見出し画像

#いわくのつけく チャレンジ

敬愛する曰先生が、GW明けの殺伐としたTLにとんでもないものをぶっこんできやがった。

この note の読者には今更説明もいらないだろうが、付け句っていうのは、誰かが作ったフレーズ(これを付け句と呼ぶ)を補完して短歌の形にする遊戯のこと。だいたい、界隈のTLがこれで盛り上がるときは数種類の付け句が流れているものだが、一気に100個ぶっこんでくるような暴挙…もとい神対応は見たことがない。気がつけば少なくとも3時間は没頭していたように思う。前置きはこれくらいにして見てほしい。

【前半戦】だいたい上の句(岩倉曰)+だいたい下の句(若枝あらう)

1. 土台だと思っていたら本体で足がしびれるように火照った
2. 寸法の合わない棚を買ってきてサンクチュアリと呼ぶことにする
3. はじめてのパソコンの本分厚くてゼクシィのトラウマに気づいた
4. 焼き鳥の串をまとめて折る卑弥呼こんなに細い棒に怯えて
5. どうぶつの森にうちだけ呼ばれないうちにゆうたろうになりました
6. 横取りをしかけてやめる もうお腹いっぱいだったので あくまでも
7. 手のひらが飴でいっぱいだったので路傍の薔薇を摘まずに済んだ
8. コールテンがなんか苦手だ履くたびに吐かされていた昭和のせいだ
9. 正体を知らないままで良いなんて言うなら無花果を割りますよ
10. もう死んだカイロをなぜか取っておく36度5分の手のひら
11. 同情をされて嬉しいヒナゲシはたぶん鏡を見なくてもいい
12. ルッコラをはじめて食べたような目で気障なセリフを咀嚼している
13. 明るくてよく見えるでしょ被ってる猫に電源ケーブルをくれ
14. カニカマを細かくさいてマンサクの花をつくればもう夏じゃない
15. 掃除機のホースにまたがりいまそかりそのまさかりは本物ですか
16. シャバシャバのカレーが確か好きだったゴロウが娑婆に戻ったらしい
17. 終わらないループの中でミニマルな暮らしはいつか音楽になる
18. 思い出し笑いの仕方をわすれそうだからぺこぱで時を戻そう
19. 強風が私語をさえぎる校長も修学旅行で忍者になった
20. 神棚のない部屋に住む人なのに三連単をなぜ買えるんだ
21. ゲームキャラに怒られたこと覚えてる ぼうけんのしょがきえた今でも
22. プレステのアップデートが長すぎるけど俺よりは柔軟だろう
23. なんもない丘のうえから眺めてたからか与一に射抜かれたのは
24. 伊藤園の黒い自販機かっこいいサラリーマンになれたらいいな
25. 始まれば逃げるのだろうあくまでもトランペットを鳴らす天使は
26. 道端で電源OFFになりそうで最後の力で初期化しておく
27. 暴風の窓辺に幾度立ったろう決して前には倒れないから
28. 目薬が襟を濡らしてハミングが少し香った気がした クソが
29. 駐車場に知らない車が停まっててそういえば知らない街だった
30. 極太のマジックペンを持ち歩く「肉」と書けないくらい極太の
31. 反省をすればいいってものじゃなく死ぬまで俺に叱らせてくれ
32. シャボン玉製造機関と成り果てて1000kcal消費したいな
33. 先延ばししてしまったらどうしよう納豆五人分買ったのに
34. つまらない写真が撮れてしまったがたしかにそんな日常だった
35. 見た感じぜんぶ割れてた鳩サブレどこまで鳩でいれたんだろう
36. からあげを食べてからでもいいですかウルトラソウルに「ハイ!」と言うのは
37. 立っているだけで違反になりそうでfineの意味を忘れてしまう
38. 舌打ちもさまにならない小娘の舌に殺されるのはどいつだよ
39. 手羽先の骨を積みつつポル・ポトの話を聞けどまだ積める骨
40. ATMどこでしたっけこれ以上話すと手数料がかかります
41. 塩とタレ三本ずつでいいですか俺は塩しか食べませんけど
42. イヤホンの内側は無音だったから次にくるだろう音が怖かった
43. ポイントをこまめに使う 溢れてはならないものを抱えてるから
44. 前髪がスープにひたるおいしそうおいしそうおいしそうおいしそ
45. 枕元に立つねりからし あの課長きっと過労死したんだろうな
46. 水飲み場に誰もいなくて喜んだ幼き頃は強かったのか
47. めちゃくちゃな嘘で笑えるくらいには騙されることに慣れてしまった
48. どう撮れば正解なんだエッシャーのだまし絵のような寝相の彼女
49. もったいないわけないだろうキュンとした話のひとつくらい話せよ
50. フリスクで目覚めたあとも明け方の夢のあなたの味がしている

