建内 亮太|Ryota Takeuchi

1999年生まれ|24年10月よりウィーン大学院にて、哲学を社会の中で実践する「哲学プ…

建内 亮太|Ryota Takeuchi

1999年生まれ|24年10月よりウィーン大学院にて、哲学を社会の中で実践する「哲学プラクティス」について研究しています

マガジン

  • ドイツ日記

    ドイツにいた時にもやもや考えていたあれこれを集めました。 23年の9月に会社を辞めて、24年の1月から半年とすこし、大学都市ミュンスターにある語学学校KAPITOに通っていたときに書いたものです。

  • どこか遠くへ

    素敵な靴が思ってもみなかった場所へ連れて行ってくれるように、この読書記録がどこか遠くへ連れて行ってくれますように。

最近の記事

  • 固定された記事

40歳までに辿り着きたいノース・スター

 人生を賭けてたどり着きたい目標をノース・スター(北極星)と呼ぶ、という話を聞いた。場所を変えても動くことのないノース・スターを手がかりに、自らの進路を決めたり、そこに向かって歩き続けるみたいなニュアンスなのだろうと思う。『ノルウェイの森』の読後感と大学2年の時の数行の日記が背中を押してくれ、言葉になったのでまとめました。この文章の多くが、読書会でヘンミさんという方と話せた経験が元になっている。大変ありがたい時間だった。 最終目的地(北極星)  自死を意図する人、生きる意欲

    • レター|ウィーンに来ました 2024.10.24

       元気?俺は元気にやっています。ウィーンに来て3週間が経ちました。大学には偉人の像が並んでて不気味です。せめて誰かわかったらなあ。  最初は建物に驚きっぱなしでしたが、もう、本当に無茶苦茶な街だなとその荘厳さを楽しめるようになってきました。マクドナルドがもうすごくエレガントで、浅草に瓦屋根のマックがあるような感じかな。  古代ローマの政治家、カエサルが成り上がるために天文学的な借金を重ねて自分にベットし続けた話を聞いて、俺も勉強するモチベーションを上げるためならと散財する

      • 狼の青年レゴシ、その愛と本能の行方『BEASTERS』|2024.10.7

        Netflixアニメ作品『BEASTERS』の話をします。Final Seasonが楽しみです。  初対面の人と話す時に、過剰にあわあわしたりニコニコしたりする癖がずっと直らないでいる。元の性格なのも相まって、よく知らない人相手に堂々と振る舞うなんてできないし、自分を強く見せたくもない。本当は無害でありたいと思ってる。背を縮める癖がついたのは中学から。胸を張って歩くようになったのは社会人になってから。  だから、男であること、身体が大きいこと、それで凄んだり、箔をつけよう

        • ウィーン日記|ウィーン大学・哲学プラクティス課程 、初潜入 2024.10.6

           ドアを開けると、早過ぎたみたいでまだ誰もおらず、事務スタッフと学生が仕事していた。この1年間、出願のことで色々教えてもらっていたラシャウアーさんもいて、顔は知ってたから、名前も名乗る前にお礼を伝えた。俺のことも顔でわかってくれていて、「うん、アグネス。」と小さく笑ってくれて、そうか、下の名前で呼んでいいのかと思った。  そこからは、続々とコースメイトがやってきて、握手したり、自己紹介したり。あの時は皆が怖く見えたけど、俺だけじゃなくて、皆緊張してたんだろうなと今は思う。ロ

        • 固定された記事

        40歳までに辿り着きたいノース・スター

        マガジン

        • ドイツ日記
          11本
        • どこか遠くへ
          6本

        記事

          二人で月に行く。『サイバーパンク:エッジランナーズ』 2024.10.2

           なぜ人は、やるべきことをわかっているのにできないんでしょうね。明日からウィーン大学の講義が始まるのに、数年前に沸騰していたNetflix作品『サイバーパンク:エッジランナーズ』の興奮が冷めずに、今これを書いています。ネタバレあるので先に言っておきます。ヘッダー画像は公式HPから。  10話で構成されるアニメと呼ぶ方が正しいんだろうけど、さながら映画のようで、ウィーンからデリーへのエア‧インディアの飛行機の中で観た映画、『JOKER』と似ているなとも思った。教育も医療も福祉

