おめでとう2025、やりたいことリスト
ウィーンでの年明けは、なんかうるせえなあ、と花火のような轟音に窓を開けるも霞んだ空しか見えないという粗末なものだったので、来年こそ、シュテファン大聖堂の前でワルツを踊ることにして、他の抱負を書きたいと思います。
2025年上半期
1 とにかく文献を読む
語学であれスポーツであれ睡眠であれ、質を担保する前に一定以上の量を積み重ねることが求められるように、哲学にも一定量の、しかもそれは常人が一見してすぐに諦めてしまうような量のトレーニングが必要なのだと思う。そのトレーニングの一つが、文献を読むこと。哲学研究者の家には必ず大きめの本棚がある。日本語、特にドイツ語文献も精力的に意識的に読んでいきたい。哲学、哲学史、実存主義、現象学について。それから、心理学、心理療法、カウンセリングについて。そしてその境目にある、哲学カウンセリング、哲学療法、哲学対話について。
2 日本語でカウンセリングを始める
ドイツ語圏では、一対一のカウンセリングを方法に据える心理療法の文脈が強く、その心理療法から逸脱するように、精神科医がもう一つのヴァリエーションとして哲学的なカウンセリングを始めた。そうこうするうちに、今度は哲学者がカウンセリングを行っている。俺もそれをやってみたいと思う、まずは日本語で。場数とそこからの学びが一番の教科書になるはずで、有無を言わさず始めることにしたい。
3 アッヘンバッハ『哲学的実践』を訳す
哲学カウンセリングを始めるに当たって、その理論として、まずはドイツのアッヘンバッハが始めた哲学人生相談について調べたい。彼の主著『哲学的実践』を日本語に訳してみるのも面白そう。原著はドイツ語で、現在、英語とスペイン語、韓国語には翻訳されている。
https://www.achenbach-pp.de/de/philosophie-pp.asp
4 日本語で論文を書く
哲学のトレーニングにおいて、文献を読むこと、人と対話すること、翻訳することの他に、論文を書くことがある。哲学の分野で論文を書くというのは、ある前提から出発して、多くの研究と自分の解釈を下敷きにしながら、結論に向かってゆっくりと、文字で論理の筋道をつくっていく作業のことだと今は解釈してる。たくさん書いて、これだ!と思う、自分のスタイルを見つけたい。
5 ドイツ語C1を取得
結局取れていないドイツ語外国語技能C1(英検で言うところの一級レベル)をウィーンで取ろうと思う。ドイツ語の文法はこの一年で一通り教わったから、あとは使いながら何度も反復練習して、話して読んで聞いて書けるようにしていく。多分C1くらいなら問題なく受かると思ってる。たぶん。
2025年下半期
6 ドイツ語の哲学カフェに行く
哲学カフェはウィーンにあると思うんだけど、まだ見つけられていない。そろそろドイツ語で議論できるようになりたくて、まずは哲学カフェに参加してみて、うまく話せなくて悔しい経験をするところから始めたい。
7 ドイツ語で議論する授業を受ける
秋学期から始まるのが10月だから、10月からはドイツ語でディスカッションする授業に潜って、オーストリア人、ドイツ人と議論の場で対等に渡り合えるようになりたい。
8 ドイツ語でカウンセリングを始める
その10月から、自分の哲学実践プロジェクトを育てる一年間が始まる。ここからはドイツ語でもひとの話が聞けるようになっていたい。あ〜〜頑張らないと。やることは日本語でのカウンセリングと同じだから、言語をドイツ語でやってみるっていうチャレンジになる。
9 ドイツ語でレポートを書く
今でも、ドイツ語でまとまった文章を書く機会はあるけれど、文献を参照して、テーゼを論証していくような文章はまだ書いていなくて、まだ論文ほど形にならなくとも、レポートくらい書けるようになりたい。修士論文をドイツ語で書くことになるかもしれないから、、ひえ〜
10 企業にインターンに行く
気になってるのはProjekt Philosophieという会社。哲学者がドイツで創業した会社で、ここでは日系企業の理解を深め、パートナーシップを確立するためのワークショップが開かれている。ウィーンだと目下のところ、フリーランス哲学者として働いている人が多いように見えるけれど、企業で何かできるならトライしてみたい。
11 ロゴセラピストになる
アウシュビッツ強制収容所での経験を書いた『夜と霧』の著者、ヴィクトール・E・フランクルは、自身の存在分析という療法をロゴセラピーと名付けた。「人間存在の意味と、人間による意味の探究」を中心に据え、精神科医として患者と対話した。その理論体系と実践の手法を含めて、フランクルのロゴセラピーと呼ばれている。まずはウィーンでロゴセラピストになり、その殻を破るようにして自分の療法をつくってみたい。ウィーンに専門のコース(Lehrgang)があるらしい。
2026年以降
1 ウィーン大学で「学術的哲学実践者」の称号を得る
2026年秋にウィーン大学のコースを修了する見込みで、コースを無事終えると「学術的哲学実践者」の称号が得られる。これは学位ではないし、仕事をするための国家資格でもないけれど、これを名乗ってウィーンで働いてる卒業生はかなりいる。2025年の11の目標は、この「学術的哲学実践者」になるためのスモールステップでもある。
2 哲学史研究で修士論文を書く
ウィーンでカウンセリングが軌道に乗り、哲学カフェも開けるようになってきたら、ウィーンに残って哲学史研究をしてみたいと思っている。まだ思っているだけで、本当はやりたくないけど、いずれ通る道なのではと腹を括り始めてる。哲学を実践するのに哲学史研究が必要か?という問いはまだ発酵させている段階だけれど、必要なんだろうと思う。
3 臨床心理士、公認心理士(Psychotherapeut)の資格を取りに行く
哲学科を出ているので、多分相当難しいと思うけれど、可能であれば、日本で臨床心理士か公認心理士、ウィーンでPsychotherapeutの資格を取りたい。出来るのかな、厳しいとも思うけれど、、
4 大人のための哲学対話を定期開催する
理由はうまく言語化できないけれど、子どもと一緒に仕事をするのは多分向いてないと思ってる。ギリ高校生なら一緒に哲学対話出来るかも。だから、俺は大人のための哲学対話を開きたい。日曜の朝にでも集まって、皆で実存的な問いを持ち寄って話せたらいい。カフェで毎週出来たらいいな〜
5 カウンセリングAIをつくる
これはちょっと方法がわからないのだけど、あったらすごく良いだろうなと思う。カウンセリングAIは続々と出始めると思うのだけど、ただのアドバイスに終始することなく、前提や言葉の肌理も掬い取りながら丹念に聞いてくれる、かつ一緒に探究してくれるAIをつくるのはなかなか難しいのではないかと思う。西洋占星術の占いも交えて、つくってみたい。
6 博士論文を執筆する
ここまで来ると夢になってしまうけれど、いつか博論書きたい。自分の哲学実践に油が乗ってきて、全部一からまた勉強し直すつもりで書けたらいいな。今はこれくらいしか言えないけど、夢として書いておく。
ここまで!死後、コイツはマジモンの哲学者だったと認めてもらえるように、口先だけで成り上がろうとするのではなくて、生き方もひっくるめて哲学できるように努力します。2025年は風に乗れるように、生活を整えながら調子を維持していようと思う!