときわたしも空に守られている
春雨にアスファルトさへにほひたち浮き足立つた雑踏けぶる
思ひ出をあづかりしまま年老いて質屋はけふも硝子をみがく
変はるのは許されていい 花びらのつもりでゐたら飛べないでせう
ゆきどけのやうにわたしは泣いてゐて、きみの聲こそ春と思つた
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そういえば、いろいろ考えて短歌結社に所属することにしました。月詠の締め切りになんとか滑り込めたので、2019年6月から未来短歌会の紙面にお邪魔させていただくことになるかと思います。自分も好んで詠む東京というモチーフの作品に感銘を受けた佐伯裕子先生の「月と鏡集」にて。
自分は短歌を始めてすぐの頃から「うたの日」にお世話になっていて、ほぼそこがすべてだったのですが、そこは変わらず故郷として、外の世界も今から楽しみです。
では、また。