          二人で月に行く。『サイバーパンク:エッジランナーズ』 2024.10.2

          旅行記|混沌と人情の国、インド 2024.9.18

          1 インド旅行ハイライト  ドイツでの半年間、語学学校に通ってドイツ語に励んでいて、10月からウィーン大学で哲学プラクティスの講義が始まる。日本に一時帰国する前に、インドに寄って友達に会いに行くとにした。  ウィーンにはまだ知り合いがいなくて、東京みたいなよそよそししさに心がささくれていたから、岡山みたいに明るいコルカタに救われた。  ハイライトは4日目の朝、はしゃぎ過ぎて帰りのフライトに間に合わなかった。空港で一泊した後、新しいチケットを求めて、空港からバスで1時間

          旅行記|混沌と人情の国、インド 2024.9.18

          ドイツ日記|転職する友達と恋人と暮らす私 2024.8.29

           なんだか悲しくて、つらくて、でもこれをどうしたらいいか分からなくて悩むことがある。もしくはどうすればいいかはわかっているのに、それができなくて悩んでいたりする。今の状態を続けていることだけは違うと思いながら、この今に留まっている。それがつらいのに、今この場所から動くことができない。  違和感があって悩んでいるときはたいてい、自分が自分自身ではいられないことに悩んでいる。自分自身でいるというのは、本来のありのままの自分でいるというのとはちょっと違う。悩んでいる今だってありの

          ドイツ日記|転職する友達と恋人と暮らす私 2024.8.29

          研究計画|ウィーン大学・哲学プラクティス

           ウィーン大学の哲学プラクティスという分野で、2024年秋から2年間研究します。研究と言っても、論文を仕上げるための課程ではなく、社会の中で哲学をしたいと志す人を支援する実践的なコースになっています。オーストリア政府奨学金やウィーン大学出願にあたって書いた、研究計画になります。哲学対話をどう社会の中で実践できるか、その方向性については、ウィーン大学の中でまた試行錯誤することになるだろうと思っています。ただ、その現時点での目論見について書きました。今日は目次つき!それでは!

          研究計画|ウィーン大学・哲学プラクティス

          ドイツ日記|最近どう? 2024.8.3

           8月になった。ドイツに来て半年が経つ。最近はライオンキングをドイツ語で見ている。ミーアキャットのティモンが好き。「いや、悪くない考えだな!」とお茶目に意見を変えるシーンと、過去について自らの思想を展開するシーンが特に愛らしい。ティモン以外で言うと、ナラとシンバが喧嘩するシーンで、ナラがシンバの話を聞いて向き合おうとするも、シンバがそれを拒絶して、仲違いしてしまうところに胸を押さえた。お互いを理解しようとするも、違うライオンであることによってすれ違ってしまう。  主人公シン

          ドイツ日記|最近どう? 2024.8.3

          ドイツ日記|これが運命だとでも 2024.7.21

           ハイキューの劇場版をドイツで観てきた。最終日だったからか、客席はほぼ埋まっており、待ちきれない様子の若者たちと「待ちきれない!」「日本から来たの?」とキャッキャ話したりした。てっきり日本語、ドイツ語字幕かと思っていたら、ドイツ語吹替で、字幕なしだと教えてもらった。まあ大体わかるだろうと、モアナ2の宣伝を見ながらぼんやり考える。  結果、全然わからなかった。コミカルなシーンで皆がくすくす笑っているのに、一人だけきょとんとしていた。おそらく意味深い長台詞のシーンで、ただキャラ