【後半戦】だいたい上の句(若枝あらう)+だいたい下の句(岩倉曰)

51. 満点の告白だったはず そうか出席日数足りてないから
52. 遠足のつもりなのかな汁椀を脱出しようとする蟹の脚
53. トンネルを抜ける前からカレーパンのころもはらはらズボンにつもる
54. エロカッコよくなる前にドアノブの苦いところに当たったみたい
55. 札束を数えるように遊戯王カードを仕分けし続ける指
56. いま青になったばかりの信号のひかりの下でほどくイヤホン
57. 新年の部長の髪と年末に街を覆った濃い霧のこと
58. ミスチルも真っ青なほどアライグマはどんなりんごもきれいに洗う
59. 俺よりも才能があるチェリストにすぐさま砕かれる笛ラムネ
60. Alexaがラヴェルをかけた瞬間の龍角散がまずくて咽せる
61. 旧友の寒い話を聞きながらしょうがまみれの最後のひと口
62. この部屋の中にも雨が降っていて足のふちまでしみる月光
63. 高校の頃の彼女につけられたハンドルネームが親に見つかる
64. リリックにライムを混ぜるスピードでゆっくりになる風の足取り
65. 垢のついてないことをよく確認し上司の爪のかけらを拾う
66. 仕方なく自慰をする手の喜んでみみずを触っていたこともある
67. CMの方が面白い番組に詩を書いてからご飯を食べる
68. 盛大に生けておいたよシャクナゲはきっと大嘘だと思うから
69. ウエハースみたいに嘘に挟まれておまけつきならよかったのにね
70. 残業が過労死ライン超えたからオチだけ先に教えてほしい
71. 塩顔が好きなのですが神様はだいたい塩をかけ過ぎなんだ
72. 前歯から肝臓までのなにかしらお揃いにするならなにがいい
73. 初恋を預けっぱなしのCDは結局誰のものになったの
74. テンションが高すぎるから気圧差でわたしの側は開かずの扉
75. ごめんねと声をかければ散る椿 散々ひとのせいにしたのに
76. 学生のころB系が好きだった友人Fがグラスを下げる
77. 姑の嫌味センスが問われるな どこもかしこも汚れているよ
78. 手作りのマスクをあげる元々は油汚れが落ちる布だよ
79. お荷物のままでいましょう 空っぽのトートバッグは風に流され
80. おめでとう新婚旅行のお土産は個包装ならべつに何でも
81. 紙のまま令和になってごめんなさい発券ボタンを押してください
82. わたしだけ独り身なので春風の空気を読まずおしるこを買う
83. いじめには加わらないでいてくれたあの子名前はなんだったっけ
84. AKB48の大声に最小限の音で沸くお湯
85. ミスタッチみたいな音で泣くひとの見つけたとたんに痛み出す傷
86. 冬眠から覚めたヒグマの肉球と同じ強さで握る吊り革
87. 飲みすぎて雨の記憶はないのだが干し忘れてた傘かび臭い
88. ああわたし強いんだなあシャッターを切るより速く水になる雪
89. 推すのならひとりで推せよ甘えるなロッピの前で電話をするな
90. 自然への感謝の気持ちが強すぎて他人が剥いた蟹が食えない
91. 虹色のインクをひたす筆がほしい いつかやれると思えたならば
92. 苗字だけは濁りない人だったのに昨日も今日も間違えました
93. スリザリンだけは嫌だと言ったのに帽子をぬいでからっぽになる
94. オチがないことなんてまだ疑っていないよこれはただの眠い目
95. 誰が着ていたかを忘れられたので捨てっぱぐった古着と暮らす
96. かめはめ波を打てるか試していた隙にフライドチキンを食べたのはだれ
97. ポリ公に角をぶつけてくれてサンキュー冷奴 一生ついて行く
98. Republic of Sierra Leone の国旗ってめっちゃファミリーマートですよね!
99. 使われないままのドッペルドミナント関係のないわたしがもらう
100. 連載は打ち切りだろう 曲がり角で夢を咥えたひととぶつかる

先行した勇者たちの作品を全部読めているわけじゃないし、推敲もほとんどしてないので類想もあるかもだけど、こういうのは勢いが大事だと思ってるので出しちゃいますね。

おかげで短歌研究も角川も出せる気がしてきたぞ~。頑張る。

いいなと思ったら応援しよう!