          ドイツ日記|これが運命だとでも 2024.7.21

          ドイツ日記|神、いるのでは 2024.7.21

           ベルリンを旅をして、心底ヨーロッパが好きだと思った。まっすぐ目を見て他人と話す術を身につけている彼らと話していると、こちらまで生き生きしてくるのを感じる。  そのように喜ぶのとは対照に、最近は不安と焦りに押しつぶされそう。ドイツ語の語彙の足りなさをミュンスター大学の哲学研究会で思い知ったり、大学生の会話についていけなくてしょげたりする。こんなんで大学院やっていけるんだろうかと不安になったり、その後の将来は?このままで大丈夫なの?どうなっちゃうの?とわからないことだらけで、

          ドイツ日記|神、いるのでは 2024.7.21

          ドイツ日記|異端の国、日本に生まれて 2024.7.18

           ベルリンへと向かう電車の中でこれをかいています。ドイツを旅してて思うのは、ドイツで日本人かつ旅行者でいられるのすごく気が楽だということ。多少変なことしてても大丈夫というか、他人の目線をそんなに気にしなくていい。電車で騒いだりしないけどさ。  文化を共有しない全くの他人でいること、そこには包み込むような大きな文脈はないけれども、得体の知れない他人同士のすがすがしいコミュニケーションがある。全くの他人と話すことの恐れや不安がない。仕方なしに否応なく、でも気持ち良く個人でいられ

          ドイツ日記|異端の国、日本に生まれて 2024.7.18

          ドイツ日記|海賊ボートとタイ兄弟のトムヤムクン

           また、変なところに来てしまったなと思う。仕事をしていた時も、これまでの人間関係との桁外れの違いに「留学してるみたいだ」と友達に話すことがあったけれど、本当に留学してみると、やはり「留学してるみたいだ」と思う。あまりの価値観の違いに日々困惑して、おろおろして過ごしている。自分の身に何が起きているのか、楽しいのか嫌なのか、自分でもよくわからない。 *  語学学校の自習室で、「(語学学校の授業料は決して安くないはずなのに、語学学校に来る前に)どうして初級の勉強を終わらせてこな

          ドイツ日記|海賊ボートとタイ兄弟のトムヤムクン

          ドイツ日記|ミュンスターで仮ビザを取るまで 2024.6.14

           ドイツで生き延びるために必要な諸々の手続きと奨学金の大学院への出願がやっと終わりました。一息ついて、まずは手続きから書きたいと思います。 1  本当に大変だった。銀行口座も作らずに、ビザも日本の大使館で取らずにきてしまったもんだから、ドイツで同じことをするのにかなり苦労しました。 2  まず、ビザがないと銀行口座を作るのは難しい。現地の銀行を回ればどうにかなったかもしれないのだけれど、今は海外送金サービスWISEで決済は全て何とかしています。  日本の銀行からオンライ

          ドイツ日記|ミュンスターで仮ビザを取るまで 2024.6.14

          ドイツ日記|パレスチナから来たラミ 2024.6.14

           ドイツのミュンスターへ留学して、早くも半年。一息ついて、この半年を振り返って、同居人のラミのことを書こうと思う。ラミとは一緒に写真を撮ることもなかったので、彼のバロックのような筋骨隆々の見た目をイメージして、バロック絵画をチョイスしてます。 1  ホストファミリーのおばあちゃん、エリザベスのところに半年弱住んでいる。おばあちゃんは気の良い人で、風邪を引いた時はどっさりパンを買ってくれ、何かとお世話になる。シャワールームの使用後に水気を切ることや部屋をこまめに換気するよう言

          ドイツ日記|パレスチナから来たラミ 2024.6.14

          ドイツ日記|海外留学という家出② 2024.04.20

          (加筆修正していたら、長くなってしまったので二つに分けました。) 12  コミュニケーションの希薄さにせよ、政治的な関心の低さにせよ、女性の生きづらさにせよ、戦後復興と経済成長を急ぐあまり、社会が未成熟なままここまだ来てしまったのではないかという気さえしてくる。ここでは、バスはストライキで止まり、教会広場で集会やデモがよく開かれているのを見る。シャイで、協調を重んじる国民性で片付けられる問題か?と思えてくる。事の元凶は「皆疲れていること」なんじゃないかと思う。 13  仕

          ドイツ日記|海外留学という家出② 2024.04.20